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  • 2019/12/23

bitFlyerや楽天、LayerXが激論、「ブロックチェーンでどう稼ぐ?」

日本のブロックチェーン最大級のカンファレンス「b.tokyo 2019(ビー・トウキョウ2019)」(2019年10月2・3日)では、bitFlyer創業者である加納裕三氏と楽天の執行役員でブロックチェーンチームの久田直次郎氏が登壇。ブロックチェーン技術をテーマに、なぜビジネスに新技術が必要かを議論した。モデレータはLayerX CEOの福島良典氏が務めた。

フリーライター 野中 瑛里子

フリーライター 野中 瑛里子

立教大学経済学部卒。現・三菱UFJ銀行に入行、市場部門にて法人運用デスク、ファンド管理を担当。2017年にソフトバンクへ転職。Fintechを中心にSoftBank Vision Fundの日本ローカライズ部署にてPaypayなどの新規事業推進を担う。会社員時代より、NPO法人Startup Weekendのプロボノスタッフとして携わり、日本では初となるFintechテーマの企画・実行を行なった実績をもつ。その後、個人事業主としても主にスタートアップ向けに事業企画や資本政策の支援を行うなど、金融とベンチャー両軸の理解・経験に富む。

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bitFlyer創業者である加納裕三氏と楽天の執行役員でBlockchainチームの久田直次郎氏が登壇。モデレータはLayerX CEOの福島良典氏が務めた

ブロックチェーンが示す“価値”の本質

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LayerX CEO
福島良典氏
 さまざまな概念実証(PoC)のニュースが飛び交うブロックチェーンだが、実際に「どのように稼ぐ」べきなのか。LayerXの福島氏は「暗号資産の話が外せないビットコインを担うブロックチェーンはデータそのものが“価値”であるということ」と指摘する。

 では、その「価値」とは、何か。

「ビットコインが、中央政府が発行した紙幣や硬貨ではなく、記録の改ざん不可性という“機能”により、資本主義におけるお金(法定通貨)のような価値を体現している点が価値だ。権威が認証する形ではなく、分権した形で価値を生み出すというのは極めてイノベーティブだ」(福島氏)

 加納氏も「ブロックチェーンの特徴は、記録の改ざん不可性という概念と、コネクトされたインターネット上でやりとりができる点だ」と説明する。

「たとえば銀行送金は、実際に現物を郵送した結果を表しているのではない。メールと同じように、残高やテキストなどのデータの書き換えを指すものだ。わかりやすく“送った”という表現を用いているだけ。“価値”とは、実は“信頼”の伝播だ」(加納氏)

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bitFlyer創業者
加納裕三氏
 これまでサービスや貨幣の分野では、目に見えない“信頼”というものの計量と伝播について、「大企業が提供しているから」「中央銀行が発行しているから」など“提供者”を頼りにしていた。これがインターネットを介してテクノロジーにより行われるのがブロックチェーンであるという解釈だ。

 このような価値を有するブロックチェーンについて、福島氏はインターネットと同様にパラダイムシフトを起こすことを期待する。

「従来、大規模な情報発信は新聞社やテレビ局の専売特許だった。インターネットの登場によって、情報発信と“信頼”の構築方法にパラダイムシフトを起こした。ブロックチェーンからも、暗号資産以外のブロックチェーンアプリ(DApps)が生まれると考えている」(福島氏)

革新的な技術だからこその課題

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楽天 執行役員
久田直次郎氏
 一方、楽天の久田氏はブロックチェーンで稼ぐためのビジネスモデルとシステム面での「使われ方」に言及した。

「ブロックチェーンの採択において重要なのは、『新しいサービスを作る際の基盤技術』『データの所有者と利用者の定義』そして、『サービス設計』だ。ビジネスの場面ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈で用いられることが多いように感じるが、いきなりのメイン基盤に据えることは難しいだろう。サブシステムからの採用が現実的だ」(久田氏)

 同様に、加納氏がブロックチェーンの「使われ方」に関して注目しているのは、「判子」と「Libra」についてだ。

 加納氏は“判子による認証”を廃止する議題にもさまざま領域で取り組んでいるが、一筋縄ではいかないという。たとえば判子の代わりとなる電子署名サービスの場合、その鍵管理は煩雑なフローになりがちだ。そのフローが“判子オペレーション”よりも煩雑であれば、電子署名サービスは普及しない。この課題を解決する1つがブロックチェーンだという。

 また、Libraについて加納氏は「SDR(バスケット型通貨:複数外貨に連動したレートに自国通貨を設定する固定相場制を採用する通貨)という概念は従来も存在したが、新しいのは、世界中で使われるSNSに紐づくという点と、ブロックチェーンで構築される点だ」と指摘した。

「銀行の加入が困難な“Unbanked層”の金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)を実現させることが期待される。一方世界中の金融機関の必要条件とも言えるKYC(本人確認)、AML(アンチマネーロンダリング)などについてどう対応するかを世間に示さなければならない」(加納氏)

 世の中を変えるために、新たな概念についての理解を促すことが必要とした。

 話は、海外のブロックチェーン事例に移った。福島氏は中国での事例を紹介する。

「中国ではパブリックチェーンは禁止なので、基盤は参加者を限定した“コンソーシアムチェーン”だ。自動車備品メーカーの中には、融資サービスを提供するところもある。与信判断に利用可能なトランザクションデータを用いた「トランザクションレンディング」の事例だ」(福島)

 自動車部品メーカーは信頼性を担保するために、生産地をハッシュ値で保存しているという。ブロックチェーン技術者が読めばその意味がわかるが、そのサプライチェーンの中に、リテラシーが低い人間がいる場合は、そのサービスは成り立たないと指摘。先進技術を採択するが故の課題を示した。

 先進技術を展開する上での課題について加納氏がまとめる。

「判子でいうなら、判子のない社会を実装するために説得すべき相手が大量に存在している。当局やレイトマジョリティなど一般ユーザーを相手にするということは、まさにベンチャーが苦手とするところ。これは放っておいても自発的には解消しない。やはり能動的に働きかけていく必要があるだろう」(加納氏)

【次ページ】コンソーシアムを複雑化するのは人間の“政治性”

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