- 2026/10/13 06:30 掲載
電力3社・鉄道4社の「銀行」参入、ほくでんBANKが示す“BaaSの変質”とは?(3/3)
FINOLABコラム
【一覧】鉄道4社の新銀行…手を組むのは“意外な銀行”
2026年に入ってから立て続けに鉄道会社が参入を表明しており、下表の通り、2027年以降は各社の開業が続くものと予想される。2026年までのBaaS提供銀行のほとんどが、支店を持たないネット専業銀行であったが、鉄道各社との連携を表明しているのは、メガバンクを含む支店網を持つ既存銀行グループであり、各行の顧客基盤や店舗網と、鉄道会社が持つ沿線の顧客接点を組み合わせる動きとして注目される。
2027年以降に開業予定のバンキングサービス
| サービス名 (全て仮称) |
事業者 | BaaS 提供銀行 |
開業時期 | サービスの特徴 |
| Hankyu Hanshin cross BANK | 阪急阪神 カード |
池田泉州銀行 | 2027年以降 | グループ内の多様なサービスと沿線における各種事業を地域金融機関と連携することによってワンストップで利用できるようにする |
| WESTER ミライバンク |
JR西日本 | 関西みらい銀行 りそなグループ |
2027年度中 | 2025年に開始したキャッシュレス決済「Wesmo!」との連携など決済機能の強化とともに、沿線サービスとの連携による地域活性化を図る |
| 近鉄 KIPS BANK | 近鉄 | 三菱UFJ銀行 | 2027年3月 | KIPS経済圏におけるアプリ・ポイント・カードの活用によって、商業施設や不動産などのグループサービスとの連携を強化する |
| JQ BANK | JR九州 | SBI新生銀行 SBIグループ |
2027年度中 | SBIが開発中の銀行や証券のほか、保険や暗号資産(仮想通貨)などさまざまな金融商品を一体で取引・管理できる総合金融アプリを利用し、総合金融サービスを提供する |
非金融事業者によるバンキングサービス参入ではないが、三菱UFJフィナンシャルグループがふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行が提供する銀行基幹システムを利用して新たに設立するデジタルバンク「エムットバンク」は2027年1~3月に開業を予定しており、グループ内の証券やカードと連携してリテール総合金融サービスを目指す点も注目される。
【結論】BaaSの“異変”…銀行は「地域を作り直す基盤」へ
非金融事業者によるBaaS活用は、新たな段階に入りつつある。当初は、銀行が持つ預金・決済・融資などの商品を非金融事業者が自社顧客に提供する、いわば「銀行商品のホワイトラベル化」としての性格が強かった。しかし、「JRE BANK」や「ほくでんBANK」などでは、ポイントや本業サービスとの連携を通じて、自社の顧客経済圏に金融機能を組み込む方向へと進化している。
さらに今後開業する鉄道系サービスでは、鉄道沿線サービスや地域金融機関との連携、証券・保険を含む総合金融サービスなど、金融機能を地域や生活サービスのプラットフォームとして活用する動きもみられる。
BaaSの担い手についても、ネット専業銀行中心の構造から、店舗網や地域基盤を持つ既存銀行グループへと広がり始めている。
こうした変化を踏まえると、BaaSは単に「銀行機能を外部提供する仕組み」から、非金融事業者が顧客接点を強化し、自社経済圏を形成し、さらには地域のサービスを再設計するための基盤へと変わりつつある。
「ほくでんBANK」は、電力という継続的な生活接点と金融を結び付けることで、このBaaSの変質を象徴する事例の1つと位置づけることができる。
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