• 2026/03/30 掲載

日本企業が“量子実装前夜”にやるべきは? 「人材育成・組織、事例」ガイド保存版

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「ユーザー企業にとって、これからの3~4年間が“量子時代の勝者を決める仕込みの時間”だと思っています」──。デロイト トーマツ グループで量子技術統括を務める寺部 雅能氏は、前編でこのように語った。では、量子技術のユーザー企業は、来るべき量子時代に備えて明日から何を始めればいいのか。量子を「遠い未来の話」ではなく、「今の経営アジェンダ」として扱うために、どのようなロードマップを描くべきなのか。後編では、ユースケースの創出、人材育成の具体論に踏み込んでいく。人材育成、組織づくり、パートナー戦略という観点から、ユーザー企業が取るべき「行動のガイド」を整理する。
執筆:創・佐藤法律事務所 弁護士 水嶋 優

創・佐藤法律事務所 弁護士 水嶋 優

司法試験合格後、2011年に日本銀行入行。システム部署での契約法務やリスク管理業務のほか、金融機関への考査・モニタリング業務などに従事。2023年より現職。 FinTech、Web3をはじめとする企業法務・スタートアップ法務を取り扱う。量子技術分野で文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」助成ビジネスコンテスト受賞、NEDO challenge(2025)スクリーニング審査通過。INSEAD MBA修了。

  取材、構成:編集部 山田 竜司
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(Photo/Shutterstock.com)

量子は「様子見」が危険なフェーズに入った

「今から5年後ぐらいから実用化の最初の“果実”が生まれる可能性があります。そうすれば、マシン資源と人材の争奪戦が始まるでしょう」(寺部氏)

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デロイトトーマツグループ
量子技術統括
寺部 雅能氏

 前編でも示したように、寺部氏は次のような10年ロードマップを描く。

~3、4年:仕込み期
 量子コンピューターの実用化を見据えた準備期間。ここでしっかりと備えたユーザー企業が、将来の量子コンピューター実用化時代における「勝者」となる可能性がある。

5年後付近:実用化の初期果実期
 実用化が始まり、最初の「果実」を得るユーザー企業が現れる。こうした成果がさらに投資を呼び、現在とは比較にならない規模の資金流入につながる可能性がある。同時に、マシン資源と人材の奪い合いが始まる。

7~10年:資源争奪戦期
 先行していたユーザー企業が量子マシンへのアクセス、量子人材を独占し始める。量子コンピューターの増設は容易ではなく、後追い組は「マシンにアクセスできない」「人が採用できない」というボトルネックに直面する可能性がある。
 最初の「仕込み期」に十分な準備ができなかったユーザー企業は、量子コンピューターの実用化フェーズに入ったときに、次のような二重の不利に直面するというわけだ。

  • 量子マシンを提供する企業との関係性がなく、マシンリソースを確保できない
  • 量子を理解し、戦略を描ける人材が社内にいない

 量子コンピューターの実用化時期は、未だ見通すことが容易ではない。

 しかし、ユーザー企業は実用化まで様子見を決め込むのではなく、小さくてもいいから取り組みを始める、という姿勢が必要となる。

超重要、ユーザー企業が取るべきアクション

 それでは、ユーザー企業は具体的にどのようなアクションを取るべきなのだろうか。

 寺部氏は、実用化までの準備として、実際に量子コンピューターを触ってみながら戦略構築し、次のステップとして実証事業を通じた事業開発を進める、という段階的な取り組みを示している。

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【画像付き記事全文はこちら】
実用化までのアクションプラン
(出典:デロイト トーマツ グループ作成資料)

 ユーザー企業としては、まずは第一段階の戦略構築に取り組むことが必要となる。ここで寺部氏が重視するのが、(1)量子人材の確保と(2)ユースケースの創出である。

 なお、政府は国家レベルで描く量子産業育成方針において、同様に人材育成とユースケース創出を重視している。

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国家戦略としての人材育成・ユースケース創出
(出典:量子技術イノベーション会議「量子エコシステム構築に向けた推進方策概要」)

 こうした観点が、各ユーザー企業のビジネススタンスとしても当てはまる、ということだ。

 以下では、ユーザー企業が行うべき人材確保・組織づくりとユースケース創出の進め方について、具体的に解説する。 【次ページ】注力すべき「3層の量子人材と組織づくり」
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