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  • 年収1000万円を超えても、なぜ「手取りは増えない」のか? ではどう対策すべきか?

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  • 2019/10/03 掲載

年収1000万円を超えても、なぜ「手取りは増えない」のか? ではどう対策すべきか?

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これまでの日本では、「専門的な機能(スキル)」を身につけることが、「年収1000万」という、ある一定の成功を収めるための近道だった。しかし、今後そういった「機能型人材」は時代の流れについていけず、「事業型人材」が生き残っていくと指摘するのは、新著『資本主義ハック』を上梓した冨田和成氏。元・野村証券トップ営業マンで、現在はマザーズ上場のフィンテック企業「ZUU」の創業者・代表取締役社長兼CEOをつとめる同氏はまた、「年収1000万のサラリーマンは最も割を食っている」と断言する。それはどういうことなのだろうか? 令和時代のビジネスパーソンの成功術について語ってもらった。

ZUU 代表取締役 冨田 和成

ZUU 代表取締役 冨田 和成

一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォーム運営、月間訪問者数は 650万人を超える。金融機関や不動産業界のフィンテック化の推進支援や企業に対して鬼速PDCAシステムを導入する鬼速PDCAエンジニアリング事業を展開。2018年6月、設立約5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。

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ZUU 創業者・代表取締役社長兼CEO 冨田和成氏

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大企業に入らなければ「負け組」という誤解

 副業解禁と終身雇用の終焉。いずれも日本型雇用の大転換となる動きだ。

 いま大企業で45歳以上の余剰人材の大放出がはじまっている。本当に優秀なコア人材は高給で引き抜かれ、組織の末端を担うオペレーション業務はアウトソーシング企業かAIかフリーランスか副業人材に担ってもらうというメリハリが顕著になる。

 この流れに乗って企業を飛び出した人や、カットされた残業代のために副業をはじめた人の多くは、企業の後ろ盾がない状態で戦うことの難しさに愕然とするかもしれない。ブランドがなく、価格競争に巻き込まれた人たちは安い単価で我慢しないといけないという厳しさが増すのは事実だ。

 しかし、この一連の流れは個人にとっては大きなチャンスである。なぜなら令和時代の資本主義社会は、従来の資本主義社会と違って誰でも競争に参加できるし、戦いの場の選択肢は増えているし、そこで情報と知恵という武器を使いこなすことで誰でも勝者になれるからだ。

 たとえば価格競争に巻き込まれて低賃金で働くのが嫌だというなら、自分が置かれている市場を俯瞰して眺め、価格競争をしなくてもいいポジションはどこにあるかを考えればいい。それは戦略的にブランドを確立することかもしれないし、差別化が図れるスキルをコツコツ身につけることかもしれないし、割のいい仕事を斡旋してくれる太いネットワークに繋がることかもしれない。

 仮に就職先の選択肢が少ない地方で暮らす人でも、オンラインで名を上げ、オンラインで仲間を探し、オンラインで仕事を得ることなどいくらでもできる。お金がないなら信用力を磨けばいいし、スキルがないならスキルを持った人に頼ればいい。

 自分の置かれた境遇のせいにして思考を止めるか、自分の置かれた境遇を受け入れて思考を止めないか。それが他責の人と自責の人の決定的な違いだ。資本主義社会で勝つのは自責の人だ。

 断言するが、これからの社会で最も投資効率のいい投資対象は自分である。

身につけた「機能」は陳腐化する

 かつての日本では、人的資本を高めるということはすなわち会社や社会に対する自分の「機能性」を高めることを指していた。

 たとえば、医者、弁護士、会計士などの国家資格がもてはやされていたのはその象徴だ。自分の頭と身体というものを通して「専門的な機能」を社会に提供するのがこれに該当する。「食いっぱぐれがない」「手に職をつけられる」といった表現が使われる職種やスキルは、すべて当てはまる。これまでの比較的変化の少なかった時代では、この「機能」を極めるのが手っ取り早く成功を収めるために効率的だった。

 しかし、時代の潮目が変わってきた。身につけた「機能」がすぐさま陳腐化してしまう時代がやってきているのだ。

 象徴的なのがAIの台頭だ。患者に対する病気の診断の精度は、かなり前にIBMが開発するAIである「ワトソン」が人間の医師を超えている。最近では、レントゲンを解析するAIが人間の医師では発見できないレベルの早期がんを見つけることにも続々成功している。

 また、デザインスキルも機能のひとつだが、この機能を果たすAIも登場している。デザインソフトウェア会社であるアドビが開発している「センセイ」というAIの発展が著しい。たとえば映画ポスターを作るとして、載せたいテキストや写真をAIに渡すと、〝いい感じ〟に加工され、デザインされたポスターが完全自動でできあがる。

 10年、20年とかけて機能型人材としてのエキスパートになっても、後続のAIがすぐさまキャッチアップして追い抜いていってしまうという時代が来ているのだ。また、AIに領域が侵されていなくても、資本主義とテクノロジーの変化スピードが早すぎて、機能型人材として一人前になる頃にはビジネスの様相が一変しているということもある。

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現代では、テクノロジーを駆使した人が、機能を身につけた人を追い抜いてしまう
(Photo/Getty Images)

 たとえば昔でいえば航空機のCA(客室乗務員)は花形の職業だったが、LCCの登場によって航空便の数が増えた分、職業としての希少性が薄れてしまったし、低価格化の圧力が人件費にも加わっている。

 携帯事業の電波を扱う権利や、電力の発電や送電の権利などといったように、規制緩和の流れがさまざまな業界に来ていて、ビジネスの新陳代謝が上がり、過去うまくいっていた事業モデルがその後も安泰であるという保証がどこにもなくなったのだ。結果、その業界、その会社に尽くすための機能だけでは変化に耐えきれないという状況になりつつある。

 一見、形のあるスキルが信頼できるように思えてしまうが、これからの時代ではそれは脆い。それはダイヤモンドが固く見えるようでいて、外圧の変化によっていとも簡単に砕けてしまうのと一緒である。

【次ページ】年収1000万円のサラリーマンは最も割を食っている

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