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- 2025/07/14 掲載
野口悠紀雄氏が教える「ChatGPTでアイデア出し」の成功法、社長の7割使用も実は激ムズ
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/
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調査結果を考察:社長の利用7割超は「大変重要な変化」
日本経済新聞が、生成AIの利用に関するアンケート調査を実施した。ChatGPTの登場直後には、この種のアンケート調査がいくつも行われた。しかし最近はこうした調査をあまり見ないので、ChatGPTの利用が数年前に比べて増えたのか、それとも減ったのかが、よく分からなかった。その意味でこの調査の意味は大きい。結果を見ると、社長自身の使用頻度は「毎日」が39.8%、「2~6日に1回」が34.7%だった。「週に1回以上」が7割を超える。この結果を、「日本の社長はかなりの程度生成AIを使っている」と解釈して良いだろう。
私は、「企業の経営者が生成AIを使う」ことは、大変重要なことだと考えていた。なぜなら生成AIの特徴は、日常言語でAIを使えることであり、そのためプログラミングの知識を持たない人々が使えるからだ。
これまでの日本では、データベースなどは専門家が扱うものであるという意識が強く、経営者が直接に使うことは稀だった。そのことが日本のおけるデジタル化を進める上で大きな阻害要因になっていた。ところが、生成AIの場合にはこれとは違い、経営者や上級管理者が自ら使うようになっていることが分かった。これは大変重要な変化だと思う。
これに対して、社員の業務利用を見ると、「ほとんどの社員が使っている」との回答が58.5%だった。この設問は社長に対する設問と同一形式でないので、社長と社員の利用状況の違いを比較することができない(「使っている」というのがどの程度の頻度の使用なのかが、分からない)。
ただし、58.5%という数字は、あまり高いものとは思えない。社長の利用が思ったより高いのに比べて、一般社員の利用状況は、それほど高くないという印象を受ける。企業業務にAIが溶け込んだとは言えない状況なのではないだろうか?
用途1位は「翻訳」、2位が「アイデア出し」
このアンケートは、社長の生成AI利用について用途を尋ねている。結果を見ると、「言語の翻訳」が55.9%、「企画などのアイデア出し」が45.1%、「社内文書などの検索」が32.4%などとなっている。 【次ページ】失敗しがちの「アイデア出し」の成功法は?AI・生成AIのおすすめコンテンツ
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