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- 2024/09/11 掲載
なぜ金融業で「ミドル・シニア専用ポジション」が登場? 50代転職で“想定年収増”のワケ
金融業界がキャリア採用にシフトしている
金融業界で、キャリア採用が活発化しています。定年などによる退職者が多く、デジタル化や新たなビジネスモデルへの挑戦による業務の多様化、それに加えて、少子高齢化により新卒採用も思うように進まない環境の中、多くの金融機関が新卒採用からキャリア採用へのシフトを進めているのです。「リクルートエージェント」のデータによると、銀行・証券、生保・損保のいずれも、転職者数は右肩上がりに増えています。キャリア採用においては、金融業界経験者のニーズが高いものの、それだけでは採用予定数を満たせない状況です。そこで、業界・職種未経験者にも門戸を開く傾向が強まっていることが、「リクルートエージェント」に寄せられている求人数推移のデータから見てとれます(グラフは「リクルートエージェント」の求人のうち、「求人のタイトル」「仕事の概要」「必要な経験・能力等」に、「未経験」の単語がある求人を抽出して分析しています)。
40代~50代の転職者が増加、勤務条件も多様化
「リクルートエージェント」のデータによると、40代~50代の転職者数の伸びが顕著です。生保領域を中心に金融企業のキャリア採用支援に従事する筆者としても、こうした傾向は金融業界でも表れつつあると感じています。金融業界はもともと新卒採用中心で、若手を長期間かけて育成する風土があります。
しかし、リーマン・ショック後に新卒採用を抑制した影響で30代の層が薄く、他業界への転職も活発なことから中堅人材が不足している状況です。金融業界経験者のキャリア採用にシフトしたものの、IT業界やコンサルティング業界などが強力な採用競合となり、思うように採用が進んでいません。
そこで、金融専門職、IT、内部監査といった高度な専門スキルを要するポジションについては、40代~50代のベテラン層を積極的に採用する傾向がみられます。
そのため、実際に受け入れる制度や仕組みを整備する動きも出てきました。ミドル・シニア専用ポジションとして、マネジメントを担わない「スペシャリスト」や、「部署異動なし」「地域限定(転勤なし)」などを前提とした求人が出始めています。
金融業界で働いてきたミドル層の方々は「役職定年」を見越して、あるいは役職定年を迎えたことを機に転職を検討するケースが多くみられます。ただ、金融業界では、これまで年功序列の組織構成であった企業も多いことから、「転職しても思うようなキャリアは望めないのでは」と不安を抱く方が少なくありません。
しかし、最近は金融業界でもミドル層がこれまでの経験を生かして力を発揮できる環境が整いつつあるのです。 【次ページ】役職定年目前の50代、なぜ 数百万の“想定年収増”だったのか
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