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- 2025/07/08 掲載
三井住友の「Olive経済圏」に利用者殺到のワケ、他社を凌ぐ…“使いやすさの秘密”
連載:デジタル個人金融最前線(第2回)
株式会社マリブジャパン代表取締役。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、主に銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)など。
新規開設500万件、絶好調「Olive」は何が便利?
Oliveは、銀行や証券、決済などの金融サービスを1つのアプリにまとめて管理・利用できるサービスで、ポイントなどの特典機能も備えている。加えて、大きな特徴となっているのが、世界初の「フレキシブルペイ」機能だ。これは、1枚のカードの中に「キャッシュカード」「クレジットカード」「デビットカード」「ポイント払い(プリペイド)」の4つの機能を持たせ、アプリ上からカードの支払い方法(クレジット/デビット/ポイント支払い)を自由に切り替えることができる機能だ。
ポイント支払いに関しては、三井住友FGの共通ポイントと、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループが運営する「Tポイント」を統合した「Vポイント」を貯めたり使ったりできる。楽天経済圏における楽天ポイントと同じく、金融サービスやキャッシュレス決済を利用すればするほどVポイントがザクザク溜まり、そのことでOliveの魅力を高めていく狙いがある。
こうした利便性から、実際にOliveのアカウント開設数は2023年3月のサービス開始から2年で500万件を超え、黒字化(業務純益)も達成するなど好調だ。Olive効果による三井住友銀行の個人預金増加分は1.6兆円に上るという(2025年3月期)。
この勢いに乗って、三井住友FGでは、開始から5年でOliveのアカウント開設数1200万件、2028年度には800億円の収益貢献を目指すという。
【全体像を図解】Oliveと連携する企業たち
そんな好調Oliveの陰の立役者は、SBIだ。Oliveにおいては、三井住友FG傘下のSMBC日興証券などではなく、SBIグループのSBI証券がネット証券の提供主体となり、三井住友銀行および三井住友カードの各アプリを通じて利便性の高い証券関連サービスを提供しているのだ。三井住友FGとSBIホールディングス(SBIHD)は、2022年6月、包括的な資本業務提携(SMBC-SBIアライアンス)を結び、三井住友が796億円を出資し、9.9%の株式を持つSBIの大株主となっている。Oliveへの参加もその一環だ(図表1)。
こうして三井住友とSBIの連携はさらに強固なものになっているが、そんな中、三井住友の次の一手となったのが、2025年5月に発表された三井住友カードとソフトバンクによる包括的な業務提携だ。三井住友銀行がPayPay銀行に21.54%出資しているとはいえ、ソフトバンクのメインバンクはみずほ銀行であり、みずほとソフトバンクは戦略的提携の関係にもあることから、サプライズとなった。
今回の提携を踏まえ、国内クレジットカード市場とコード決済市場とで各々No.1シェアを持つ三井住友カードとPayPayの連携が開始されることになる。
具体的には、PayPayで三井住友カードを優遇したり、OliveでPayPayの残高確認や、三井住友の口座とPayPay残高間のチャージなどが可能になったり、PayPay残高から三井住友の口座への出金手数料が無料になるという。「PayPayポイント」と「Vポイント」の相互交換も実現することになる。
次に仕掛ける「新サービス」もスゴイ?その実力を解説
そんな連携関係にある三井住友とSBIは、競合他社にさらに差を付けるべく、2025年6月、新たなる施策を打ち出してきた。それは、両グループによる新会社の設立と、Oliveの「最上位ランク」(最高水準のサービスが付与される)となる「Olive Infinite」の導入だ。
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