• 2026/06/12 掲載

なぜFFGは「地銀の常識」を捨てたのか? 五島社長に聞くAI・BaaS時代の銀行戦略(3/3)

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みんなの銀行が“実験場”であり“基盤”でもあるワケ

 2021年に国内初のデジタルバンクとして事業を開始した同行の2026年3月末時点で口座数は161万口座、預金残高466億円、ローン残高333億円。5年間で一定の顧客基盤を獲得した一方、黒字化にはまだ距離がある。

 FFGのPBR(株価純資産倍率)が大手他行に比べて相対的に低水準にある要因の1つとして、みんなの銀行が当初描いた成長軌道に乗っていないことが挙げられるほど、市場からの視線は厳しい。

 それでも五島氏は、みんなの銀行を「新規事業の1つ」という枠に収めることを明確に拒否する。

「もう我々のFFGのデジタル戦略の一環だというふうに僕自身は捉えている。ただこれを1つのエンティティで考えれば、やっぱり黒字化するまでは新規事業という見え方になる。だから両方のアプローチでしっかり見ていく必要がある」(五島氏)

 長期的な視点で見れば、みんなの銀行のフルクラウド型バンキングシステムは、FFG本体の勘定系(銀行の中核となる預金・融資・決済管理システム)のモダナイゼーション(現代化)先の一部としても選択肢として検討し得る。

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既存銀行の勘定系システムと次世代バンキングシステムの比較イメージ
(出典:みんなの銀行 報道発表)

 そして2025年5月に発表された「システム外販の第1号」が、この見立てを裏付けた。みんなの銀行がGoogle Cloud上で稼働させるフルクラウド型バンキングシステムが、三菱UFJ銀行が新設するデジタルバンクの基幹システムとして採用されたのだ。

 これは単に売上が立ったという話ではなく、「地方発の銀行システムが全国トップクラスの銀行に提供できる」という事実を示した象徴的な出来事だ。

 五島氏はこれを「FFGのデジタルバンクのアドバンテージを全体で活用していく段階に入った」ターニングポイントとして位置づけている。

 みんなの銀行は、2025年度に「みんなの銀行2.0」として第2次中期経営計画を始動した。法人口座や口座振替などの機能強化、与信モデルの高度化、地域企業とのBaaS連携を進めながら、2027年度の黒字化を目指す。

 なかでも注目されるのが、メルペイとのBaaS連携だ。FFGの説明資料では、新規口座数の伸長、既存口座からのAPI接続数の増加、非稼働口座の活性化という効果が示されている。

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みんなの銀行はメルペイとの協業を開始以降、法人口座・口座振替などの提供領域を拡大
(出典:FFG 報道発表)

 つまりBaaSは、単なる口座獲得策ではなく、外部サービスとの接点を通じて口座利用を継続・活性化させる仕組みとして機能し始めている。

 五島氏が重視するのは、単なるデジタル銀行の収益化ではない。みんなの銀行で培ったクラウド型バンキングやAPI提供のノウハウを、FFG全体の変革へどう接続していくかだ。

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