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  • 2021/05/19

野村HD執行役員 池田 肇氏に聞く「証券DX」、ITや医療技術革新で証券はどう変わるのか

コロナ禍の世界的経済の低迷を抑えるため、膨大な資金がマーケットに入っている。相場が上がるとともに、投資の小口化や時間分散・積み立て投資を可能にするデジタルサービスの恩恵を受けて、若い人を中心にこれまで投資に縁遠かった人々が参加している。従来とは異なる投資行動をする投資家に向けて、どういう金融サービスを提供すべきなのか? 2019年に設立された社内横断組織「未来共創カンパニー」を率いてオンラインサービスの強化を進める、野村ホールディングスの池田 肇 執行役員に「証券DX」成功の秘訣を聞いた。

聞き手:編集部 山田 竜司 執筆:児玉 徳子

聞き手:編集部 山田 竜司 執筆:児玉 徳子

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野村ホールディングス
執行役員
未来共創カンパニー長
池田肇氏

コロナ禍で変化した証券市場やお客さまの動向

──コロナ禍における証券市場の動向、そして御社のお客さまの状況をどのようにご覧になっていますか?

池田 肇氏(以下、池田氏):私は2019年からデジタル化などの技術を社内横断で推進する「未来共創カンパニー」を担っているのですが、この組織から見た考えを述べたいと思います。

 コロナ禍では大きく2つの流れがあったと考えています。1つ目は「全世界でコロナ感染が進んだことで、世界的な経済の低迷を抑えるため、膨大な資金が入り、結果として相場が上がった」こと。2つ目は「多くの人々が巣籠りすることで、投資や資産運用への関心が向かった」ことです。

 特に今まで接点のなかった20代の若年層が証券投資に関心を持ち、スマートフォンから株式を売買したり、小口投資が可能になるデジタルサービスを利用したりする動きが見られます。これにより若年層の投資が大幅に増え、その勢いがマーケットにも反映されています。これは日本だけでなく世界中でコロナ禍1年間に起こった顕著な出来事です。

 未来共創カンパニーが担当しているLINE証券では、毎月、新規に口座を開設する半分以上のお客さまが20~30代という状態です。銀行では新社会人を迎える際に「口座開設ラッシュ」があるかもしれませんが、証券会社の場合、従来は可処分所得が比較的多い40~50代が口座を開くというのが普通でしたから、「若年層の口座開設」は衝撃でした。

投資のハードルを下げるデジタルサービス

──これまで若年層が投資をしてこなかった理由とは何でしょうか。

池田氏:一般的に「投資に参加しにくい理由」は、主に4つあると考えています。(1)投資に充てる資金がない、(2)損するのが嫌だと考える「損失回避」、(3)投資の知識がなく、何を買ったらいいのか分からない(4)証券投資に接点がない、です。

 これら4つが解消されつつあるため、若年層の投資への参加が進んでいるのでしょう。具体的に、「投資に充てる資金がない」点についてですが、従来の株式売買は、単位株である100株、1000株からでないと投資ができませんでした。現在では1株からでも投資可能であり、より少額から投資できるサービスもあります。

 「損失回避」の点では、前述の投資の小口化によりさまざまな資産に分散投資が可能になったほか、購入するタイミングを分けて、価格変動リスクを平準化する「時間分散」の仕組みも整備されました。これによりリスク分散化が進み、大きな損失を被る可能性が減りました。

 また、「投資に関する知識がない」という点では、Webに投資に関する情報や判断材料となる情報が整備され、判断を支援するようなツールを無料で提供することも珍しくなくなりました。希望すれば、個人でも情報を得られるのです。

 最後に「投資を始めるきっかけ、接点がない」点についてです。この点はクレジットカードやスマホ決済など買い物で貯まったポイントを投資に回す「ポイント投資」が可能になったことが大きいのではないでしょうか。消費と投資の境目がなくなり、遠い存在だった「投資」が、サービスが充実したことで身近になったと言えます。

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意外と知られていない「口座開設後の情報提供」の重要性

──証券口座開設のハードルが下がったということでしょうか。

池田氏:はい。口座を開設した後、資金をどの程度投資にまわすべきか、何を買ったらいいのか、どういう資産バランスで投資を考えるべきか、という投資や資産管理に関する情報を求める人が増えているのです。

 そのため証券会社としては、口座開設者が中長期で投資を続けられるための情報提供などの環境づくりが急務です。これから資産運用を始める人や資産運用の初心者は「どのくらいの金額を投資したらいいのか」を理解している方が少ないと思っています。

 「自分にとって適正な投資額や適切な資産バランスを知る」ことは非常に重要で、その点を人からアドバイスしてもらうのか、デジタルサービスを利用して自分自身で把握するのか、お客さまが選ぶようになっています。

 これまで営業担当者が提供していたサービスの一部、つまり投資シミュレーションや、資産管理などさまざまな機能がデジタルツールで用意されています。それらをうまく使えるようになると、自分自身で投資判断できるようになります。もちろんいざという時には、金融機関の窓口や営業担当者に相談できます。

 コロナ禍では、さまざまな業種でお客さまとのタッチポイントがWeb、アプリに移っています。特にこの傾向は、金融業界で顕著です。

【次ページ】2つの方向性がある「証券DX」の今後

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