- 2026/07/13 掲載
なぜ日本はAIで米中に勝てないのか?「世界11位」でも喜べない「教育の致命的欠陥」
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Xアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/
★本連載が書籍化されました★
『どうすれば日本経済は復活できるのか』 著者:野口悠紀雄
購入サイトはこちら:https://www.sbcr.jp/product/4815610104/
日本は世界11位…“AI後進国”でなくとも満足できない理由
前回、ロシアがAI分野で著しく遅れていることをみた。では、日本はどうか。英トータス・メディアの「Global AI Index」(2024年版)によれば、AI分野で日本は世界83カ国中第11位である。
1位と2位は米国と中国であり、日本と両国との差はきわめて大きい。
ただし問題は、それだけではない。シンガポール、イギリス、フランス、韓国、ドイツ、カナダ、イスラエル、インドも日本より上位にある。
日本が世界第11位であるという数字は、決して最下位に近いということではない。むしろ、全体として見れば上位グループに入っているとも言える。しかし、日本の経済規模や、かつての技術立国としての地位、製造業における蓄積などを考えれば、第11位という位置に満足してよいとは言えない。特に重要なのは、順位そのものよりも、上位国との差の質だ。
AIは、重化学工業や自動車産業が中心であった時代とは異なる競争原理で動いている。かつての日本は、品質管理、生産現場の改善、部品のすり合わせ、そして熟練労働によって、高い競争力を築いた。しかしAIでは、ソフトウェア、データ、計算能力、研究開発の速度が決定的な意味を持つ。ここで遅れれば、製造業の現場がいくら優れていても、世界の技術体系の中心から外れていく。
この状態を変えていかない限り、世界における日本の地位は、今後ますます低下していくと考えざるをえない。
【SaaSの死】成長企業を沈ませる米国AIの「創造的破壊」
米国でAIを中心として大きな変化が起きていることは、言うまでもない。米国社会は、今AIを軸として大きく変わろうとしている。ただし、これによって、すべての企業の株価が上昇しているわけではない。実際には、ついこの間まで成長企業と考えられていたSaaS企業の株価が下落している。これまでSaaS企業が提供していたサービスが生成AIに代替されてしまうからだ。
これは「SaaSの死」と呼ばれる現象だ。古いものが退場し、新しいものがそれにとって代わる。こうして経済が急速に変わっていく。これは、経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが言った「創造的破壊」そのものと言えるような状況だ。 【次ページ】【SaaSの死】成長企業を沈ませる米国AIの「創造的破壊」
AI・生成AIのおすすめコンテンツ
AI・生成AIの関連コンテンツ
PR
PR
PR