- 2026/07/23 07:00 掲載
JPモルガンやゴールドマンが「AIで大儲け」、大手銀が「AI相場の銀行」になった理由(2/2)
3社比較、AI相場に最も近い銀行はどこか
3社の中で、短期的なAI相場への感応度が最も高いのはゴールドマン・サックスだろう。グローバル・バンキング&マーケッツ部門の純収益は155億2,000万ドルで、全社純収益の約76%を占めた。株式部門だけでも74億2,000万ドルと、全社の約36%に相当する。AI関連株の売買、IPO、増資、M&Aが同時に活発化する局面では、収益の伸びが最も鋭く表れやすい構造である。半面、市場が冷えれば反動も大きい。モルガン・スタンレーは、市場部門と資産管理部門を組み合わせた形だ。機関投資家向け証券部門の純収益は110億4,000万ドルで全社の約52%、ウェルス・マネジメントは88億6,000万ドルで約41%だった。株式取引や引き受けで相場上昇の初動を捉えながら、富裕層から預かった資産の管理手数料を継続的に得る。第2四半期には1,481億ドルの純資金流入を記録したが、その半分強は一部顧客企業のIPOに伴う流入だったという。AI相場と資産運用が接続した象徴的な数字だ。
一方、JPモルガンの強みは収益経路の広さにある。法人・投資銀行部門の収益は249億ドルで、全社の管理ベース収益580億ドルの約43%。株式取引やM&Aだけでなく、法人融資、決済、預金、資産運用までを抱える。バーナムCFOによると、データセンター関連の融資は法人部門の預金増加にもつながっているという。融資を実行すれば、借り手の口座へ資金が入り、預金や決済取引にも関係が広がるためだ。
したがって、「AI相場で最も大きく跳ねる銀行」はゴールドマン、「資産運用収入へ転換しやすい銀行」はモルガン・スタンレー、「設備投資の周辺まで広く回収できる銀行」はJPモルガンと整理できる。単純な利益額だけでは見えない違いである。そして、収益経路が違えば、AI相場が反転した際に傷む場所と時期も変わる。
AI相場反転、銀行利益はどこから崩れるのか
次に表面化するのが、IPOやM&Aの延期である。株価下落で企業価値の算定が難しくなれば、売り手と買い手の希望価格が離れ、案件が止まりやすい。資産価格の低下は、富裕層部門や運用部門の手数料にも波及する。ゴールドマンとモルガン・スタンレーは今回、取引と資産価格上昇の双方から恩恵を受けた。その逆回転もまた、複数部門に同時に及ぶ可能性がある。裏返しの脆弱性だ。
最後に遅れて現れるのが信用リスクである。データセンターは建設すれば必ず収益を生むわけではない。電力を確保できるか、十分な利用企業を集められるか、設備が陳腐化しないかによって返済能力は変わる。JPモルガンは、電力供給やテナントなどの条件を精査した結果、参加を見送ったデータセンター融資案件があったと明らかにした。バーナムCFOは、一部で融資条件を緩める圧力がみられるとも説明している。
日本の銀行も同様で、AI投資の波に乗ることと、融資基準を緩めることは別物である。AI関連の収益を市場、引き受け、融資、運用に分け、相場下落時にどこが先に傷むかを管理する必要がある。
また、銀行自身のAI活用によるコスト削減にも過大な期待は禁物だ。ダイモンCEOは「AIの最終的な受益者は顧客だ」と語り、各行が同じ技術を使えば、効率化の果実は価格競争やサービス向上を通じて顧客へ移るとの考えを示した。AI相場の銀行になることは、利益が永続するという意味ではない。好況の手数料を取り込みながら、熱狂後の損失を避けられるか。そこに、本当の勝敗を分ける境界線がある。
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