- 2026/09/04 07:10 掲載
AIOpsとは何か?メリット、導入方法やMLOpsやDevOpsとの違い、ツール比較を解説
AIOpsとは何か?まず知っておきたい基本
AIOpsとは、AIや機械学習などの技術をIT運用に組み込み、システムの監視、障害検知、原因分析、復旧などを高度化・自動化するアプローチである。Red HatはAIOpsについて、機械学習などの高度なAI技術を使ってIT運用を自動化し、システムがリアルタイムで「観察し、学習し、行動する」ための仕組みと説明する。ITチームが複雑性に対処し、手作業を減らし、インシデント対応を速めることが目的だという。
IBMも、AIOpsを自然言語処理(NLP)や機械学習モデルなどのAI機能をITサービス管理や運用ワークフローに適用し、自動化、合理化、最適化するものと定義している。大量の運用データから「ノイズ」と「重要なシグナル」を分け、アプリケーション性能や可用性に関わるイベントを見つける役割を担うとしている。
Google Cloudはさらに、AIOpsプラットフォームがログ、パフォーマンス指標、イベントなど複数の場所からデータを集め、IT環境全体を把握した上で、異常の特定、問題原因の発見、将来起こり得る問題の予測に使われると説明している。
各社の表現には違いがあるものの、共通するのは「大量の運用データをAIで分析し、人間が行ってきた判断や対応を支援・自動化する」という点だ。
従来型のIT運用では、監視ツールが異常を知らせ、人間が大量のログを調べ、原因を特定し、復旧作業を行うのが一般的だった。
一方、AIOpsでは、その途中にAIが入り、異常を見つける→関連情報を整理する→原因を絞る→対処につなげるという一連の作業を高速化する。
なお、調査会社ガートナーは現在、従来の「AIOps Platforms」と呼んでいた市場を「Event Intelligence Solutions(EIS)」として整理している。2026年8月の実装ガイドでも、EISについて「formerly AIOps platforms(旧AIOpsプラットフォーム)」と明記した。
もっとも、AIOpsという言葉自体が消えたわけではない。Red Hat、IBM、Google Cloud、ServiceNow、Splunkなどは現在もAIOpsという名称を使っており、IT運用にAIを適用する包括的な概念として定着している。
AIOpsで何ができる?代表的な7つの機能
AIOpsを理解する上で最も分かりやすいのは「結局、何をしてくれるのか」を見ることだ。ここでは代表的な7つの機能を紹介する。1つ目が「異常検知」である。従来の監視では「CPU使用率が90%を超えたら警告する」といった固定的なしきい値が使われることが多かった。一方、AIOpsでは過去のデータから通常時の状態を学び、「普段とは違う動き」を見つけられる。
2つ目が、アラートの集約や優先順位付けだ。1つの障害によって、サーバー、ネットワーク、アプリケーションなどから大量のアラートが発生する場合がある。AIOpsは発生時刻やシステム同士の関係を分析し、関連する通知を1つのインシデントとしてまとめる。
3つ目が「イベント相関」である。複数のツールから発生したイベントを結び付け、「これらの異常は同じ原因から起きている可能性が高い」と判断する。
4つ目は根本原因分析、いわゆるRCA(Root Cause Analysis)だ。DynatraceはAIOpsについて、ITスタック各層のデータを取り込み、継続的にAI分析することで、問題の特定、根本原因の把握、修復の自動化につなげられるとしている。
5つ目が予兆検知だ。過去の傾向とリアルタイムデータを組み合わせ、「このまま推移すると容量不足になる」「レスポンスの悪化が障害につながる」といった兆候を早めに捉える。
6つ目は、インシデント対応の自動化である。異常を発見した後、担当チームへの通知、チケット発行、診断スクリプト実行などを自動化できる。
そして7つ目が「自動復旧」だ。事前に安全性を確認した処理であれば、サービスの再起動、リソースの追加、直近の変更のロールバックなどまで自動的につなげられる。Google CloudはAIOpsの自動対応例として、サービス再起動、リソースのスケーリング、変更のロールバックなどを挙げている。
ここまでを見ると、AIOpsは「障害を見つけるAI」ではなく、「IT運用の一連の作業をAIでつなぐ仕組み」であることが分かる。
なぜAIOpsが必要なのか
AIOpsが必要とされる最大の理由は、IT環境が人間だけでは把握しにくいほど複雑になったことにある。現在の企業システムは、オンプレミスだけでは完結しない。AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウド、SaaS、コンテナ、Kubernetes、マイクロサービス、外部APIなどが複雑に組み合わされている。
1つのWebサービスであっても、その裏では多数のアプリケーション、データベース、ネットワーク、外部サービスが連携しているケースは珍しくない。
そして、それぞれからログ、メトリクス、トレース、イベントが発生する。
Splunkは、マイクロサービス、マルチクラウド、ハイブリッドクラウド、コンテナなどの普及によって大量のログやパフォーマンスデータが生まれ、人間のIT担当者だけでは管理が困難になっていると説明する。
そこで起きるのが、いわゆる「アラート疲れ」だ。
100件のアラートが来たからといって、100件の障害が発生しているとは限らない。1つのネットワーク障害が、関連するアプリやデータベースへ影響し、大量の通知を発生させているだけかもしれない。
人間が1件ずつ調査していれば、本当に重大な障害への対応が遅れる。
さらに厄介なのが、原因分析である。「ECサイトが遅い」という現象が起きても、原因はCPU不足かもしれないし、データベースのクエリかもしれない。ネットワーク、外部API、直前のアプリ更新などが原因の場合もある。
だからこそ、大量の運用データを横断的に分析し、「最初にどこで異常が起きたか」「どの障害がどこまで影響しているか」をAIで絞り込む必要がある。
AIOpsが必要なのは、単純にIT人材を減らすためではない。人間がすべての情報を見ることを前提にしたIT運用そのものが限界に近づいているからだ。
AIOpsの仕組み、「検知→分析→復旧」までどう動く?
AIOpsは実際にどのように動くのか。Google Cloudは、AIOpsの仕組みを大きく「観察」「連携」「行動」の3段階で説明している。最初の「観察」では、IT環境全体からメトリクス、ログ、トレース、イベントなどのデータを集める。次の「連携」では、機械学習を使ってデータ同士を関連付け、ノイズと重要なシグナルを分ける。関連するアラートをまとめ、異常を検出し、原因候補を絞り込む。最後の「行動」では、その分析結果を基に、担当者への通知から自動修復までを実行するという。これを実際の障害対応に置き換えると、たとえばWebアプリのレスポンスが突然悪化したとする。まずAIOpsは、レスポンスタイム、CPU、メモリー、データベース、ネットワーク、アプリケーションログなどを確認する。そこで、レスポンス悪化の直前にデータベースへの接続数が急増し、同時に特定のエラーログが増えていたことを発見したとする。さらに、直前にアプリケーションの更新が行われていれば、変更履歴も加えて分析する。
その結果、「アプリの更新後にデータベース接続が急増し、それがレスポンス低下につながっている可能性が高い」と原因候補を絞り込める。
そして、あらかじめ設定された条件に従い、担当者へ通知するか、問題のある変更をロールバックする。
重要なのは、AIOpsが1つのデータだけを見るわけではないことだ。
CPU使用率だけ、ログだけを見るのではなく、「いつ、何が変わり、その直後に何が起こり、どのサービスへ影響したか」という関係性を見る。
この「相関」がAIOpsの肝となる。ガートナーが現在のEvent Intelligence Solutionsに求める主要機能も、クロスドメインのイベント取り込み、イベント相関と情報付加、パターン認識、トポロジー、修復・自動化という構成になっている。
AIOpsのメリットと課題・デメリット
AIOpsのメリットとして最も分かりやすいのが、障害対応の高速化だ。IBMは、AIOpsによって複数環境の運用データを相関させ、ノイズを減らしながら根本原因を特定することで、MTTR(平均修復・解決時間)の短縮につながるとしている。また、大量のアラートを整理できれば、運用担当者が本当に重要なインシデントに集中しやすくなる。予兆検知を活用すれば、障害が発生してから対応する「事後対応型」だけでなく、障害が起きる前に対処する「予防型」のIT運用へ近づける。
さらに、過去のインシデントや対応履歴を分析に使うことで、熟練担当者だけに依存していた障害対応のノウハウを、より広いチームで活用しやすくなる。
一方、AIOpsにも課題がある。最大の問題はデータだ。ログが保存されていなかったり、監視ツールごとにデータが分断されていたりすれば、AIが正しく原因を分析することは難しい。
Google Cloudも、AIOpsの実装ではデータの正確性、完全性、整合性を確保する必要があると指摘している。
誤検知も避けられない。
さらに、AIが「このサーバーを再起動すべき」と判断することと、実際に本番サーバーを再起動することは別問題である。自動化へ進むほど、実行権限、監査ログ、承認フロー、ロールバックなどの設計が重要になる。
つまりAIOpsには以下のようにメリットと課題がある。
| メリット | 課題 |
| アラートノイズの削減 | データ品質に左右される |
| MTTRの短縮 | 誤検知の可能性 |
| 障害の予兆検知 | 既存ツールとの統合が必要 |
| 属人化の軽減 | 導入・運用スキルが必要 |
| 定型作業の自動化 | 自動実行時の安全性 |
| 運用負荷の削減 | 権限・監査設計が必要 |
「AIを入れれば運用が勝手に自動化される」と考えるのは危険だ。
AIOpsの代表的なユースケース
AIOpsはどのような場面で使われるのか。代表例の1つが、インフラやアプリケーションの異常検知だ。通常時のデータを学習し、CPUやメモリー、レスポンス時間などに普段とは違う動きが出た場合に警告する。
2つ目は、アラートの集約だ。サーバー、ネットワーク、クラウド、アプリなどから大量の通知が発生した際に、同じ障害に起因するものをまとめる。
3つ目が根本原因分析である。IBMはAIOpsのユースケースとして、AIによるリアルタイムの根本原因分析を利用し、MTTD(平均検知時間)やMTTRの短縮につなげる使い方を紹介している。
4つ目がパフォーマンス最適化だ。過去のリソース使用量を分析し、「来月にはCPU容量が不足する可能性がある」「繁忙期はWebサーバーを増やした方がよい」といった判断を支援する。
5つ目がクラウドコストの最適化である。リソースが過剰に割り当てられている場合に縮小したり、逆に性能不足が予測される場合に増強したりする。
6つ目がインシデント対応の自動化。異常を検知したら、チケットを登録し、担当者へ通知し、必要な診断処理まで走らせる。
そして最終段階が自動修復だ。たとえば、サービス停止を検知した場合にプロセスを再起動する。負荷が急増した場合にリソースを追加する。問題のある変更をロールバックするといった処理である。
これらはすべてを一度に導入する必要はない。アラート整理から始め、根本原因分析、定型作業の自動化、自動修復へ段階的に進める方が現実的だ。
AIOpsとMLOps・DevOps・オブザーバビリティの違い
AIOpsを検索すると、MLOpsやDevOps、オブザーバビリティなど似た言葉が数多く出てくる。違いは「何を運用・管理するのか」で考えると分かりやすい。
| 用語 | 主な目的 | 主な対象 |
| AIOps | AIでIT運用を高度化する | ITシステム・運用データ |
| MLOps | MLモデルを安定して運用する | 機械学習モデル |
| DevOps | 開発と運用を連携する | ソフトウェア開発・運用 |
| オブザーバビリティ | システム内部の状態を理解する | ログ・メトリクス・トレース |
| AgentOps | AIエージェントを管理する | AIエージェント |
特に混同されやすいのがAIOpsとMLOpsだ。簡単に言えば、AIOps=AIでITを運用する
MLOps=AI・機械学習モデルそのものを運用するという違いだ。
DevOpsは、開発と運用を一体化し、ソフトウェアを継続的かつ高速に提供するための文化やプロセスを指す。AIOpsはDevOpsと競合する概念ではない。むしろ、DevOpsによって高速化・複雑化したIT環境を、AIで監視・分析する役割を担う。
オブザーバビリティとの違いも重要だ。オブザーバビリティはログ、メトリクス、トレースなどを通して「システム内部で何が起きているか」を理解できる状態にする。一方のAIOpsは、そこで得た大量の情報をAIで分析し、「何が異常なのか」「なぜ起きたのか」「どう対処するか」までつなげる。
そしてAgentOpsは、AIエージェント自身の運用管理を指す。AIエージェントがリアルタイムで意思決定する際、その振る舞いや予算、安全性などを管理するためのフレームワークと言える。
AIOpsツールとは?代表的な製品と選び方
AIOpsは特定の製品名ではない。各ベンダーが、オブザーバビリティ、イベント相関、異常検知、根本原因分析、ITSM、自動化などを組み合わせた製品・サービスを提供している。代表的なプレーヤーとしては、IBM、ServiceNow、Splunk、Dynatrace、Datadog、Red Hatなどがある。
ただし、「AIOpsツール」という名前だけで横並びに比較するのは難しい。ServiceNowはIT Operations Managementの中で、イベント相関、異常検知、根本原因分析などを提供している。
Splunkはイベント管理、予測分析、インシデントの優先順位付けなどをAIOps用途として展開する。
一方、DynatraceはオブザーバビリティとAIを組み合わせ、異常検知や根本原因分析、環境の自動検出などに強みを置く。
つまり、「どのAIOpsが一番良いか」ではなく、自社は何に困っているかから考える必要がある。
たとえばアラートが多すぎるならイベント相関が重要になる。アプリケーション障害の原因特定に時間がかかるなら、オブザーバビリティやRCAの性能が重要だ。運用ワークフロー全体を自動化したいなら、ITSMや自動化ツールとの連携が重要になる。
Google CloudはAIOpsソリューションを、「ドメイン中心型」と「ドメイン非依存型」の2種類に整理している。前者はネットワークやアプリ、クラウドなど特定領域に特化し、後者は複数の監視・ITSM・セキュリティツールを横断して分析するという。
この違いを理解した上で、自社の対象範囲を決める必要がある。
| 製品・サービス | 主な強み | イベント相関 | RCA | 自動化 | ITSM連携 | 向く企業 |
| ServiceNow | ITSM・ITOM統合 | ○ | ○ | ○ | ◎ | ServiceNow利用企業 |
| Splunk | ログ・イベント分析 | ◎ | ○ | ○ | ○ | 大量ログを扱う企業 |
| Dynatrace | オブザーバビリティ | ○ | ◎ | ○ | ○ | アプリ監視重視 |
| Datadog | クラウド監視 | ○ | ○ | ○ | ○ | クラウドネイティブ |
| Red Hat | 自動化との連携 | ○ | ○ | ◎ | ○ | Ansible利用企業 |
AIOps導入は何から始める?5ステップ
Step1:まず「困っていること」を決める最初からAIOps導入を目的にしてはいけない。「アラートを半分にしたい」「障害原因の特定時間を短くしたい」「夜間対応を減らしたい」など、具体的な運用課題を決める。
Step2:ログやメトリクスを確認する
次に、分析に必要なデータが取れているかを見る。ログ、メトリクス、トレース、イベントだけでなく、構成情報、変更履歴、過去の障害チケットなども重要になる。
Step3:ノイズ削減から始める
最初からAIに本番環境を操作させる必要はない。関連アラートの集約や重複通知の削減など、人間の判断を支援する用途から始める方が安全だ。
Step4:根本原因分析へ広げる
次に、トポロジーや変更情報などを使い、AIに障害原因候補を提示させる。この段階では、AIが提案→人間が判断という運用が基本になる。
Step5:安全な処理から自動化する
最後に、チケット発行、通知、診断スクリプト、サービス再起動などを自動化していく。ガートナーの2026年8月の実装ガイドでも、EISについて基本的なノイズ削減から自動対応・修復へ段階的に進むことが重要とされている。
AIOpsは「完全自動化から始める」のではない。人間が確認していた作業を、リスクの小さいところから1つずつAIへ移していくのが現実的な導入方法である。
AIOpsの導入事例、実際どこまで効果が出る?
AIOpsは理論上の概念だけではない。実際の企業でも、アラート削減や障害対応時間の短縮に使われている。IBMが公開したブラジルの通信事業者Brasil TecParの事例では、同社のネットワーク運用基盤「CORTEX」でIBM Cloud Pak for AIOpsなどを活用。1日最大30万件のアラートを処理しながら、アラートノイズを70%超削減し、光ファイバー断線時のインシデント対応速度を84%改善したという。また、同社が紹介するクロアチアのIT事業者APIS ITの事例では、AIOps関連の仕組みを活用することで、組織全体のMTTRを最大50%短縮し、アプリケーション関連のインシデントチケットを20%削減、15%のインシデントを事前回避したとしている。
国内でもAIOpsの活用が始まっている。Backlogなどを提供するヌーラボは、DatadogのAIエージェント「Bits AI SRE」を導入。少人数のSREチームが担う監視業務に組み込み、アラートを受信するとSlack上からAIに調査を依頼する。関連するログやメトリクスなどを基に原因究明を支援させることで、複雑化するインフラのインシデント対応を効率化しているという。
もっとも、これらはベンダーが公開した顧客事例であり、同じ効果がすべての企業で出るわけではない。
また、AIOps導入による効果を測る際には以下のようなKPIを見る必要がある。
| 指標 | 確認したい変化 |
| アラート件数 | 不要な通知が減ったか |
| MTTD | 異常の発見が速くなったか |
| MTTR | 復旧まで短くなったか |
| 夜間呼び出し | 担当者負荷が減ったか |
| 自動解決率 | 人手不要の処理が増えたか |
| 障害件数 | 予防できる問題が増えたか |
「AIを入れた」ではなく、「IT運用がどう変わったか」で評価することが重要だ。
AIOpsの今後、生成AI・AgentOpsでどう変わる?
AIOpsを巡る大きな変化が、生成AIの登場である。従来型のAIOpsは、機械学習による異常検知、イベント相関、根本原因分析などを得意としてきた。一方、生成AIは人間が理解しやすい言葉で状況を説明できる。たとえば、「昨夜からレスポンスが悪化した理由を調べて」「昨日のデプロイと今回の障害に関係はある?」と自然言語で質問し、AIに複数のログやエラーを調べさせる使い方だ。
Google CloudはGemini Cloud Assistについて、ログやエラーメッセージを自然言語で分析し、複数サービスの情報を関連付け、原因候補や修正方法を提示する用途を紹介している。さらに、リソース利用状況やセキュリティ上の問題を調べ、最適化の提案にも利用できるとしている。
さらに、AIエージェントの普及に伴って注目されているのが「AgentOps」だ。AgentOpsは、AIエージェントの開発から配備、監視、評価、改善までを継続的に管理するための考え方を指す。
AIOpsがAIを使ってIT運用の監視や分析、異常検知などを高度化するのに対し、AgentOpsでは、自律的に判断・行動するAIエージェントそのものをどのように安全かつ安定的に運用するかが重要になる。エージェントの挙動を追跡したり、判断の妥当性を評価したり、権限やコストを管理したりする仕組みも対象となる。
ただし、「AIOpsがAgentOpsにそのまま置き換わる」わけではない。AIエージェントがIT運用に関わる場合でも、判断の材料となるログ、メトリクス、トレース、イベントなどの運用データは欠かせない。AIOpsで培われてきたデータ収集や分析の仕組みを土台に、AIエージェントを管理するAgentOpsの重要性が高まっていく、と捉えるべきだろう。
さらにガートナーは2025年以降、従来のAIOps Platforms市場をEvent Intelligence Solutionsとして整理し、AIを使ったイベント相関やパターン認識、修復の高速化を中核機能としている。つまり、AIOpsがなくなるのではなく、「異常を見つけるAI」から「判断し、行動するAI」へIT運用の自動化範囲が広がっていると捉えたほうがいいだろう。
AIOpsに関するよくある質問
Q.AIOpsとは簡単に言うと何ですか?AIや機械学習を使ってITシステムの運用を効率化・自動化する考え方である。大量のログやアラートを分析し、異常検知、イベント相関、根本原因分析、対応の自動化などにつなげる。
Q.AIOpsは何と読みますか?
「エーアイオプス」と読む。「Artificial Intelligence for IT Operations」の略として一般に使われている。
Q.AIOpsで何ができますか?
主に異常検知、アラート集約、イベント相関、根本原因分析、障害予測、インシデント対応、自動復旧などに使われる。
Q.AIOpsとMLOpsの違いは何ですか?
AIOpsはAIを使ってITシステムを運用する。一方のMLOpsは、機械学習モデルの開発、デプロイ、監視、再学習などを管理する。対象が異なる。
Q.AIOpsとDevOpsの違いは何ですか?
DevOpsは開発と運用が連携してソフトウェアの開発・提供を改善する考え方である。AIOpsはAIを利用してIT運用の監視・分析・自動化を高度化する。両者は競合するものではなく、組み合わせて利用できる。
Q.AIOpsとオブザーバビリティの違いは何ですか?
オブザーバビリティは、ログ、メトリクス、トレースなどからシステム内部の状態を把握できるようにする考え方だ。AIOpsは、そこから得られる大量のデータなどをAIで分析し、異常や原因の特定、対応へつなげる。
Q.AIOpsのデメリットや課題は何ですか?
データ品質や監視範囲が不十分だと分析精度が上がらないこと、既存ツールとの統合が必要なこと、誤検知が起こり得ること、自動実行時の権限・安全性・監査を設計する必要があることなどが挙げられる。
Q.AIOpsを導入すると運用担当者はいらなくなりますか?
現時点では、運用担当者が不要になるとは考えにくい。異常検知や原因分析、定型作業をAIへ移せる範囲は広がっているが、本番環境への重大な変更や例外的な障害、事業への影響を伴う判断では人間の関与が必要になる。
むしろAIOpsの普及によって、運用担当者の仕事は「大量のアラートを見ること」から「AIが整理した情報を基に重要な判断をすること」へ変わる可能性が高い。
Q.生成AIもAIOpsに使われますか?
すでに利用が始まっている。生成AIを使ってログやエラーを自然言語で分析したり、インシデントを要約したり、原因候補や対応方法を説明したりする用途がある。
Q.AIOpsは今後AgentOpsに置き換わりますか?
現時点で置き換わると断定するのは早い。AgentOpsはAIエージェントが推論、計画、実行まで担う考え方だが、その判断にはAIOpsで蓄積・整理される運用データが不可欠になる。
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