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  • 2020/01/08 掲載

なぜ「分散型金融(DeFi)」に期待が集まるのか? 3つの事例でみる最新動向

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昨年、ニューヨークで行われた世界最大規模のブロックチェーンカンファレンス「Consensus 2019」で「DeFi(Decentralized Finance)を定義する:分散型金融とは何か?」のセッションが大いに注目を集めた。分散型金融とは中央集権を必要としない金融サービスのことで、分散型取引所やP2P(ピアツーピア)型レンディングなどグローバルではすでに一部サービス化されている。本稿ではブロックチェーン技術の最新動向とDeFiへの国内取り組み状況について考察したい。

デロイト トーマツ グループ 赤星 弘樹

デロイト トーマツ グループ 赤星 弘樹

デロイト トーマツ コンサルティング アソシエイトディレクター。ITコンサルティング会社を経て現職。金融機関における事業戦略・組織変革、ガバナンス高度化、IT戦略/大規模システム更改支援などで実績。現在は主にブロックチェーン・ペイメント領域を担当し、グローバル動向把握、フィンテックを活用した事業企画、ブロックチェーン実証支援などのコンサルティングを提供。フィンテック・デジタル領域で新聞や専門雑誌などへの寄稿、セミナー登壇実績など、多数。

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ニューヨークで行われたConsensus 2019の様子
(写真:筆者撮影)

グローバルでのトピックス

 Consensusは米CoinDeskがニューヨークにて毎年主催する暗号資産とブロックチェーン技術領域の世界最大規模のカンファレンスであり、業界における世界中の主要企業、開発者、ファウンダー、および投資家が参加し、多くの交流や学びが得られる機会とされている。

 金融分野ではDeFiの他、ステーブルコイン、STO、AMLなどのキーワードを含むセッションが多く開催された。

 ステーブルコインは法定通貨ペッグの暗号資産であり、企業内外での資金決済サービスと組み合わせての用途が模索されている。

 STO(Security Token Offering)は資金集めを主目的とするICO(Initial Coin Offering)から派生した概念で、価値の裏付けのあるトークンを発行するトークンオファリングであり、規制当局にて規制される(米国ではすでにSECが要件を定義済み。日本は未済)。


 ただし流動性向上や投資家の需要喚起など実用化に向けた課題は多く、国内でも2019年5月に成立した暗号資産新法でも触れられており、今後活発に議論される可能性が高い。

 AML(Anti Money Laundering)は米国財務省・次官が登壇し暗号資産がもたらすマネー・ローンダリングの機会となり得るとの警鐘が出された。

 金融以外の分野では、ヘルスケア、ライフサイエンス、政府でのユースケースが多く見られた。特にヘルスケア分野では、2013年の欧米での規制強化を背景に、ブロックチェーンでの医薬品のサプライチェーン管理の効率化・トレーサビリティ向上、医療記録の保護などに力を注いでいる。

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Consensusは、米CoinDeskがニューヨークにて毎年主催する暗号資産とブロックチェーン領域の世界最大規模のカンファレンスだ
(写真:筆者撮影)

 また、企業のブロックチェーン活用状況については、アマゾンやグーグル、IBM、マイクロソフトなどによるブロックチェーンクラウドサービス(Blockchain as a Service:BaaS)によって技術的な参入ハードルが引き下げられてきた一方で、ビジネス面ではコンソーシアム形成といったより高度で実現性のあるモデルの模索が注目された。

DeFi (Decentralized Finance)とは?

 DeFiはDecentralized Financeの略語で分散型金融を指す新たな造語であり、代表的なもので、DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)、ST(セキュリティートークン)、ステーブルコイン、P2P型レンディングなどが挙げられる。


 DeFiは従来の中央集権的な金融の仕組みに対して、スマートコントラクトを活用して中央集権を不要とする金融の仕組みであり、それによる安価/便利な取引の実現が期待されている。

 中でも、ブロックチェーンの公共性、安全性、透明性という観点から、レンディングは最も有望な分野とされている。DeFiでのレンディングサービスにより、より低いクレジットコストでサービスを提供できることが期待されているわけだ。

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既存金融のビジネスと分散型金融サービスのイメージ
(出典:デロイト作成)

なぜブロックチェーンか?

 ブロックチェーン技術は、電子署名で確立されたデータを、分散型台帳によりデータの不一致や喪失を防止した状態で、組織をまたがってデータ共有することを可能とする。

 暗号資産である「ビットコイン」発祥の技術であるが、(1)高透明性 (2)高信頼性 (3)高効率性の特性を保持することで、金融分野(通貨、送金・決済〈EDI〉、株式・社債等の発行・流通、信託等)、非金融分野(所有権移転登記〈不動産、自動車、デジタル資産等〉、文書管理・公証・トレーサビリティ、IoT等)での活用が積極的に検討されている。

 2019年は、昨今ハッキング事件や投機的・詐欺的利用の増大を受け、法制度が整備された仕切り直しの年であり、またDeFiやステーブルコインの注目を受けた年でもあった。

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ブロックチェーン技術の特性

【次ページ】「機能するか?」ではなく「どう機能させるか?」

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