- 2026/04/02 掲載
「融資では救えない」? 金融庁が再定義した“地域金融力”の正体
「地域金融力」とは融資量ではない──金融庁が定義する新しい役割
──金融庁の資料や報告書を読んでいると、「地域金融力」という言葉が頻繁に出てきます。ただ正直に言うと、どこが変われば「強化された」と評価できるのか、つかみにくい部分もあります。まず栗田さまの立場から、「地域金融力」とは何をさしているのか、整理していただけますか。栗田照久氏(以下、栗田氏):地域金融力強化プランにおいては、地域金融力というのは、「幅広い金融仲介機能を発揮しながら、地域経済に貢献する力」と定義されています。
背景にあるのは、地域における人口減少と少子高齢化の進行です。多くの地域企業は人手不足や後継者不足に直面していますし、物価の上昇なども相まって、さまざまな課題を抱えています。
前長官
栗田 照久氏
こうした中で、地域社会全体がこの環境変化に対応していかなければならない。それを下支えするのが地域金融機関の役割だと考えています。
そのためには、金融機関がまず自らの経営基盤をしっかりと確立し、金融仲介機能はもちろんですが、それだけではなくシンクタンクのような機能なども発揮していく。そうしたものをトータルに見たものが、地域を支える力、地域金融力だと思います。
大野博堂氏(以下、大野氏):地域金融力という用語の定義について、しっかりと認識している地域金融機関は決して多くはないのが実情です。これまで使われなかった言葉ではないとは思いますが、今回の地域金融力強化プランを通じて、ようやく分かりやすい定義、解説が加えられたという認識でいます。
その点において、この文書は読み応えのある公表資料だったのではないでしょうか。
──どのような点を特に強化していこうという共通認識ができたのでしょうか。
大野氏:たとえば、栗田さんもよくおっしゃっているかと思いますが、単に地域にファイナンスとして金さえ流せばいいわけじゃない。それをもって地域金融力とは見なしにくいということが、今回よく分かったのかなと思っています。
では具体的に何が求められているかといえば、地域、具体的には地盤とする自治体を取り巻く個々の課題に寄り添う、といった姿勢そのものが「地域金融力」の言わんとしているものではないかと、私自身は理解しているところです。
栗田氏:地域金融力における重要な論点は、まず、地域金融機関の本来の役割は何かをしっかりと認識することです。地域経済や社会を自らが能動的に支えていくということ。これを認識できていれば、地域金融機関として「地域金融力」を発揮していけると思います。 【次ページ】人口減少のインパクト──金融の仕事そのものが消える未来
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