- 2026/05/01 掲載
PayPayのようにはいかない…国が発行するステーブルコイン「CBDC」が普及しないワケ(2/2)
中国のCBDCはとっくに完成しているのに…普及しないワケ
松田さん:CBDCを真面目にやるかどうかは、米国との「近さ」と関係している気がします。CBDCにはドル覇権体制への対抗という側面があるため、米国では禁止、同盟国の日本は形だけ、同じ同盟国内でもライバル意識がある欧州ではいちおう発行を計画。敵対する中国は、すでに発行し普及を図ろうとしている状況です。アワタニ:なるほど、わかりやすいです!
松田さん:CBDCのメリットは、国内決済の問題である乱立した電子マネーの統一ですが、中国の場合、まず国内で始めて海外との決済も進めようとしている。つまり、国際的なドル決済に風穴を開けんとする側面があるんですよ。世界中で流通させてドルの覇権を奪ってやろうと。
アワタニ:その中国のCBDCって、普及してるんですか。
松田さん:中国のCBDCはe-CNY(注3)っていうんですが、とっくに完成しているのにぜんぜん普及していません。なんでだと思いますか。
アワタニ:便利なカード決済がすでにあるから。後は国土が広すぎるとか。
松田さん:国民を管理したい気持ちが透けて見えるからです。中国のCBDCの本命は脱税防止と言われ、普及したらお金の流れが全部バレるじゃんって。
アワタニ:めっちゃわかりやすいです……。というか僕も普通に嫌ですよ、何にいくら使ったかまで全部把握されるとしたら。
なぜ欧州のCBDCだけ“中途半端”になるのか
松田さん:こんな感じで中国は国を挙げて挑み、米国はやらない。米国と近い日本はやらない派、真ん中くらいの欧州はちょっとやろうかなって2029年から発行予定です。でも中国みたいに、はっきり米国の覇権に対抗してやろうって強い気持ちはないので、中途半端なんですよ。ステーブルコインもどこまでやるか曖昧で。アワタニ:なんで欧州だけそうなるんですか。
松田さん:1つだけ言えるのは、欧州は「寄り合い所帯」でまとまっていなくて。ECBはEU加盟各国の中銀総裁の集まりなので「EUエリート」と呼ばれる一部の官僚が引っ張っているようですが、域内の調整ができていない印象なんですよ。民業との兼ね合いとか国際政治とか、利害が複雑に絡み合うから。
アワタニ:だからまとまらないんですね。
松田さん:いちおう2026年にEU規則案が可決されたら、2027年にはパイロット版の試験運用が始まり、2029年に初発行可能ってスケジュールらしいです。CBDCかステーブルコインかって文脈で言うと、ユーザーに近い後者(民間ステーブルコイン)が優勢って感じかと思います。
NFT、メタバース、Web3への“幻滅”から生まれた暗号資産
松田さん:メジャーになりうるステーブルコインの対極とも言える、変わった暗号資産もあります。ミームコインっていうシャレで発行したようなもので、犬や猫、カエルなどキャラクターを模したものが多く、トランプ大統領やメラニア夫人を模したコインが話題となりました。これってテクノロジーに対するちょっとした幻滅から始まった気がします。アワタニ:どういうことですか。
松田さん:お話しした、暗号資産を開発するICO案件で「これはすごいよ」って暗号資産の利点が言いつくされたんですが結局、ほとんどがダメだったじゃんと。NFT、メタバース、Web3などが騒がれ「新しい世が到来する」とかいった鼻息の荒い話が広がったものの、こちらも一時的な流行で終わった。そこから逆説的に「もう意味なんかなければいいじゃん」って退廃的な感じで乱立したんです。私は、それだけでは先はないんじゃないかな、という見立てですね。
松田さん:ビットコインやイーサリアムで儲けた人が、遊びでやるイメージですかね。逆に言えば、そうでない人が手を出すと火傷しかねないので注意してください。特に、過去に急騰したチャートとか見せて「夢がある」なんて話しかけてくる人には要注意です。これ、SNSにもよく登場しますから。
アワタニ:ICOと同じでドーンと上がって下がって、また一瞬上がるみたいな。
松田さん:いくつかを除いて全部なくなる運命でしょうね。あるいはファンがいれば生き残るのかもしれない。ガンダムコインとかなら買っちゃうかも、私は。
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