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  • 2019/09/13 掲載

「他業種コラボ」こそ金融機関の生きる道、注目の3ジャンルとは

FinTech Journal創刊記念インタビュー

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前編では、チャレンジャーであるベンチャーの視点からフィンテックブームを俯瞰した。本編では既存の金融機関の立場でフィンテックブームの“葛藤”を考察する。小川氏は「既存の金融機関は、フィンテックに対して本気でないから成果が上げられない。収益を追求しないなら取り組んでいる意味がない」と手厳しい。その一方で、同氏は3つの注目ジャンルを紹介、今後のFinTechブームを展望した。

聞き手:編集部 松尾慎司・山田竜司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 松尾慎司・山田竜司、構成:吉田育代

画像
みずほ証券
イノベーション企業戦略部 ディレクター
FINOVATORS Founder
小川 久範 氏


なぜ既存の金融機関はフィンテックで成果を上げられないか

 フィンテックベンチャーが続々出現する中で、既存の金融機関も彼らなりに動きを見せた。ここ数年の最もわかりやすい施策は「対応組織の創設とフィンテックベンチャーとの協業」だと小川氏は語る。

「デジタル何とか部を設けたり、CDO(Chief Digital Officer)を任命したりといった動きは出てきたと思います。また、オープンイノベーション的な取り組みで、ベンチャーを支援する施設やプログラム、ファンドを作ったり、デジタル人材をIT業界から採用して実際にプロダクトを作ったりといった動きもあります。しかし、それが何か目立った成果を上げたかというと疑わしく、おそらく今その状況が検証される時期に来ていると思います」(小川氏)

 なぜ目に見える成果が出ないのか。これは規制産業であるがゆえの呪縛なのだろうか。たとえば、Blue Labはみずほ銀行が出自のオープンイノベーション系インキュベーターだが、同社はみずほ銀行の子会社という位置づけにはない。

「規制があるというなら、規制を変えるというところから動かなければなりません。実際、フィンテックベンチャーは協会を作って要望を出しているわけではないですか。ベンチャーが当たり前のようにそれをやっている中で、既存の金融機関も本気で取り組むというのであれば、提案をしていくべきでしょう。『そんなことをしたら上司の面子をつぶす』『金融庁に意見するのは恐れ多い』などと考えてできない理由を探しているうちは、本気ではないのでしょう」(小川氏)

並大抵ではない大企業の「合意形成」

 ただ、理解できる点もあるようだ。大きな組織は合意を得るための努力が並大抵ではないのだ。

 ベンチャーであればオーナー社長1人を説得すれば何とかなるのに対し、金融機関だと何層にもプロセスがあって、「誰を」「どの順番で」「どう動かすか」といった根回しも必要になる。『こんなことをしているぐらいなら自分がベンチャーに転職した方が早い』と飛び出す人も出てくるのだろう。

 また、技術革新も彼らの立場を難しいものにしている。これまでは、金融に関する専門知識や業務知識が必要であるのに加え、大規模なシステム投資がかかるために、金融業界は誰もが参入できる分野ではなかった。

 ところがテクノロジーの進化により、前者はソフトウェアとしてパッケージ化、モジュール化して提供され、後者もホストコンピューターではなくAWSのようなクラウドサービスを利用することでコストを抑えられる。そうなると事業会社が自社サービスの附帯機能として金融サービスを取り入れることが可能になる。

 実際、事業会社が与信や決済を専門に担うフィンテックベンチャーと組むなど金融機能のアンバンドリング(解体)とリバンドリング(再結合)がいくつも起きている。「既存の金融機関はもっと動かねばならない」と小川氏は警告する。


「これからは収益面での成果が問われます。まだ満足のいく成果は出ていないので、規制面の問題はあるにせよ、M&Aなり、起業家を金融機関の中に迎えるなり、規制の網がかからないところで羽を広げるなり、もう一歩踏みこむ時期に来ていると思います」(小川氏)

 小川氏は、「『オープンイノベーションだからAPIを公開しました、頑張ってできてよかったね』で終わってしまっては意味がない」と指摘。収益に貢献してこそのフィンテックであると力を込めた。

【次ページ】3つの注目テクノロジージャンル

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