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- 2026/02/24 掲載
農林中央金庫が実現した「内製化とDX」、データ×AIで構築する次世代業務基盤とは?
前編はこちら(この記事は後編です)
業務基盤としてのデータ戦略、AI活用を前提にした設計思想
業務基盤の中でも、農林中金が最も重視しているのがデータの扱い方だ。農林中金のデータ戦略は、明確な哲学に基づいている。「データは大きく構造化データと非構造化データに分けられます。構造化データはDWHへ、非構造化データはBoxへ集約管理しています」(半場氏)
この基盤を土台に、現在はAIエージェント基盤の構築を検討している段階だ。
「各エージェントが持つ機能をモジュール化し、そのモジュールを組み合わせることでさまざまなユースケースに対応できるAIエージェント実装を可能にしたい。迅速性、柔軟性、拡張性を担保しつつ、似たようなエージェントの重複開発やメンテナンスの軽減も実現できると考えています」(半場氏)
一方で、こうした取り組みを支える前提として、情報とプロセスの基盤整備が欠かせない。半場氏は従来の業務環境をこう振り返る。
「N-styleというシステムで決裁して、旧GWで掲示する。ファイルサーバに中間生成物を置いて、検索範囲が広いと止まる。検索を絞るとヒットしない。各システムを綱渡りしながら業務を行う必要があり、生産性が低下していました」(半場氏)
こうした分断された業務環境という課題を解決するため、ServiceNowを導入。業務をEnd to Endで見直し、ワークフローを再構築した。
「業務の多くは、決裁、指示発信、申請の3種類に大別できます。これらを汎用ワークフローと位置づけて運用しています」
グランドデザインは明確だ。コミュニケーションのハブはMicrosoft 365、コンテンツはBoxに集約、ワークフローはServiceNowで構築――各ツールを連携させながら、一気通貫での業務遂行を企図している。
「ホーム画面では、承認すべき案件がすぐにわかる。決裁や指示の進捗、過去文書が簡単に参照できる。タスク一覧で日々やるべきことが一目瞭然です」(半場氏)
こうした業務基盤の整備は、経営判断や融資業務の高度化にも直結している。農林中金では、経営ダッシュボードの構築や融資プロセスの電子化、生成AIの業務活用といった“ビジネス側のDX”も並行して進めており、それらを支える土台として本稿で紹介してきた業務基盤が機能している。具体的な業務施策は別途さまざまに展開されているが、それらを横串で支えるのが、ここで見てきた情報・プロセス・開発体制の“基盤設計”である。 【次ページ】「日本企業のベストプラクティス」に合わせたワケ
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