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  • 2019/10/21

「キャッシュレス」の現在地まとめ、消費増税という“追い風”と課題 (2/2)

キャッシュレスに対するユーザーの意識

 経済産業省が推進し、高い成長率を見込むキャッシュレス市場だが、消費者は実際にどのように受け止めているのだろうか。

 公益財団法人の流通経済研究所が、2019年7月末に全国の20代以上の男女2157人に対して実施した「軽減税率」「キャッシュレス・消費者還元」「プレミアム付き商品券」事業に関するインターネット調査では、「キャッシュレス・消費者還元」事業の認知度は6割弱だった。

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消費増税に係る3施策の「認知状況」
(出典:流通経済研究所 2019.9.4)

 各施策に対する魅力度では、「魅力的」「やや魅力的」と答える割合はいずれの施策に対しても4割以下に留まっているが、「キャッシュレス・消費者還元」事業が4割程度と他の施策よりは大きくなっている。

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消費増税に係る3施策の「魅力度」
(出典:流通経済研究所 2019.9.4)

 他の施策と比べると好意的な評価も一部あるものの、「キャッシュレス・消費者還元」の認知度向上と利用促進に向けたさらなる取り組みが必要なことが伺える。

 MMD研究所が2019年8月に発表した決済方法に関する消費増税対策レポートでは、直近1ヶ月で利用した非接触スマホ決済の利用率は13.6%、QRコード決済の利用率は14.8%と、QRコード決済の利用率が非接触スマホ決済の利用率を上回る結果が出た(スマートフォンを所有する15歳~69歳の男女1万人に対するネット調査)。

 2019年1月調査と比較すると、QRコード決済に関しては約2倍の伸びを示している。

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直近1カ月で利用した決済方法
(出典:MMD研究所 2019.8)

 スマホ決済の利用場所について、朝は「コンビニエンスストア」での利用が最多で、非接触スマホ決済利用者33.0%、QRコード決済利用者31.0%だった。また、スマホ決済の利用頻度、非接触スマホ決済利用者の33.0%は毎日利用、QRコード決済利用者で毎日利用する人は21.5%だった。

 キャッシュレス普及の鍵は、「コンビニで毎日利用されること」であることがうかがえる。

人手不足が深刻する中、キャッシュレス化は進むのか

 キャッシュレスが、飲食店舗や物販店舗において深刻化する人手不足のカギになる可能性もある。

 帝国データバンクが2019年4月に公表した「人手不足に対する企業の動向調査(有効回答企業数 9775社)」によると、業種別では「飲食店」の78.6%が不足と感じており、依然として高水準が続いている。また、「飲食料品小売」「各種商品小売」「娯楽サービス」などが上位となっている。

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従業員が「不足」している上位10業種
(出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査 2019年4月)

 店舗決済のキャッシュレス化やセルフレジが進めば、業務の自動化やオペレーション処理の簡素化が進む。これにより、会計の待ち時間は短縮し、会計は迅速化され、人手不足解消の一助にもなるだろう。

 東京都内でもキャッシュレスしか受け付けない店舗も見られる。脱現金化で大胆に完全キャッシュレス化し、店舗運営を大幅に改革、顧客満足度を高める仕事にシフトしていくことも一手だろう。

 しかし、中小企業店舗にとっては、キャッシュレス導入にあたっての障壁も高い。

 エキテン総研が2019年8月に発表したネット調査によると、全国の中小事業者におけるクレジットカード決済、QRコード決済、電子マネー決済などのキャッシュレス決済の導入実態は、「導入している」が49.5%、「導入していない」が50.5%とほぼ半々だった(全国の店舗経営者および集客・ 販促担当者650人に対するネット調査「中小事業者におけるキャッシュレス決済導入の実態調査」)。

 キャッシュレス決済を導入している店舗の多くは良かった点として、「売り上げが増加した」と回答。悪かった点としては、「運用コストが増加した」との回答が多数を占めている。

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キャッシュレス決済の導入の割合
(出典:エキテン総研 中小事業者におけるキャッシュレス決済導入の実態調査 2019.8.30)

 一方、導入していない店舗では、半数以上の50.7%が今後の導入について前向きな意向を示している。しかしながら、「加盟店手数料」や「導入コスト」「運用コスト(端末)」など導入へのハードルがあり、実際の行動には移せていない店舗が多いという結果も出ている。

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キャッシュレス決済導入の障壁
(出典:エキテン総研 中小事業者におけるキャッシュレス決済導入の実態調査 2019.8.30)

 経済産業省の「キャッシュレス・消費者還元事業」の加盟店登録は2020年4月まで申請可能であり、本事業を契機に、さらに、加盟店の登録が増えることが見込まれている。

 先行する中国や韓国、そして海外の先進国と比べてもキャッシュレス化が大幅に遅れている日本。筆者の場合、キャッシュレス対応していれば、現金を使うことはなくなった。キャッシュレス対応しているコンビニやスーパーなどで、すぐに会計が終わる便利さと、硬貨を用意する煩わしさを実感したからだ。

 日本でキャッシュレスが普及するためには、企業の取り組みや政府の政策による推進に加え、一般のユーザーにその利便性を訴求し、「日々使い続けられる環境」を、いかに構築するかにかかっている。

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