- 会員限定
- 2026/01/05 掲載
【フィンテック10大予測】2026年が分岐点、「次の10年」への“業界変化”を全解説
FINOLABコラム
FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。
「フィンテックの10年」と2026年
「フィンテックの10年」という表現を最近聞くことが多い。メディアでひんぱんに取り上げられるようになったのが2015年頃からということもあるが、業界団体であるフィンテック協会が2025年に10周年を迎え、本邦初のコミュニティであるFINOLABが2026年に10周年を迎えるといったタイミングとも一致している。その間の変化をみると、金融領域におけるスタートアップと既存金融機関の関係が成熟してきたことがあげられる。当初、金融機関が「何かフィンテックでやらなければ」とスタートアップと実証実験(PoC)を行ってもなかなか実ビジネスに移行しないケースが多く「PoC疲れ」といった言葉も聞かれ、極端な場合には売上の立たないスタートアップが「PoC死」するといったことも起こっていた。
最近では、両者の経験値が上がってきたこともあって、実のある協業案件が増加しているだけではなく、金融機関によるスタートアップの買収や戦略投資といったニュースも増えてきている。
「実装段階」に入った中で迎える2026年に何が起こるのか、10の変化(「ステーブルコインと暗号資産の新展開」「トークン化の拡大」「パーソナライゼーションの進化」「生成AIの実用化とエージェント展開」「クラウド利用の拡大と課題」「組込型金融とBaaSの浸透」「デジタルIDと本人確認」「法人口座のリスクと事業機会」「デジタル犯罪のさらなる拡大」「量子技術の実用化」)を整理して予測し、当事者ごとの打ち手を考えてみたい。
予測1:ステーブルコインと暗号資産の新展開
2025年は7月に米国でジーニアスアクト(GENIUS Act)が成立するとともに世界的にステーブルコインに対する注目が高まった。日本でも8月にJPYCが資金移動業者の認可を受け、10月には日本初の資金決済法に準拠した円建てステーブルコインが発行された。2026年には、実際の利用がどのような分野で進むのか、米ドル建てのステーブルコインとの交換がどのように行われるようになるのか、といった実務上の展開が注目を集めるであろう。
また、11月には3メガバンクが共同で発行を予定するステーブルコインが金融庁の「フィンテック実証実験ハブ」に採用されることが発表されたが、これがいつ実用段階に移行するのかが気になる。
さらに、ゆうちょ銀が検討を進める「トークン化預金(預金担保方式のステーブルコイン)」も、2026年中の導入を目指すとしているので、具体的な利用方法に関心が集まる。
暗号資産については、2025年11月に金融審議会の議論をもとに「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」がまとめられた。これまで「決済手段」として資金決済法の下で規制されてきた暗号資産を「金融商品」として位置づける見直し、インサイダー取引の規制の導入、交換業者による責任準備金の導入、といった内容が組み込まれており、2026年にどこまで制度化されるかが注目される。
- 金融機関は、米ドル建てステーブルコインとの交換スキームに関する業務フローとリスク管理体制を早期に整備する必要がある。
- フィンテック企業は、海外決済・越境EC・ゲーム・送金などの領域で、円建てステーブルコインの利用可能性をプロトタイピングし、PoCベースの検証から実装フェーズに移行していくことが重要となる。
- 政策面では、AML/KYC の国際協調と、円建てとドル建てのクロスボーダー交換のルール形成に向けた議論を加速する必要がある。
金融AIのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR