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  • 2020/03/25

【まとめ】Libraの仕組みと運用体制を解説、欧米や中国、日本の反応とは

フェイスブックが一般市場に向け2020年に発行する予定の仮想通貨(暗号資産)である「Libra(リブラ)」が、日本を含めた世界各国に、通貨や決済をめぐるさまざまな議論を巻き起こしている。現状について、動向に詳しい一般社団法人Fintech協会の理事 落合 孝文 氏がLibraの仕組みや各国の反応などを解説する。

フリーライター 水野智之

フリーライター 水野智之

名古屋大学情報文化学部卒業。日本ユニシスで主に地方銀行向け業務・システムの研究会やユーザー会の企画と運営を担当。Fintechスタートアップのお金のデザイン等を経て、2019年7月より一般社団法人Fintech協会事務局。

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(Photo/Getty Images)
※本記事は、一般社団法人Fintech協会が2月に開催した「DeFiが拓くブロックチェーンの社会実装 - 決済・Libra・STO」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。

Libraの仕組みと運用体制

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一般社団法人Fintech協会の理事 落合 孝文 氏
 ビットコインは、もともと決済での利用が想定され、イーサリアムなども含め「仮想通貨」と名付けられていた。しかし、現実にはなかなか暗号資産の決済利用は進んでいない。これは、価格が安定しないのが一因だといわれている。このような背景から、Libraはなるべく価格を安定させようとしているようだ。

 そこでLibraでは価格安定のため、その発行裏付けとして「複数の法定通貨による通貨バスケットで構成する」と発表している。

 Libraの裏付け資産(リザーブ)としては、米ドル、英ポンド、ユーロ、日本円に加えて、シンガポールドルなども入るとされている。Libraコインは、いつでもリザーブと同様の比率での交換が可能になると見られる。

 ただし、特定の法定通貨だけが、リザーブとなっているわけではないため、実際には若干の実勢価格の変動はありうる。なお、リザーブの調達が発生するのは、Libra協会のメンバーによる出資、ユーザーがLibraを新規購入した時のみになる。

 また、Libraの運用は低リスク資産で投資が行われるが、配当などはユーザー側には返されず、Libra協会の側で保持されると説明されていた。ただし、利息自体をLibra協会が取ることが適切なのかという話や、Libra協会は実際のところ銀行のように振舞っていないかといった話も出てきている。

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リブラの仕組み

 Libara協会は、メンバーシップ制度になっている。パートナー企業として、大手金融機関、テクノロジー企業、非営利団体などが入っていたが、その後、各国の規制当局からのLibaraへの批判もあり、離脱する企業も増えている状況だ。

「Libara協会の構成員は、バリデータノード(取引の承認を担うノード)の役割を果たします。将来的には、バリデータノードの数を増やして初期メンバーの影響を減らしていく方針を表明しています。また、Libra協会は、最初プライベートの形で作っていきますが、将来的にはなるべくパブリックに近づけるという方針を示しています」(落合氏)

 Libra協会に参加するには、大きい資金を持ち、ビジネス上、支配的な立場にある企業であることなどが要件のため、初期段階で簡単に入れるわけではなさそうだ。

「Libra協会は、ブロックチェーンやリザーブの管理を担います。Libraトークンの発行、償却ができるので、Libraトークンについて管理権限を持っているといえます。将来的にはオープン型にし、参入障壁を低くしたいという話も出ていますが、セキュリティなどを含めた課題の多さからそう簡単ではないと考えられます」(落合氏)

 では、Libra協会は現状、どのような組織体制や運営を目指しているのか。

 Libra協会には「評議会」という組織があり、この中にバリデータノードとなる出資者が参加している。出資額1000万ドルあたり議決権1つと、非常に厳しい要件となっている。評議会は、会社にとっての株主総会に近い位置付けになる。次に「理事会」という組織がある。理事会のメンバーは5~19人のマネジメントディレクターで、会社にとっての取締役会に近い。

 意思決定の場としては「評議会」が最上位になり、最終決定権を持つ。実務執行については、理事会や経営陣チームに移譲される仕組みになっている。

Libraをめぐる米国の動き

 Libraの計画公表の前から、世界各国でさまざまなステーブルコイン(法定通貨で担保でき、価格変動が少ない暗号資産)に関する議論が起きていた。たとえば、2019年6月に福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、ステーブルコインのリスクについて議論されている。

 一方で、その福岡での会合のわずか4カ月後、G20財務省中央銀行総裁会議では、Libraに対処するための規制が出るまではグローバルなステーブルコインの発行は認められないといった話題も出てきており、Libra計画の公表が世界の議論に大きな影響を与えた。

 ここで、Libraについて早い段階からさまざまな議論がなされていた米国の状況を振り返っておこう。

 2019年6月18日、フェイスブックがLibraの発行計画を公表すると、その日の内に、米国下院の金融サービス委員会の委員長が「フェイスブックは最近信用できないことばかりしている。だから計画をやめるように」と述べた。

 7月17日には、トランプ大統領も「Libraは銀行の免許を取るべきだ」とコメントし、Libraは単なる決済サービスではなく、銀行としてのサービスなのではないかという議論が、この段階で出てきている。

 有名なのは、2019年7月の米国下院での広聴会だ。そこでは、Libraに関するさまざまな問題点・懸念点が噴出した。

 まず、個人情報管理とセキュリティに関しては、フェイスブック自体が信用できないという背景もあり、強く指摘がなされた。また、2つの観点で証券法についても該当するのではないかとの指摘も出た。

 その時点では発行が想定されていたが後に撤回されたLibra投資トークンについては、購入者に配当が出るため、投資契約に該当するのではないかと指摘されている。

 Libra自体も、通貨をバスケットしてリザーブするため一種のETF(上場投資信託)に近く、投資トークンだけではなくLibra自体が証券法に抵触するのではないか、といった疑義も呈された。

「そのほかにも、利用者への説明が不十分だという指摘、破綻によるシステミックリスク(特定の金融機関の機能不全が金融システム全体に波及するリスク)、金融の安定を害するという懸念、マネーロンダリングやテロ資金供与への対策など、フェイスブックにとっては厳しい質問が相次ぎました」(落合氏)

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米国下院公聴会前後の米国の反応

【次ページ】Libraをめぐる欧州や中国の動き

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