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  • 2021/02/22 掲載

仙台銀行 鈴木隆 頭取に聞く、ニューノーマル時代の地銀サバイバル戦略

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人口減少や少子高齢化など、地方銀行を取り巻く環境は厳しさを増している。そうした状況の中で、金融持株会社形式による山形県のきらやか銀行との経営統合、SBIグループとの業務提携などに取り組むのが仙台銀行だ。宮城県仙台市に本店を置く第二地方銀行で、宮城県内での企業メインバンクシェア率は第2位。「人で勝負する銀行」というモットーを掲げ、コロナ禍にありながら2020年9月期の業績は前年同期比で成長を果たした。ニューノーマル時代に地銀が生き残っていくために必要なこととは何か。仙台銀行 代表取締役頭取の鈴木隆氏に話を聞いた。

聞き手・構成:編集部 松尾 慎司

聞き手・構成:編集部 松尾 慎司

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仙台銀行
代表取締役頭取
鈴木隆氏
(写真:仙台銀行提供)

地銀を取り巻く環境と現状はどうなっているのか?

 日本全国のほとんどの地域において、人口減少と少子高齢化が進行しています。特に東北地方ではその進行度合いが顕著です。そうした背景の中で、金融緩和が進み、日本銀行のマイナス金利政策が継続することで、深刻な運用難となっているのが地銀を取り巻く環境の現状です。つまり地銀は、かなり厳しい状況に直面していると認識しています。

 その一方、新たな潮流として「フィンテック」が注目されるようになり、フィンテック企業の活動が活発化してきました。さらにデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速するという大きな流れがあります。加えて2020年にはコロナ禍によって経済社会全体の変革が起こり、ニューノーマルの時代が到来しようとしています。

 この2つの状況を総括的に表現するならば「逆境と激変が同居しているサバイバル時代」ということになると考えています。厳しい状況ではありますが、逆境を乗り越えて変化に対応していくことによってピンチをチャンスに転じることができ、将来的な可能性が広がっていくのです。

仙台銀行のトライアングル戦略とは?

 当行では「トライアングル戦略」という3つの戦略を掲げて、その3つが三角形を形成しているというイメージでお客さまに説明しています。その底辺を担っている戦略は「中小企業向けを軸とした貸出増強」です。ここではまずコア戦略の拡充・推進を目指しており、お客さまに対する本業支援とともに、資金繰りの改善施策などの提案を行っています。

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仙台銀行の3つの経営戦略
(出典:「会社説明資料」仙台銀行)

 ただ単にボリュームを伸ばすことだけが目標ではなくて、先数(1企業を1件として計算した貸出先の件数)を増やながら、ボリュームも伸ばしていくという目標のもとで、経営を行っています。ここでの貸出金の伸びも現在、きわめて順調です。

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2018年9月末から2020年9月末までの仙台銀行における貸出金の状況
(出典:「会社説明資料」仙台銀行)

 右辺は「新分野への取り組み」ということで、ITやフィンテックを積極的に活用した取り組みを行っています。Sendai Big Advanceは、中小企業の成長を支援する会社であるココペリと連携して行っている、クラウド型のプラットフォームです。

 仙台銀キャピタル&コンサルティングとの連携強化も、新分野での取り組みの1つです。2020年1月に当行の100%出資で、仙台銀キャピタル&コンサルティングという新会社を設立、連携を進めています。おもな業務内容は、企業の新規業務展開のサポート、株式投資、M&Aの仲介、斡旋、コンサルティング、アドバイザリー業務などです。

 この他にもさまざまな新業務を展開しており、SBIマネープラザと連携して共同運営している「仙台銀行SBIマネープラザ」もその中の1つとなっています。

 有価証券の運用に関しても、安定した成果をあげています。日本銀行によるマイナス金利政策以降、金融マーケットにおける有価証券の運用はかなり難しい状況になっており、多くの地銀が損を出したり、運用に苦しんだりしています。現在の日本の金融市場において、半年、1年という単位で有価証券の売り買いをして、コンスタントに利益を上げるのはほぼ不可能だと考えています。

 ただし長期的には実勢価格に収斂していくのは間違いないので、長期的に安定的かつ優良な運用を行って、安定したインカムを取っていくのが現状でのもっとも良い運用方法だと考えていました。そうした状況の中で、SBIグループから有価証券の再投資・再運用の提案がありました。当行では3,000億円ほどの有価証券を持っているのですが、その7割である2,150億円を預け、リバランスしました。これが安定的に回っており、効果的な運用が実現できています。

 左辺は「効率化・選択と集中」です。マーケットである宮城県においても人口減少が進んでおり、仙台一極集中という流れがあります。そうした人口の変動を前提として、マーケットをにらんだ店舗戦略を推し進めています。実際には店舗の統廃合を相当数進めておりまして、東日本大震災以降の8年から9年の間に全体の約3割、72店舗あったものを50店舗に減らして、マーケットに合わせた効率的な営業を展開中です。

「業務効率化」と「人員の適正配置」は、デジタル化などの時代の流れやIT技術の進歩を踏まえて、業務の効率化や人員の適正な配置を行っています。銀行の事務には旧来型の無駄なものがたくさん残ったままになっているので、改善すべき点はすみやかに改善し、業務効率化とコスト削減を進めているところです。

【次ページ】コロナ禍における仙台銀行の三段階の対応

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