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  • 2021/03/03 掲載

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは何か?その機能と特徴、市場の現状

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新型コロナウィルスのパンデミックが続くなか世界各国の経済が困難に直面し、多くの企業が業績の低迷を余儀なくされている。そうした中、企業などへのクレジットリスクをヘッジするCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)に改めて注目が集まっている。本記事では、「CDSとは何か」「どのような仕組みなのか」「CDSの歴史」なども含めてCDSの基本をまとめた。

執筆:前田 健二、編集:しらいはるか

執筆:前田 健二、編集:しらいはるか

前田 健二
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年、経営コンサルタントとして独立。事業再生、アメリカ市場進出、コンテンツマーケティングなどを中心に指導を行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

しらいはるか エディター・ディレクター。医療系大学院修了。公務を経てライターとしてキャリアをスタート。「医療」「金融」「ビジネス」の3分野をメインに執筆。ブックライティングやコピーライティングも手掛ける。2018年よりエディター・ディレクターにシフト。現在は主にサイト運営やメディア管理を行う。

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経済が困難に直面するなか、クレジットリスクをヘッジするCDSに注目が集まっている
(Photo/Getty Images)

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは?

 クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap)とは、ローンや債券など債務の発行体の信用リスクに対するデリバティブまたはコントラクトのことだ。従来、国や企業などのクレジットリスクは担保や保証などでヘッジされてきた。

 このクレジットリスクそのものを流通可能にし、金融商品化したものがCDSである。債権を移転することなく信用リスクだけを移転させるのが特徴で、デフォルトやリスケジューリングなどの発行体のクレジットイベントに対する保険のような機能を有している。

●CDSの歴史
 まず、CDSの歴史を簡単に説明しよう。CDSは、1994年にJPモルガンの女性バンカー、ブライス・マスターズが発案したとされる。学生時代からインターンとしてJPモルガンで勤務していたマスターズは、そのままJPモルガンに入社、クレジット・デリバティブ商品開発部に配属となる。なお、マスターズはその後28歳でマネージングディレクターに就任、JPモルガンの史上最も若い女性マネージングディレクターとなった。

 1994年当時、JPモルガンは石油大手エクソンに48億ドルのクレジットラインを設定している。しかし、エクソンは石油タンカー・エクソンバルディーズ号原油流出事故により50億ドルの損害賠償請求を受け、経営破綻のリスクに直面していた。エクソンのデフォルトリスクに備える引当金の現金を温存。自らのバランスシートを保つことを目的に、マスターズ率いるJPモルガンのチームは欧州復興開発銀行に、プロテクションとしてエクソンのクレジットラインのクレジットリスクを売却した。これが世界初のCDSとなったとされている。当時は、まだCDSという名前すら付けられていなかった。

 その後、JPモルガンは複数のクレジットリスクをまとめて証券化して投資家に販売する仕組に発展させ、現在のCDSの原型を編み出すことになった。やがて他の金融機関も同様にCDSの取り扱いを開始し、CDS市場は21世紀を迎えるころまでに相当の規模に拡大した。

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CDSはリスクコントロールに役立つ
(Photo/Getty Images)

●CDSの仕組み
 なお、CDSは多くの場合、主に金融機関同士の相対取引として行われている。例えば、金融機関Aが企業Xに10億円を貸し付けている場合、そのクレジットリスクに対するプロテクションを金融機関Bから購入するといったイメージだ。

 つまり、金融機関Aは企業Xのクレジットリスクに対するプロテクションの買い手となり、金融機関Bはプロテクションの売り手となる。CDSの契約期間中、金融機関Aは金融機関Bに対し、一定のフィー(プレミアムと呼ばれる)を支払う。

 企業Xが金融機関Aに対し正常に弁済を続け、無事完済すると契約終了となる。しかし、企業Xが何らかのクレジットイベント(破産、債務不履行、債務の条件変更など)を起こした場合、金融機関Bから金融機関Aに対し、損失額の支払いが行われるのだ。

 そして、金融機関Aの企業Xに対する債権は金融機関Bに引き渡される。

【次ページ】CDSの機能、他のリスクヘッジ手段との違い

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