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  • みずほFG 取締役兼執行役専務 石井哲氏に聞く“金融を超えた価値”を創るデジタル戦略

  • 2019/10/16

みずほFG 取締役兼執行役専務 石井哲氏に聞く“金融を超えた価値”を創るデジタル戦略

FinTech Journal創刊記念インタビュー

日本の金融業界はこの10~20年、大きな変化の渦中にあった。では、国内の金融各社はこの状況に対応できたのか。みずほフィナンシャルグループの取締役兼執行役専務であり、みずほ銀行の副頭取執行役員を務める石井哲氏に単独インタビューを行い、金融業界の変化に対応する同行のデジタル戦略とこれからの展望について話を聞いた。

聞き手:編集部 松尾慎司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 松尾慎司、構成:吉田育代

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みずほフィナンシャルグループ 取締役兼執行役専務
デジタルイノベーション担当役員 兼
IT・システムグループ長 兼 事務グループ長
みずほ銀行 副頭取執行役員
石井 哲 氏

温存されたギャップがデジタル技術で顕在化

 金融の世界では今、これまで類例のなかった構造改革が進みつつあります。背景としてまず挙げられるのが、「外部環境とのさまざまなギャップ」です。これは、時代の変化に金融が対応しきれなかったことで生じたものです。

 この10~20年間を振り返れば、金融業界は各種の規制緩和やアジアなどの新興市場の勃興など、絶え間ない変化にさらされてきました。その対応に向け、金融各社はその時々に合わせて、自身が行える枠組みの中で自らの「在り方」を見直してきました。

 たとえば、銀証連携(銀行と証券会社の業務やサービス連携の総称)がこれほど広がったことも、変化に対応しようとする努力があったからです。

 しかし、徹底的に「自己変革したか」と言えば、そうは言えないことも認めざるを得ません。

 その原因は金融業界が抱える、長年をかけて整備してきた巨大な経営インフラにあります。自己の見直しとは、「インフラ」にメスを入れること。当然、相応の痛みを伴います。

 そして、その覚悟が不十分であったために、徹底的な自己否定までは踏み込めず、結果的にいくつもの“ギャップ”が金融機関に温存されたままになってしまいました。

 こうした中、デジタル技術を引っ提げた、いわゆる「プラットフォーマー」が金融業界へ新規参入したことで、構造改革が不可欠であることがつまびらかになったということです。

 彼らに特筆されるのは、デジタルならではの処理スピードやスマートフォンのサービスに代表される高い利便性とインフラ面での身軽さなどです。これまでも新規参入は幾度かありましたが、従来からの金融のIT化にはなかった、非連続的な変化をもたらす強みを備えています。

 たとえば店舗での対面サービスを基本とするみずほフィナンシャルグループの個人顧客は2400万存在します。この数を考えれば、従来のサービス提供のやり方にこだわると、彼らの身軽さに正面から太刀打ちすることは難しくなってしまいます。

 こうした状況は既存の金融各社も同様でしょう。結果、新規参入組が既存のプレーヤーの大きな脅威となっているのです。

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金融の価値を越えた新たな価値創出を目指す

 無論、我々としても、このまま座視するつもりはありません。そこで、現状から脱却し、新たな成長軌道を描くべく本年5月に公表したのが、「5ヵ年経営計画~次世代金融への転換」です。

 従来からの企業であれ、フェイスブックやLINEといった新興企業であれ、経営インフラや顧客などのビジネスの基盤となるプラットフォームの下で、コア・ビジネスが存在しています。当社であれば、コア・ビジネスが金融であることは今後も変わることがありません。

 ただし、金融を取り巻く環境が大きく変化し、従来から築いてきた経営インフラとのギャップが顕在化しています。従来からのプラットフォームだけに依存したプロダクトアウト的なビジネスを続けることは到底困難だと言わざるを得ません。

 このことを踏まえ、外部パートナーとの協働を加速させると同時に、人材を含めた当社の経営インフラやビジネスモデルをデジタル化により徹底的に見直し、「金融そのものの価値」を越えて、非金融の分野を含めた新たな価値を創造することが、5カ年計画の基本戦略となります。あらゆるリソースを駆使し、「金融+α」のソリューションを提供することで、「金融を巡る新たな価値」を創造する、ということです。

 では、金融を越える価値とは何なのか。たとえば、ホールセール(大企業を中心とした法人、機関投資家向け営業)の世界では銀行はかねてからM&Aなど、顧客の事業戦略に関与することで、金融を中核としつつ、「金融+α」の仲介機能やサービスとして提供してきました。

 その一方で法制面により、それ以上は踏み込めない分野も厳然として存在しています。また、当社のインフラを徹底的に見直したとしても、リソースには限りがあります。自前でコストに見合わぬプラットフォームや機能まで経営インフラに組み込むことは現実的とは言えません。

【次ページ】新勘定システム「MINORI」の全貌

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