- 2026/09/11 06:30 掲載
なぜ日本人は「現金・預金」が大好き?話題のトランプ口座から読み解く日米のお金観(2/2)
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
日本人はなぜ「現金・預金」を好む?
トランプ口座は、日本で根強い「株式投資はばくち」との考え方の対極にあるだろう。さらに突き詰めるならば、質素倹約を尊ぶ価値観の下、「お金=汚いもの」「お金=悪いもの」「お金持ちはズルをしてもうけている」という歴史的な観念が、日本人の金融資産に対する考え方を規定してきたことが、日米間に違いがある理由の1つとして挙げられるだろう。
そうした金融哲学の違いは、日米の家計における金融資産の構成の違いに端的に表れている(下図)。日本では圧倒的に低リスクの現金・預金の比率が高いのに対し、米国では高リスクの株式と投信がダントツの1位となっているのだ。
日本では2027年1月から日本版トランプ口座とも位置付けられる「こどもNISA」が始まる。しかし、新NISAやiDeCoだけでなく、一般の株式投資も増えているとはいえ、まだ現金・預金のほうが多い。日本でも株価が最高値圏で推移しているものの、歴史的な個人金融資産の伸び率は、米国のほうが圧倒的に高い。
また、日米の税制も大きく異なる。米国では自己責任で高リスクの401(k)(企業型の確定拠出年金)やIRA(個人退職勘定)などの退職資金プランが重要な投資手段となっているのに対し、日本では低リスク・低リターンの国民年金や企業年金が主要な資産形成手段だ。
日米間の文化的なギャップが、すぐに埋まることは考えにくい。なぜなら、「お金」に対する基本的な認識や教育が日米で異なっていることに加えて、金融資産を持つ者と持たざる者の間に必然的に生まれる富の格差を、多くの日本人は好まない傾向があるからだ。
米国でさえ、トランプ口座に対しては、「長期投資と金融リテラシーを促進する」という支持派と、「可処分所得が限られている金融情報弱者の世帯は追加の拠出ができず、口座の恩恵を十分に受けられない可能性がある」という批判派の意見が対立している。
金融資産に関しては、経済格差の拡大は避けて通れない問題であり、つい最近まで「一億総中流」であった日本では、特にその傾向が強い。
日本人が好む「正しい商い」、米国との違いはどこから?
日本は共同体重視の社会で一部だけが富むことへの後ろめたさ、無から有を生み出す錬金術的な発想への嫌悪が残る傾向にある。一方で米国は、「WIRED」の記事で紹介されたように、キリスト教的な価値観と起業家精神を結びつける動きが現れ始めるなど、聖書的な起業精神や、自己責任を強調する個人主義が根強い傾向にあると言えるだろう。極端な言い方をすれば、お金を増やさないことは悪でさえあるのだ。
この宗教的な背景の違いやお金もうけに対する割り切り度の相違は、日本における有価証券への投資増加や、投資に関する税制優遇制度の利用が進んでも、根強く残るのではないだろうか。
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