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  • 「iDeCo(イデコ)」基準緩和で何が変わるの? 若者に広がる「投資」への意識

  • 2019/08/26

「iDeCo(イデコ)」基準緩和で何が変わるの? 若者に広がる「投資」への意識

これまで加入に際して一部、制限があったiDeCo(個人型確定拠出年金)について、希望すれば全ての会社員が利用できるよう、基準の緩和が検討されることになった。「貯蓄から投資へ」という政府の掛け声とは裏腹に、個人の資金が投資に向かわないという状況が続いてきたが、若年層を中心に徐々に意識も変わりつつある。金融機関は回転売買による手数料稼ぎが期待できないiDeCoに対しては消極的だったが、そろそろこうしたスタンスを転換する時期に差し掛かっている。

経済評論家 加谷珪一

経済評論家 加谷珪一

加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『"投資"に踏み出せない人のための「不労所得」入門』(イースト・プレス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方』(ビジネス社)、『お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか』(朝日新聞出版)、『教養として身につけたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)、『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)などがある。

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iDeCoの基準緩和は何をもたらすのか?
(Photo/Getty Images)

年金の仕組みをおさらい、厚労省の狙いとは?

 年金には公的年金と私的年金の2種類があり、公的年金は全国民が加入する国民年金と企業に勤めるサラリーマンのみが加入する厚生年金の2つで構成されている。

 公的年金への加入は義務だが、これにプラスして私的年金の制度を利用することもできる。企業が運営する厚生年金基金や国民年金基金は私的年金だが、iDeCoもこうした私的年金の一種である。

 iDeCoは、個人型確定拠出年金のことで、現役時代に個人が毎月一定額を拠出し、自ら運用先を選ぶことで、将来、運用成績に応じた年金を受け取る仕組みである。

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年金の仕組み
(出典:厚生労働省「年金制度のポイント(平成29年度)」より編集部作成)

 毎月支払う金額が確定しているので「確定拠出」という言い方になるが、同じ確定拠出年金のひとつに企業型と呼ばれるものがある。これは個人ではなく企業が掛け金を拠出する方式だが、どちらも、受け取る年金額は運用成績次第なので、基本的に自己責任の年金と考えて良い。

 現時点で企業型確定拠出年金に入っている人は、規約で認められていない場合、iDeCoに入ることができない。仮に規約で認められていても、掛け金の上限額を引き下げるといった条件がついていたので、iDeCoと企業型確定拠出年金を併用するのは使い勝手が悪かった。

 厚生労働省では、希望すればすべての会社員がiDeCoに加入できるようにし、iDeCoと企業型を併用した場合でも、掛け金の上限額を下げずに済むよう条件を緩和する方針だという。

 同省が条件の緩和を検討している理由は、iDeCoをさらに普及させたいからである。

 現在、企業型確定拠出年金の加入者は約700万人に達しているが、iDeCoの加入者は120万人程度にとどまっている。貯蓄から投資へのシフトを促し、公的年金の負担を減らしたい政府としては、条件を緩和することでiDeCoへの加入に弾みを付けたいところである。

iDeCoの加入者が伸び悩むワケ

 確定拠出年金は、企業型であれ個人型であれ、掛け金を所得から控除できることに加え、運用益も非課税になるなど、税制面では大判振る舞いとなっている。

 企業型確定拠出年金は、企業が制度として用意するものであることから700万人の加入者を獲得したが、完全に任意であるiDeCoの加入者が少ないことを考えると、やはり税制面の魅力だけでは不十分とみて良いだろう。

 iDeCoは2017年にも制度の改正を行っており、これによって加入者数が大幅に増加したが、同年の改正で加入者が増えたのは、共済年金、つまり公務員を対象に加えた効果が大きい。

 今回、企業型確定拠出年金との併用条件が緩和されることで、加入者数は増えるだろうが、大幅増というわけにはいかないと考えられる。

 では、なぜ政府が推奨しているにもかかわらず、iDeCoの加入者はあまり伸びないのだろうか。大きな理由は、やはり投資に対する抵抗感と商品構成だろう。

【次ページ】若者を中心に変わりつつある「投資」への意識

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