- 会員限定
- 2026/01/23 更新
トヨタ・パナもヤバい?EU「Buy European」の衝撃、日本製品はどうなるのか
EUが域内優先へ動く理由 保護主義か安全保障か
欧州連合(EU)で「Buy European」を巡る議論が再燃している。背景には、地政学リスクのさらなる高まりと、戦略物資・防衛分野での域外依存への警戒がある。象徴例が「SAFE(Security Action for Europe)」だ。欧州委員会の説明では、優先防衛装備の共同調達を支援しつつ、調達契約で「EU・EEA/EFTA・ウクライナ域外の部品コストは35%を超えてはならない」とする。
なぜ今この議論が再燃したのか。コロナ禍の供給混乱、ロシアのウクライナ侵攻、米中対立の先鋭化が重なり、供給途絶が「コスト」ではなく「安全保障」の問題として扱われるようになったからだ。欧州議会調査局の資料も、防衛資金の議論がEU政策の中核に移った経緯を整理している。
また、ロシア情勢・米中対立との関係もある。域外依存の矛先はエネルギーだけでなく、半導体や電池材料など広範な産業財に及ぶ。EUは「戦略的自律性」を掲げ、供給網を“価格最優先”から“リスク最小化”へ寄せる。その延長線上に「Buy European」が位置づく。防衛分野の制度設計が先行し、他分野へ波及する可能性を市場は意識し始めている。
自動車・EV・電子部品など…日本企業の「強み」が焦点に
域内優先の議論が産業界で神経質に受け止められるのは、自動車・EV・電子部品がEUの成長と雇用を支える中核であり、同時に域外サプライヤーへの依存度が高い領域だからだ。EUは電動化を進める一方、重要原材料や中間加工の供給が域外に偏る。欧州委員会は重要原材料政策として「Critical Raw Materials Act(CRMA)」を掲げ、単一国依存の低減を目的に据える。
域外依存の“見える化”は統計にも表れる。レアアースについてEU統計局は、2023年の輸入で中国が重量ベース39%を占めたと公表した。こうした数字は「特定国に偏る調達」への政治的圧力を強める。
日本企業は欧州メーカーにとって、品質・供給安定性で重要な調達先となってきた。だが、域内優先の議論が進むほど「域外であること」自体が論点化しやすい。特に公共調達や補助金が絡む領域では、制度の文言一つで競争条件が変わる。
消費者にとっても、EVや家電の価格・供給に跳ね返り得るため、産業政策の話が“生活の話”に転じやすい局面に入っている。 【次ページ】検証:EUは本当に日本勢を「締め出し」するのか?
グローバル・地政学・国際情勢のおすすめコンテンツ
グローバル・地政学・国際情勢の関連コンテンツ
PR
PR
PR