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  • 2019/12/06 掲載

2020年、フィンテック市場で注目すべき「4つの王道トレンド」とは?

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2019年はフィンテック分野に多くのテック企業が参入するなど、非常にダイナミックで大きな動きが見られた年だった。激動の2019年を振り返りながら、2020年の「フィンテックのトレンド」を予測する。前編では“王道トレンド”の4つを解説する。

執筆:日本マイクロソフト 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人

執筆:日本マイクロソフト 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人
IBMにてメガバンクの基幹系開発、インターネットバンキング黎明期のプロジェクト立上げ、金融機関向けコンサルティング業務に従事。その後、マイクロソフトを経て、三菱UFJフィナンシャル・グループのイノベーション事業に参画し、フィンテック導入のオープンイノベーションを担当。「Fintech Challenge 2015」「MUFG Digitalアクセラレータ」「オープンAPI」などの設立を主導。また、MUFGコインなどブロックチェーン等の新規事業などの立上げも手がける。auフィナンシャルホールディングス 執行役員 最高デジタル責任者を歴任し金融スーパーアプリなどに携わる。現在は日本マイクロソフトにて、フィンテックを活用したデジタル金融サービスの創造に取り組んでいる。

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2020年に注目すべき、フィンテック8つの領域とは
(Photo/Getty Images)

2020年 フィンテック8つのトレンド
(1)「Regulated DeFi」プロジェクトの実用化
(2)ギグエコノミーに最適なネオバンクが増加
(3)金融の機能化の進展
(4)ジェネレーションZ向けサービスの台頭
(5)フィンテックの水平展開とその先
(6)スーパーアプリのクロスボーダー競争
(7)行き過ぎたAIの是正とハイパーパーソナライゼーション
(8)リセッションへの対応準備


(1)「Regulated DeFi」プロジェクトの実用化

 2020年に向けて予測される最も重要なトレンドの筆頭が「分散型金融(Decentralized Finance:DeFi)の進展」です。DeFiについては過去の記事に詳説しましたが、簡潔にいうと、「金融取引のように信用と信頼性を必要とする取引を、ブロックチェーン上のプロトコルで仲介者の存在なしに実現しよう」というエコシステムを指します。

 DeFiは、スマートコントラクト(契約の自動化)を実行可能なパブリックチェーン(不特定の人間がネットワークに参加可能なブロックチェーン)である「Ethereum」「Tezos」「EOS」の上で、さまざまなサービス開発が進められています。ですから、ステーブルコイン(価値が安定した暗号通貨)の普及とセットで、DeFiはさらに普及するでしょう。

 一方、2019年はフェイスブックの暗号通貨である「Libra」が話題になった年でした。また、北米の伝統的金融機関であるJPモルガン・チェースによるステーブルコイン「JPMコイン」や、世界銀行による「ブロックチェーン債」の追加発行なども、記憶に新しいところです。

 これらの取組みがパブリックチェーン上のDeFiと大きく異なるのは、実施主体が大企業や金融機関であること。そして、明確に金融規制に従った(または従おうとする)ものだということです。

 金融機関はブロックチェーンを活用し、より速く、低コストかつ柔軟な金融サービスを構築することを目指しています。1社に閉じたシステムではなく、複数企業が参加するコンソーシアム型で運営することで、サービス提供規模を拡大しやすくなるという特徴があるからです。

 2020年には、こうした「Regulated DeFi(規制下の分散型金融)」を構築する動きが数多く見られることになるでしょう。同時に、Regulated DeFiをうまく運営していくためのガバナンス方法論や、不正取引のモニタリング技術も高度化していくことになります。

 中央銀行によるデジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)の発行も現実味を帯びてきました。今後、ブロックチェーンの社会実装が進むに従い、資金決済や証券などの領域を中心に連携が加速することは間違いありません。

(2)ギグエコノミーに最適なネオバンクが増加

 2019年は“働き方改革元年”とも呼ぶべき年でした。リモートワークの推進や副業を容認しはじめ、多様な働き方が普及しつつあります。働き方の多様化に伴って、インターネット経由で単発の仕事を依頼、受注する「ギグエコノミー」の拡大が続くでしょう。これに呼応して、金融サービスにも新たな流れが来ることが予想されます。

 たとえば、ウーバー(Uber)は2019年11月に「Uber Money」を発表しました。これは、北米のUberドライバーを対象した金融サービスです。ゆとりある暮らしをしているとは言えないUberドライバー向けに、Realtime Earnings(即時支払い)や、最大6%のリワードが得られるプログラムなどを提供します。

 同社のサービスを支えるドライバーを全面的に支援する、ギグエコノミー向けネオバンク的な存在であるといえるでしょう。

 ギグエコノミーの担い手をターゲットにした銀行も登場しています。2018年に事業を開始したネオバンクの「Oxygen」はフリーランサー(自営業者)を主ターゲットとしています。Oxygenでは収入の安定しない人でもお金を借りれるよう、口座入出金情報や請求書データを基にAIが自動で与信を付け、返済プランも提案する仕組みを導入しています。

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Oxygenは資金調達を果たし、既存の金融機関から人材を獲得するなど存在感を増している
(出典:Oxygen 報道発表)

 日本においても、クラウドソーシングの働き手向けに融資を提供する企業が出てきました。2020年以降、拡大するギグエコノミー向けの銀行サービスや資産運用サービスが開始すると考えられます。

 マネタイズには課題がありそうですが、ジェネレーションZ世代(1995~2000年以降に生まれた世代)にとっては、従来型の金融サービスよりも好まれる存在となりそうです。

【次ページ】金融の機能化の進展

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