- 2026/09/01 06:30 掲載
【量子5方式の勝敗】“量子ビット数”に騙されるな、企業がやるべき3つのこと(3/4)
企業がやるべき“3つのこと”、量子戦略の組み立て方
では、量子コンピューターに関心を持つ企業は、具体的に何をすべきなのか。手塚氏の助言から、3つのポイントが浮かび上がる。ポイント(1)「自社が解きたい問題」を明確にする
第1に、「自社が解きたい問題」を明確にすることだ。量子コンピューターのどの方式が適しているかは、業界ではなく解くべき問題の性質で決まる。
高精度に時間をかけて解くべき問題なのか、高速にたくさんのサンプルを得たいのか。変数はどのくらいあるのか、リアルタイム性はどの程度求められるのか。この「自社の理解」がなければ、適切な方式もパートナーも選べない。
「本質的に、どんな問題が解きたいかをしっかり自分たちで理解することが必要です。最終的には、それと相性の良い方式はどれかという選び方になるはずです」(手塚氏)
ポイント(2)「時間軸」を意識する
第2に、「時間軸」を意識することだ。直近で価値を出したいのか、中長期的な研究開発として取り組むのかで、組むべきパートナーは変わる。
すでに使えるプロセッサーで短期的な価値を出す方向に注力している企業もあれば、将来の大きなブレークスルーに向けて基礎研究を深掘りしている企業もある。自社の経営判断として、どの時間軸での価値を求めるかを明確にすべきだ。
なお、「いつ実用化されるか分からない」という不確実性に対しては、ベンダーのロードマップに加えて、アルゴリズムの進展という軸も参考になる。量子アルゴリズムは年々改善されており、現在の技術水準だけで見積もった「10年後」という予測は、アルゴリズムの改善によって大幅に前倒しされる可能性がある。
論文の成果推移などの客観的な技術データを並べて、「遅くともここ、早ければここ」というレンジで見る方法もある。
ポイント(3)「量子コミュニティ」に参画する
そして第3に、「量子コミュニティへの参画」だ。手塚氏はこれを特に強調する。
「コミュニティに入らないと、いざ開発を始めようと思ったときに重要な情報や計算インフラにアクセスしにくい可能性があります。一次情報にアクセスするために、自社で1人でも量子の専門家を育てておくことは将来的な価値になると思います」(手塚氏)
量子コンピューターは「何が起こるか分からない」技術領域だ。ある方式が突然ブレークスルーを達成する可能性もあれば、想定外の技術的壁にぶつかる可能性もある。他のテクノロジーと比べても、この予測不可能性は際立っている。
だからこそ、常に最新動向をウォッチし続け、いざというときに動けるコネクションを維持しておくことが重要なのだ。 【次ページ】IBM・Google・IonQ…主要プレイヤー5社、戦略はこう違う
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