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  • 2020/04/03 掲載

フィンテックで“コロナ不況”を乗り切る方法、中小企業支援の全体像とは

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新型コロナウイルスがもたらす影響範囲は、経済的なインパクトも含めて増大している。それを緩和するための施策が公的機関や金融機関から発表されており、中小企業はその活用を検討すべき局面を迎えている。特に資金繰りについては、フィンテックサービスが中小企業を支援できるという。本記事では、2020年3月にFintech協会が主催したオンライン記者向け勉強会における、木村 康宏氏(Fintech協会 代表理事副会長 /freee 執行役員)による講演「Fintech×コロナ対応・中小企業支援の全体像」の内容を紹介する。

フリーライター 水野智之

フリーライター 水野智之

名古屋大学情報文化学部卒業。日本ユニシスで主に地方銀行向け業務・システムの研究会やユーザー会の企画と運営を担当。Fintechスタートアップのお金のデザイン等を経て、2019年7月より一般社団法人Fintech協会事務局。

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コロナショックをのりきるためのフィンテックとは
(Photo/Getty Images)
※本記事は、一般社団法人Fintech協会が3月に開催したイベント「Fintech×コロナ対応・中小企業支援の全体像」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。

中小企業のコロナウイルス対策で重要な2つのこと

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の下、同感染症の対策について医学的な見地から助言などを行うために設置された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」では、「換気の悪い“密”閉空間」「多くの人が“密”集」「近距離での会話や発声する“密”接した場面」の3つの条件が同時に重なる「3つの密」を徹底的に避けるべきだと提言している。

 また、外出を控えることから生じる消費の落ち込み(企業側から見ると需要の落ち込み)に備えることも重要だとしている。

 企業がなすべき対策として、木村氏は「リモートワーク」「資金繰り」という2つの対策が求められると説明する。

 リモートワークを推進するためには「電子化」が前提となる。

「判子を押すためだけに出勤する必要がある企業もいまだにあります。私が所属する企業では現在、全従業員を対象にフルリモートワーク(在宅勤務)を実施しており、出勤する場合は役員承認が必要となっています。出勤して行う業務としては、紙の契約書を郵送したり、物を納品したりすることが挙げられます。稟議などについては、リモートで対応可能なワークフローに変えていくことが非常に重要です」(木村氏)

 リモートではこれまで難しかった行政手続きについても、電子化が活用可能な場面は増えてきている。これまでは確定申告のために税務署の前に人が並ぶという光景は一般的だった。2020年に関してはコロナウイルス対策の一つとして確定申告の期限を4月16日まで延長しているが、「この機会に電子的な手続きに切り替えていくべきです」と木村氏は強調する。

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例年の確定申告・納税と、申告延長
(出典:Fintech協会)

 また、木村氏は「電子公告に必要なマイナンバーカードを持っていない層もいまだに多くいます。確定申告に限らない話ですが、手続きのために担当窓口に行くのではなく、銀行であればオンラインバンキングを利用するなどの切り替えも対応策として考えられます」と指摘。

 最先端の技術を導入するというよりは、その一歩前の電子化をまず進めることが重要だと説明する。

 既に中小企業に対する「電子化の促進」や「リモートワーク導入」のための支援策が発表されている。たとえば、中小企業基盤整備機構の「IT導入補助金2020」の1次公募では、臨時対応として新型コロナウイルスの影響を勘案した景気対策が緊急的に実施された(募集は令和2年3月31日終了済)。事業継続力の強化を図るためのテレワークツールの導入に取り組む事業者を優先的に支援している。

 また、東京都における雇用・就業支援事業を手掛けている「東京しごと財団」では、新型コロナウイルス拡大防止および緊急時における企業の事業継続対策として、リモートワークを導入する東京都内の中堅企業や中小企業に対して、必要な機器やソフトウェアなどの経費を助成する「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」の募集を行っている。

資金繰りを把握するフィンテックのサービス

 木村氏は「中小企業では、自社の資金繰りをきちんと把握できていないことが多いです。まず、資金繰りを可視化することが重要です」と語る。同氏によると、資金繰りを可視化するために活用できるのが「BFM(Business Financial Management)」や「クラウド会計サービス」だという。

 BFMとは、金融機関が中小企業に提供する法人用資金管理サービスのこと。このサービスを活用すると、銀行口座の残高や入出金明細を管理画面上で管理できる他、日々管理している複数の金融機関の口座情報の自動取得が可能になる。法人向けフィンテックのツールとして注目されている。

 BFMの導入メリットとして、木村氏は「BFMを利用すれば、複数の口座の情報が管理できます。別々の口座を一つひとつ確認するのは、全体像が分かりづらいものです。BFMやクラウド会計サービスを利用することで全体管理がしやすくなります。また、それらによって集めたデータを資金借入などの審査に活用するといったことも可能です」と説明する。

 資金繰りの可視化につながるフィンテックサービスとしては、エメラダ、マネーフォワード、freeeなどがサービスを提供している。

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BFMやクラウド会計で資金繰り可視化
(出典:Fintech協会)

 「現在の様な“有事”に限らず、中小企業にとって資金繰りの可視化をしておくことが重要です。その上で、普段から固定費の圧縮を進めることが大事」と木村氏は強調した。

 資金繰りを可視化したうえで、キャッシュの“入”を増やしたり早くしたりする一方、キャッシュの“出”を減らしたり遅くしたりする対応が必要となってくる。

【次ページ】公的な支援と民間のサービスまとめ

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