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- 2020/01/16 掲載
ブロックチェーンエンジニアは報われない? 求められるのは「好奇心」と「スルー力」
名古屋大学情報文化学部卒業。日本ユニシスで主に地方銀行向け業務・システムの研究会やユーザー会の企画と運営を担当。Fintechスタートアップのお金のデザイン等を経て、2019年7月より一般社団法人Fintech協会事務局。
ブロックチェーンを取り巻く日本の現状
分散型台帳技術を利用したプロダクトの開発・提供する会社であるLCNEM 代表の木村氏は「2018年、経済学部を卒業したが、趣味として技術に触れている。ブロックチェーンの考え方の根底には、ミクロ経済学のお家芸である“インセンティブ設計”があると思う。法律やマクロ経済、ミクロ経済などにも通じるところがあり、ブロックチェーンには色々な広がりがあって飽きない」とコメントした。
ブロックチェーン事業を営むbitFlyer Blockchainの小宮山氏は「私はゲームから金融の世界に移ってきた。インターネットは革命的だったが、当時のインターネットに対する熱狂に対して自分は傍観者となってた。ブロックチェーンは、インターネットに次ぐ大きな革命だと感じている。今、この場にいるということが面白さだ」と熱を込めた。
アンダーウッド氏は、日本の現状について「政府主導でキャッシュレス化に積極的になっている。ポイントや交通系のカードをたくさん使っている方も多いかと思うが、まだ現金が多い印象だ」と指摘する。
「海外では、デビットカードを使うことも一般的になってきており、本当にキャッシュレス化が浸透している。今後は、ステーブルコイン(価値が安定した暗号通貨)や安定した価格を持ったパブリックコイン、スマートコントラクト(契約の自動化)の機能を備えたトークンなどが主流になると考える。収益化や付加価値について、企業として考えなければならない」(アンダーウッド氏)
木村氏も現状について、以下のような見解を示した。
「アーリーアダプターよりも遅れて始めた人も、幻滅期を感じていると思う。現状でいうと個別のプロダクト以外で大衆受けしているものは、仮想通貨取引所くらいしかない。しかも暗号通貨について、世間の人はある種の博打だと思っている人も多い。悪く言うと、まだ博打しか市場にフィットしていないのがこの業界だ。恐らく今後大きな発想の転換が出てるのではないかと予測する」(木村氏)
ブロックチェーンのエンジニアの仕事とは
次に話題は、「ブロックチェーンのエンジニアが具体的に何をしているのか」に移った。アンダーウッド氏が所属するビットバンクのエンジニアは、ノードから得た情報を基に、暗号通貨の出入りを管理するシステムのメンテナンスしている。また、新しいコインが“上場”(暗号通貨が取引所に登録され、取引ができるようになること)する際に技術の検証も必要になるため、しっかりとした技術を持ったコインなのか検証することにも取り組んでいるという。
小宮山氏は「ブロックチェーン領域でもエンジニアであることに変わりはないので、8割はコードを書いて、調べてということを繰り返している。金融機関のエンジニアやSIerと決定的に違う点は、1~2割はコンセンサスやアプリケーションの機能関連で“まったく新しいこと”を入れる必要がある点だ。日々新しい発見がある」と語る。
また、既存のITシステムとはデータの持ち方が根本的に違うため、「どういうデータ設計をするかというところから考えるべきだ」とし、そこに魅力を感じると説明した。
【次ページ】ブロックチェーンのエンジニアに必要なのは「好奇心」と「スルー力」
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