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  • 2021/09/28 掲載

BNPL(後払い)が若者に大人気のワケ、過剰消費か景気刺激か?歴史を見ればわかる答え

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数年前、ZOZOTOWNの一件で物議を醸した「ツケ払い」が今、欧米の若い世代で人気となっている。クレジットカードのような厳しい審査なしで利用できる「BNPL:Buy Now Pay Later(後払い決済)」プラットフォームが続々登場し、若者向けソーシャルメディアでも頻繁に広告宣伝が流れるためだ。9月8日には米大手決済PayPalがBNPLサービス「ペイディ」を提供するPaidy社を3,000億円で買収すると発表し、さらに加速する見通し。しかし、消費促進効果が謳われる一方で、過剰消費のリスクも指摘されるなど、賛否の議論はさまざま。BNPLを取り巻く最新動向をお伝えしたい。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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世界中の若者に「Buy Now Pay Later(後払い)」が人気だ
(Photo/Getty Images)

米国でもツケ払いが若い世代に人気、3兆円超えの大型買収案件も浮上

 数年前、ZOZOTOWNの一件で物議を醸したツケ払い(利用サービスはGMO後払い)。商品の支払いを最長2カ月遅らせられることから、主に若者の間で利用者が増加。しかし、代金を支払えず滞納状態に陥る人びとが続出し、批判の的となった。

 そんな後払いスキームが今、「BNPL」として、欧米の若い世代でも人気を博している。欧米でも先述のような懸念はあるものの、主にクレジットカードの利用が難しい、あるいは抵抗を感じるユーザーからの要請がそれを上回っているのだ。

 ただし、当時のツケ払いとは異なり、ユーザーにサービス利用手数料の負担がないなどのメリットの進化、またAIによる与信判断の精度向上などもユーザー側、加盟店側、双方で人気が高まる理由となっている。

 BNPLを提供するフィンテックプラットフォームが続々登場し、ソーシャルメディアでの広告宣伝も手伝い、特にZ世代やミレニアル世代の間でユーザーを増やしている。

 米国で人気のBNPLプラットフォームの1つがAfterpayだ。もともとオーストラリア発のサービスだが、米国を中心に世界的にユーザーを増やしている。2021年8月時点のデータによると、Afterpayのユーザー数は1600万人、登録店舗数は10万軒に上る。

 このほか注目されているサービスには、ソフトバンクグループが出資するKlarna、Affirm、Quadpayなどがある。

 Afterpayプラットフォームを通じて商品を購入した場合、商品を即入手できる一方、ツケ払いと同じく支払いは後となる。基本的には4回に支払いを分割することができ、2週間ごとに同額を分割で支払う。

 利息はないが、分割支払いが遅れた場合、遅延料が発生する仕組みとなっている。

 BNPLトレンドの強まり、そしてAfterpayの人気ぶりから、オンライン決済大手SquareがAfterpayの買収に乗り出している。

 Squareは2021年8月1日、同社ウェブサイトでAfterpay買収において調整段階にあることを発表。買収額は、2021年7月30日時点の株価で計算した時価総額である290億ドル(約3兆1,000億円)とのこと

クレジットカード利用に大きな影響を与えるBNPL

 このBNPLの盛り上がりは、すでに日本にも波及している。先日9月8日にはPayPalが「ペイディ」を提供するPaidy社を3,000億円で買収すると発表。

 ペイディはAfterpayと同じく、後払いの分割が可能で(ペイディは3回)、さらに日本国内のECモールと提携、コンビニエンスストアや銀行振込での支払いを受けつけるなど、日本の商習慣に合わせたサービスを展開してきた。

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BNPLの台頭をクレジットカード会社は懸念
(Photo/Getty Images)

 そうしたことから、600万超のユーザーアカウントを抱え、加盟店のリピート購入、客単価の向上などに寄与してきたと言われる。そのペイディがPaypalに買収されたことで、今後日本のBNPL市場が拡大していく可能性が見えてきた。

 Afterpayやペイディを始めとするBNPLサービスの台頭は、既存の金融サービスに大きな影響を与えるだけでなく、消費者の消費パターンなどに変化をもたらしている。これに伴う賛否もさまざまだ。

 1つは、BNPLの台頭で若い世代のクレジットカード利用が減少し、クレジットカード会社の懸念事項になっていることが挙げられる。

 Afterpay発祥のオーストラリア地元紙ABC NEWSの2020年8月の記事で、その状況が報じられている

 同記事は、オーストラリアではAfterpayともう1つの主要サービスZipのユーザーが2020年8月時点で540万人に達し、特に若い世代の消費パターンが変化していると指摘。

 AfterpayやZipなどのBNPLサービスでは、従来のクレジットカードのような厳しい審査がなく、収入が少ない若い世代でも利用できることが人気の理由と分析している。

 またBNPLの利用増加で、クレジットカード利用が減少していることにも触れている。

 オーストラリア準備銀行のデータによると、2020年3月末から6月末までの3カ月間で、オーストラリアのクレジットカードアカウント数は、1364万件から1327万件と37万件減少していることが判明。

 若い世代がクレジットカード利用を停止し、AfterpayなどBNPLサービスにシフトしていることが示唆された。

【次ページ】過剰消費を煽るとの批判も、規制は追いつかず

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