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  • 2022/04/26 掲載

インフレで世界は大混乱……もうすぐ「景気後退」が起こると言える“3つの理由”

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2022年に入って株式市場は大変革期を迎えつつある。2008年9月のリーマンショック以降、中央銀行によって行われてきた金融緩和・量的緩和が終焉を迎え、一気に引き締め向かうことが確定的となったのだ。2021年12月にはFRB(米連邦準備理事会)のテーパリング(量的緩和縮小)を加速させる方針が明らかになった。今後さらに米国での金融引き締めが本格化していくことが予測され、マーケットの状況は一変しようとしている。先行きが不透明となり、不確実性が増しているマーケットの現状について、モーニングスター代表の朝倉智也氏が解説する(本記事は1月15日に開催された「モーニングスターカンファレンス2022」の講演内に基づく内容です)。

モーニングスター 代表取締役社長 朝倉智也

モーニングスター 代表取締役社長 朝倉智也

1989年慶應義塾大学卒。95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンクを経て、98年モーニングスター設立に参画し、2004年より現職。第三者の投信評価機関として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。資産運用にかかわるセミナー講師を多数務め、各種メディアにおいても、個人投資家への投資教育、啓蒙活動を行う。

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インフレが消費者のマインドに与えた影響とは?(後ほど詳しく解説します)

本記事は、モーニングスター公式YouTubeチャンネルの動画『【モーニングスターカンファレンス2022】2022年から始まる大きな変革期に備える最適な運用とは』の内容を一部再構成したものです。

インフレ率上昇の要因とは?

 量的緩和から金融引き締めへと金融政策が大きく転換する中で、注目されているのがインフレの動向でしょう。直近、2021年12月の米国の対前年比の消費者物価指数(CPI)は7.0%とかなり高い数値を示しています。なぜこれほどCPIが上昇しているのでしょうか。

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図表1:米国CPIの対前年比の推移
(出典:モーニングスター)

 このCPI上昇の中身を見ると、3分の1は家賃上昇が要因と考えられます。たとえば、ニューヨークやカリフェルニアにおける住宅の家賃は、コロナ禍によって一時期大幅に引き下がりました。これは、住宅オーナーによる「引き下げないと、住人が帰ってきてくれない」という判断があったためです。しかし、住人が戻ってきたタイミングで、また家賃の引き上げが行われているということです。

 ほかにも、中古車の価格が対前年比で3割ほど上昇したことも、CPIを引き上げることにつながりました。背景には半導体供給が追いつかないために自動車メーカーが新車を製造できず、中古車の価格が上昇したということが関係しています。

 とはいえ、2022年1月中旬の時点で、企業全体の在庫指数は1.3%前月比で上がっており、自動車部門だけを見ると4.2%にまで上昇しています。つまり在庫は膨らみ、供給可能な状況へと回復しつつあるのです。サプライチェーンのボトルネックも少しずつ解消してきています。

 これらの状況から判断すると、対前年同期7%という数字はピークに近く、この数字はまもなく落ちてくるのではないかと予測しています。

インフレの影響(1):企業収益は低迷

 景気を判断する場合には、CPIとともにPPIに注目することが重要です。企業の収益構造という視点から見ると、CPIは売上価格 、PPIは原価と販管費という感覚でとらえていただけると分かりやすいでしょう。

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図表2:消費者物価指数(CPI)と企業物価指数(PPI)と製造業景況指数(ISM)の推移
(出典:モーニングスター)

 つまり、企業としては「CPIがPPIよりも高いのが良い状態」になるわけです。しかし、現在の数値を見ると、CPIが7%上昇しているのに対してPPIは9.7%と高い伸び率を示しており、売上と原価という関係で見るとマイナスで、企業収益は圧迫されている状況と言えます。

 しかし、消費者に転嫁し価格を上げることは難しく、日本はその最たる例と言えます。日本はデフレ環境が続いているため、価格を上げるならば、賃金も上げてくれと言うことになってしまうでしょう。この状況が続き、企業の収益が悪化すると、景気が減速してしまいます。

 他方、景気の先行指数と言われているISM製造業景気指数を見ると、2021年12月の時点で58.7と高い数値を示しています。一般的に50を超えると、「景気感が良い」と判断されますが、少し前には60を超えていたので、トレンドとしては下がってきていると言えます。

 この傾向は米国だけでなく、日本も同じです。2022年1月15日の日経新聞によると、卸売物価指数が対前年同期比8.5%上昇しているのに対して消費者物価指数は0.5%しか上昇していません。つまり日本の企業収益もどんどん圧迫されているということです。中国も同じ状況にあり、やはり景気は鈍化傾向にあると見ています。

インフレの影響(2):消費者マインドは10年ぶりの低水準

 インフレは消費者マインドにはどのような影響を与えているのでしょうか。ミシガン大学消費者信頼感指数を見ると、コロナの影響により低下し、その後やや回復しましたが、また低下傾向にあります。米国の個人消費者のマインドは、インフレやオミクロン株によって低下しているということです。消費マインドが低下しているということは、景気も低迷していると言えます。

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図表3:ミシガン大学消費者信頼感指数による消費者マインドの推移
(出典:モーニングスター)

 図表3の下のグラフを見ると、耐久消費財も住宅も自動車も消費者マインドが低下していることが分かります。企業としては「コロナが明けたら消費者が戻ってきてくれる」と期待して在庫を貯めていますが、消費者マインドの低下を考慮すると、在庫を貯めすぎていると言えるかもしれません。

 コロナで2年間、在宅勤務をした人がいたとします。ずっと家にこもっているので「せっかくだから、家の模様替えをしよう」「家具を買い換えよう」「冷蔵庫も新しく購入しよう」とした方がたくさんいました。つまり、すでにこの2年間で購入するものは購入しているんですね。こうした状況を踏まえると、今後1~2年のうちに耐久消費財を買い換えるかというと、買わないですよね。企業が考えるほど、消費者の需要がない、というのが現状だと推測します。

【次ページ】もうすぐ「景気後退」が起こる理由(1)

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