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  • 2022/03/14

GX(グリーントランスフォーメーション)とは何か? 「カーボンニュートラル」に必要な変革とは

日本政府は2020年10月、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という、カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。この達成目標を成長の機会ととらえ、産業競争力を高めていくことも狙いの1つである。そうした中、経済産業省は2022年2月1日、経済社会システム全体の変革(GX:グリーントランスフォーメーション)を牽引する「GXリーグ基本構想」を公表した。同月、この構想への賛同企業の募集を開始し、本格稼働に向けて2022年度の実証事業の準備を進め、2023年4月以降の本格導入を目指す。GXとは何か、GXリーグ基本構想ではどのような取り組みが実施されるのかを解説する。

国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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GX(グリーントランスフォーメーション)とは?
(Photo/Getty Images)

GX(グリーントランスフォーメーション)とは何か?

 GX(グリーントランスフォーメーション)とは、経済産業省が提唱する、経済成長と環境保護を両立させ、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という、カーボンニュートラルにいち早く移行するために必要な経済社会システム全体の変革を意味する成長戦略である。

 2030年の日本としての温室効果ガス排出削減目標の達成や、2050年カーボンニュートラル達成を目指すために提唱されている。

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カーボンニュートラルの産業イメージ
(出典:経済産業省)

GXを実現するGXリーグとは? その基本構想

 カーボンニュートラルの達成目標を成長の機会ととらえ、産業競争力を高め、GXを実現するための施策として「GXリーグ」がある。GXリーグとは、GXに積極的に取り組む「企業群」が産官学と連携し、経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造を実践する場である(経済産業省 2022年2月1日公表した「GXリーグ基本構想」)。

 また、経済産業省としては、サプライチェーン全体での二酸化炭素(CO2)の排出量削減につなげるため、排出量を売買できる新たな取引市場への企業の参加を後押しする狙いがあると考えられる。

 GXリーグ基本構想は、GXリーグが目指す世界観やどのような企業群とともに取り組む内容やスケジュールなどの点に関する基本的な指針を示したものだ。具体的には、「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」における議論の成果として、2021年8月に取りまとめた「中間整理」を踏まえた方向性が記載されている。

 今後、GXリーグの実装に向けた詳細設計の議論と取り組みの実証を2022年度に進めていくために「GXリーグ設立準備事務局」を立ち上げる予定。すでに同構想に賛同する「基本構想賛同企業」の募集を2022年2月1日に開始した。募集締め切りは同年3月31日だ。

GXリーグが目指す「循環構造」とは?

 GXリーグが示す「経済社会システム全体の変革」とは、具体的にどのようなものを指すのか。基本構想では、企業の意識・行動変容から生まれた価値が提供される新たな市場の創造を通じて、生活者の意識・行動変容を引き起こすことと記載されている。また、そこから企業の意識・行動変容につながる循環が起き、そうした構造で企業の成長や生活者の幸福、地球環境への貢献が同時に実現されることを目指すという。

 その実現にあたって、特に重要とされているのが以下の3点だ。

  1. (1)企業自らの排出削減
  2. (2)企業が自らに関連するバリューチェーンへの排出削減に向けて行動する
  3. (3)生活者が自ら能動的に選択できるようなGX市場の拡大

 GXリーグでは、上記の3点に賛同する企業を募り、以下の図のように循環構造を導くためのさまざまな試行的な取り組みを実施する予定だ。

 具体的な取組内容としては、以下の3点を併せて実施するという。

  1. (1)生活者にとってのカーボンニュートラル時代の未来像のあり方の議論
  2. (2)未来像を踏まえた、新たなGX市場形成のあり方(ルールメイキングなど)の議論
  3. (3)社会での効率的な排出削減を実現するための自主的な排出量取引の試行

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GXリーグの目指す循環構造
(出典:経済産業省「GXリーグ基本構想」2022年2月)

 カーボンニュートラルの取り組みを推進するには、今後、先行導入企業とそうでない企業との取組強度の不公平を是正する必要がある。そこで排出量を調整する仕組みが求められてくる。

 GXリーグでは、自主的に掲げた目標値を達成するための自主的な排出量取引の仕組みを構築し、将来的に必要となる排出量を調整する準備のための取り組みとなる。

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将来の量を調整する仕組みに向けての準備としてのGXリーグの位置づけ
(出典:経済産業省「GXリーグ基本構想」2022年2月)

GXリーグ参画企業に求められる考え方

 世界全体でのカーボンニュートラルの実現に向けては、カーボンニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行う企業が、その他の主体と協働しながら、変革に向けて取り組む必要がある。

 GXリーグ参画企業の考え方について、基本構想ではGXリーグ参画企業に対して以下の3点の取り組みの実施を要件とする方向性が示されている。

  1. (1)自らの排出削減の取り組み:自ら、1.5度努力目標実現に向けた目標設定と挑戦を行い、その取組を公表する

  2. (2)サプライチェーンでの炭素中立に向けた取り組み:自らだけでなく、サプライチェーン上の幅広い主体に能動的に働きかけ、サプライチェーンのカーボンニュートラルを目指す

  3. (3)製品・サービスを通じた市場での取り組み:グリーン製品の積極・優先購入などにより、市場のグリーン化をけん引する

 また、各取り組みでは必須項目と任意項目が明記されている。以下の表にまとめた。

取組内容 要件(必須項目) 要件(任意項目)
(1)自らの排出削減の取組 ・2050CNに賛同し、これと整合的と考える2030年の排出量削減目標を掲げ、その目標達成に向けたトランジション戦略を描く。

・目標に対する進捗度合いを毎年公表し、実現に向けた努力を行う。
・我が国がNDCで表明した貢献目標(2030年46%削減)より野心的な排出量削減目標に引き上げる。
(2)サプライチェーンでの炭素中立に向けた取組 ・サプライチェーン上流の事業者に対して、2050CNに向けた排出量削減の取組支援を行う。

・サプライチェーン下流の需要家・生活者に対しても、自らの製品・サービスへのCFP表示等の取組を通じて、能動的な付加価値の提供・意識醸成を行う。
・サプライチェーン排出についても、国としての2050CNと整合的と考える2030年の削減目標を掲げ、その目標達成に向けたトランジション戦略を描く。
(3)製品・サービスを通じた市場での取組 ・生活者、教育機関、NGO等の市民社会と気候変動の取組みに対する対話を行い、ここでの気づきを、自らの経営に生かす。

・自ら革新的なイノベーション創出に取り組み、またイノベーションに取り組むプレイヤーと協働して、新たな製品・サービスを通じた削減貢献を行う。また、クレジット等によるカーボン・ オフセット製品の市場投入により、グリーン市場の拡大を図る。
・自らのグリーン製品の調達・購入により、需要を創出し、消費市場のグリーン化を図る。
GXリーグ参画企業に求められる考え方
(資料を基に筆者作成)

 GXリーグでは、自らの排出量削減に向けた取り組みだけではなく、自らのサプライチェーンや、生活者、教育機関、NGO などの市民社会など幅広い主体と協働が求められる。特に、リーグに参画する企業が、炭素中立型の市場設計を先導する役割を担うことが期待される。
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GXリーグに参画する企業に求められる取り組み
(出典:経済産業省「GXリーグ基本構想」2022年2月)

【次ページ】GXリーグが推進する3つの主要プロジェクト

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