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  • 分散型金融(DeFi)とは何か? 分散型サービスで見えてくる金融の未来

  • 2019/10/01

分散型金融(DeFi)とは何か? 分散型サービスで見えてくる金融の未来

インターネットの片隅に、暗号資産を通じて提供される金融サービスが注目を集めつつある。これらは分散型金融サービス「DeFi(Decentralized Finance)」と呼ばれ、従来の金融システムとは異なった発展の仕方を見せつつある。そして、このDeFiは、従来の金融システムが、デジタルトランスフォーメーション(DX)による変革の末に行き着く姿とも言える。本稿ではDeFiの本質と仕組みを解説し、従来型の金融機関が学ぶべきポイントについて説明する。

有限責任監査法人トーマツ デロイトアナリティクス マネジャー 前嶋 陽一

有限責任監査法人トーマツ デロイトアナリティクス マネジャー 前嶋 陽一

学生時代に慶應義塾大学村井純研究室にてP2Pネットワーク技術と地域通貨を学ぶ。卒業後、ビッグデータを処理する大規模分散処理技術の研究員を経て、2015年より仮想通貨とブロックチェーンの調査研究を担当。現在では様々なクライアントのブロックチェーン戦略策定プロジェクトや実証実験プロジェクトに参画するほか、仮想通貨取引分析システム「BCollect」の設計・開発を主導。筑波大学非常勤講師。(担当教科:「ブロックチェーン技術と地域未来創生」)

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スマートコントラクトの台頭で分散型サービスの重要性が増している
(Photo/Getty Images)

DeFiとはスマートコントラクトで動く金融エコシステム

 DeFiとはスマートコントラクトで動く金融サービスの総称であり、それらのサービスが連携して実現する直接金融型のエコシステムである。

 サービスはトークン化された暗号資産を用いて提供される。そのトークンの取引は、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを通じて行われるため、開発者や投資先が海外の名前も知らないスタートアップであるというような信頼性が低い状況でも、安心して利用できる。

 DeFiのサービスや機能はまとまりのないサービスが羅列されているように見えるが、これらは連携しあって、幅広い領域で直接金融型の「市場サービス」を、従来の金融よりも細かな粒度で提供することを目指している。
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図1 分散型金融DeFiの概観

取引相手が信頼できなくても使える仕組み

 一度ブロックチェーンにスマートコントラクトを書き込むと、原則として開発者であっても管理者であっても、その契約内容は書き換えられない。契約の当事者が合意した上でスマートコントラクトを利用すれば、そのプログラムは相互に勝手に書き換えられず、確実に実行される。

 そのため、取引相手が信頼できなくても安心して契約を行うことができる。スマートコントラクト内で保証される内容であれば、インターネットの向こう側の匿名の相手であっても契約を結ぶことができる。

 これまでは信頼できる金融機関が仲介役として入らなければ実現できなかったような契約内容を、海外の名も知れないスタートアップが仲介者なしに実現し、それを世界中のユーザーが利用するようになるかもしれないのだ。

「トークン化」と「分散型取引所」を連携しさまざまな市場を構成

 DeFiで中心となる機能は「トークン化」と「分散型市場」である。トークン化とは現実世界の資産や義務・権利をブロックチェーン上で独自の暗号資産をとして発行・表現する技術である。

 分散型取引所とはトークンに対する売買注文を約定・流通させる市場をブロックチェーン上へ構築する技術である。そこへAMLや投資家制限のために投資家のアイデンティティと取引のルールをまとめた「コンプライアンス」の機能が付け加えられることが多い。これらの機能を組み合わせて、DeFiはさまざまな市場サービスを構成する。
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図2 DeFiの機能連携イメージ

 P2Pレンディングを考えてみよう。貸し手はステーブルコイン発行サービスなどを利用し、ブロックチェーン上で流通できるトークンを手に入れる。借り手は債券発行サービスを利用し、債券トークンを手に入れる。

 それぞれ取引所に注文を出し、価格(債券の場合は利率)が合えば約定となり、取引が行われる。債券の償還期限が到来したら借り手は返済し、貸し手は債券を返却する。
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図3 DeFiによるP2Pレンディングのイメージ

 このように、DeFiではブロックチェーン上で価値を表し管理する「トークン化」が基盤となり、そのトークン同士を「分散型取引所」が結びつけ流通させることで、さまざまな直接金融市場を実現する。

【次ページ】多様化する「トークン」と相互連携する「分散型取引所」

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