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  • 2025/05/26 掲載

【現地取材】世界最大級フィンテックイベント「Money 20/20」、日本人が知らない注目6社を解説

FINOLABコラム

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生成AIとフィンテックの融合、クロスボーダー決済の変革、Web3を軸とした金融再編──。2025年4月22日から24日にかけて開催された世界最大級のフィンテックのイベント「Money 20/20 Asia 2025」は、アジアの未来を形づくる論点で溢れていた。
執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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Money20/20 Asiaのパネル風景。中央で参加するKyash 鷹取CEO
(出典:筆者撮影)

Money 20/20で何が体験できるのか?

 Money20/20 Asia 2025は、2025年4月22日から24日にかけて、タイ・バンコクのクイーン・シリキット・ナショナル・コンベンションセンター(QSNCC)で開催された。

 本イベントは、世界最大級のフィンテックイベントであり、決済、金融サービス、テクノロジーの革新を推進するためのグローバルなプラットフォームとして、2012年に米国で初開催されて以来、欧州、中東、アジアに展開されており、業界のリーダーやイノベーターが集結する場として知られている。

 アジアにおいては、コロナ禍以前はシンガポールで開催された実績があるが、しばらくの中断を経て、昨年からバンコクでの開催で復活した経緯がある。

 2025年の年間スケジュールとしては、アジアをバンコク開催で4月22-24日、ヨーロッパがアムステルダム開催で6月3-5日、中東ではリヤド開催で9月15-17日、米国がラスベガスで10月26-29日、といった予定となっている。

 Money20/20ではイベントは参加者間の交流に注力している点も特徴だ。イベントアプリに登録すれば他参加者を一覧することができ、ミーティングを希望して受諾してもらえれば、会場中央の「The Connections Lounge」において15分単位のミーティングが設定される。

 希望時間が合わなければリスケする機能も実装されており、これまでに参加したイベントの中では最もスムーズな体験が提供されていたと言える。

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Money 20/20 Asia 2025の会場見取図
(出典:Money 20/20 Asia 2025イベントアプリより)

メインテーマと3つの注目トピックとは?

 「Empowering Humanity Through Collaboration: Pioneering Secure, Frictionless, and Sustainable Fintech Innovation in Asia(協働による人類のエンパワーメント:アジアにおける安全で円滑かつ持続可能なフィンテックイノベーションの先駆け)」が全体テーマとして掲げられた。

 かなり抽象的な内容ではあるが、アジア開催としての特色を出すことに苦労して設定されたようである。

メインテーマ(1):クロスボーダー決済
 今回のイベント会場において最も目についたのが、クロスボーダーの送金や決済を中心とする事業者の展示ブースの多さであった。日本において既に第一種資金移動業のライセンスを取得しているワイズ(Wise)やニウム(Nium)といった有力海外送金プレーヤーに加え、サークル(Circle)、リップル(Ripple)やビットプレイス(Bitplace)といったブロックチェーンベースの送金ソリューション、リエンリエングローバル(LianLian Global)、ワールドライン(Worldline)やジェトン(Jeton)のような越境EC事業者を対象とした決済サービスなど、それぞれの特徴を持った事業者の出展があった。

 また、スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)、シティ(Citi)、JPモルガン(JPMorgan)といった国際的な銀行、Kasikonbank、Siam Commercial Bankなどの地場銀行もクロスボーダー決済を中心としたアピールを行っていた他、VISAやMastercardなどの国際カードも、カードネットワークを使った資金移動やグローバル決済に焦点をあてた出展をしていた。

 さらに、講演やパネルにおいても、アジアやグローバルの決済動向についてのセッションが多く設定されていた。そういった点では、一般的なフィンテックイベントというよりもSWIFTの年次イベントであるSIBOSとの類似点が多かった印象があった。

メインテーマ(2):人工知能(AI)とフィンテックの融合
 会場には「EXCHNAGE」「HUMANA.I.TY」「MONEYPOT」「UNFILTERED」と名付けられた4つのステージが設定され、講演やパネルが展開されたが、今回は決済関連のテーマに加えて、AIを活用した金融サービスの進化や、デジタルバンキングの未来についての議論が多くみられた。

 特に生成AIの進化によって金融サービスがどのように変化するかというテーマについては、当局からみた規制への影響、銀行からみた業務の変化、スタートアップからみたイノベーションの可能性、VCからみた資金調達の変質、などそれぞれの立場からの議論が展開された。影響の評価はさまざまであったものの、AIの進化が金融に空前の大変化をもたらすという点については意見の一致がみられた。

メインテーマ(3):金融包摂と持続可能性
 より多くの人々が金融サービスにアクセスできるようにするための取り組みや、持続可能な金融の実現に向けた議論が行われた。特にアジアにおいては多様な発展段階の経済が混在している中で、経済的な恩恵をまだ充分に受けられない層にどのようにリーチするのか、今後の成長を図っていく上で環境保護との折り合いをどのようにつけていくのか、といった点が取り上げられた。

 とはいえ、今回の参加者の関心が決済に向いていたこともあって、「インクルージョン」や「サステナビリティ」といったテーマのセッションに対する関心は、あまり高いものとはならなかった印象がある。 【次ページ】日本人が知らない「6つの注目スタートアップ」とは?
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