- 2026/04/27 掲載
【ステーブルコイン元年】ドル離れが進んだ結果、米国が取ったまさかの“逆転策”(2/2)
スケールが違う…大企業が進める“銀行に頼らない”決済
アワタニ:銀行ってしたたかだなぁ。松田さん:預金の話に戻ると、国内の支払いなどもあるので銀行の預金が全部なくなることはありません。最近は海外送金用の待機資金も資金繰り管理がしっかりされていて、余分な資金は置かないようにしていますし。それに、実は海外送金での貿易決済の半分はグループ内決済なんですよ。
アワタニ:グループ内決済?
松田さん:貿易決済の多くは、大きな商社の本社と現地法人とか、巨大自動車メーカーの海外工場や販売会社とのあいだとか、場合によってはサプライヤー(注1)間とかなんですよ。グループ外や一見客との貿易は大きくありません。
アワタニ:へぇー、面白い。そんなお金の動きがあるんですね!
松田さん:それに大きな企業グループだと、たいがいプーリング(注2)といってグループ会社間で資金を融通しています。しまいには社内銀行をつくる企業もあって。
アワタニ:えっ、社内に銀行をつくっちゃうんですか。ソニーのソニー銀行みたいなのじゃなく?
松田さん:そう、違う形です。現地で銀行免許を取った企業もありました。そこまでいかなくても、地域のお金まわりを管理する会社を設立する企業は数多くあります。場所は、だいたいロンドンとニューヨーク、シンガポールあたりですね。
アワタニ:大企業はやることのスケールが違うなぁ。
松田さん:もちろんステーブルコインで決済できるなら、銀行に依頼するよりも自前でシステムを持つよりも、さらに時間もコストも大幅に減らせます。
アワタニ:恥ずかしながら遠隔地決済の話、うまくイメージできていませんでしたが、聞けば聞くほど大きな話だなって驚きました。
経済制裁のブーメランで進むドル離れ…米国の“逆転戦略”
松田さん:だから暗号資産で国際決済をしたい企業が潜在的に多く、金融機関も米国政府も既得権益が奪われるって普及を嫌がっていたんですが、トランプ政権で一変しました。これって米国のトランプ大統領が、覇権を奪わんとする中国と対峙しようとしているって構図なんですよね。今のドルは国際決済の約半分を占めている覇権通貨ですが、地位は少しずつ下がっているので。アワタニ:ああ、米国は金融においては最強国家でなくなってきたと。
松田さん:ほかの国も肝が冷えるじゃないですか。だって、米国のご機嫌を損ねたら自分のお金(ドル)が突然、使えなくなるんですよ。
アワタニ:日本みたいに原油とかのエネルギーや食料を輸入に頼っている国は、米国のご機嫌次第で電気も食べるものも調達できなくなるかも……。
松田さん:平たく言うと「米国に預けている外貨準備は人質だったんだ」と、米国と仲がよくない国はビビったんですよ。それで、差し押さえリスクがあるならドル離れするって流れができました。中国やロシア、インドは「自前の通貨で貿易決済しましょう」と言い出すわけです。金(ゴールド)の価格が上昇してきた理由の半分は、実は、このドル離れでして。
アワタニ:ドルの価値が薄まって、相対的に金の価格が上がったのか!
松田さん:中国は金の準備を増やしているので、直接的ですね。さらに中国は、原油決済にドルを使うという常識も打ち破ろうとしていて、人民元建て取引などが増えています。
アワタニ:実はドルってピンチだったんですね。知らなかった……。
松田さん:トランプ大統領は「インドがロシア産原油を買ってけしからん」と言うんです。でもインドや中国からしたら、安いロシア産やイラン産の原油だってほしいじゃないですか。ただドル決済にしたら止められかねないので、ルピーだとか人民元で決済するようになりました。原油がないと生きていけないですから、ほかの手段で買うのは当然です。
アワタニ:そうか、経済制裁をする側の米国が、逆に金融ではダメージを受けていた。いわゆるブーメランですね。
松田さん:米国はドルの地位を守りたいけど、ステーブルコインのほうが明らかに便利だから、放っておいてもちょっとずつ世の中はそっちに行っちゃうだろうと。それを踏まえ、米国は銀行も巻き込んで「じゃあ先にドル建てのステーブルコイン決済を世界中に浸透させちゃおう」と舵を切ったわけです。
アワタニ:ああ……、これまで貿易決済にステーブルコインが使われていなかったけれど今後は使われる、の背景がわかりました。米国が国を挙げて動く、と。
アワタニ:今のドルから、未来のステーブルコインに舵を切ったんですね。
松田さん:こんなドル離れの状況で世の中がブロックチェーン決済にどんどん移行していくなら、抵抗してもムダだと。米国が先導して、ドル建てのステーブルコインで世界を席巻してやろうと思ったわけです。
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