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  • 2020/06/15 掲載

“信頼”の概念が変わった? シェア経済に見る「アフターコロナ」で注力すべきこと

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コロナ禍によりあらゆる業態の「対面型サービス」が苦境に陥り、サービスの提供方法や提供する価値について、再考を迫られることが増えた。この状況をどのように打開するかは、金融機関やフィンテック関連企業にも共通する課題だ。本稿ではシェアリングサービスの取り組みを紹介する。「アフターコロナ」のビジネスをどのように検討しているかを一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長 石山 アンジュ氏が語った。

フリーライター 水野智之

フリーライター 水野智之

名古屋大学情報文化学部卒業。日本ユニシスで主に地方銀行向け業務・システムの研究会やユーザー会の企画と運営を担当。Fintechスタートアップのお金のデザイン等を経て、2019年7月より一般社団法人Fintech協会事務局。

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コロナ禍に見舞われた、シェア経済にはどのような展望があるのか
(Photo/Getty Images)
※本記事は、一般社団法人Fintech協会が5月に開催したイベント「アフターコロナの世界に向けて」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。


コロナ禍でシェアリングエコノミー市場はどう変わったか

 そもそもシェアリングエコノミーとは何か。その概念は非常に幅広く「“ニューエコノミー”としての定義は、プラットフォームを用いてモノやスキルを、 個人間、個人と企業の売買と共同所有することの経済概念を指す」と石山氏は説明する。

 シェアリングエコノミーを形成するサービスは、接触を伴う大勢の人が利用するシェアオフィスや、ホームステイ型の民泊、直接人と会ってレクチャーを受けるスキルシェアサービスなどの対面型のサービスと、クラウドソーシングに代表される、すべてがオンライン上で完結するサービスに分けられる。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、どのような変化が起こっているのか。

 シェアリングエコノミー協会が新型コロナウイルス感染症拡大について、この4~5月に企業19社、個人40人の会員に向けて実施したWeb調査によれば、対面型で「3密」を伴うシェアリングサービスについては、外出自粛を含めた人との接触を減らす必要により、大きな影響を受けるものも出てきている。

 一方、非対面のシェアリングサービスは大きな影響を受けておらず、むしろ伸びているサービスもあるという。リモートワークの進展により、クラウドソーシングを中心にオンラインの受発注についても拡大傾向にある。

「学校の休校やリモートワーク環境などにより、家事の負担が増えたことで家事代行のシェアリングサービスは活用頻度が増しています。また、Uber Eatsのような一時的な接触を伴うようなサービスでも、むしろ増加傾向にあるという調査結果が出ています。既に利用した実績によって信頼が有るかどうかがポイントのようです」(石山氏)

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シェアリングエコノミーのサービス分類
(出典:Fintech協会)

 シェアリングサービスは、非常時の新しい“共助”のモデルとしても注目されている。所有している人と必要としている人をマッチングするプラットフォームを、一時的なサービス無料開放や、システムを変更することで、支援のインフラの機能として活用しているものだ。

「既に事例として、Uber Eatsと神戸市が提携し、通常時は必要な手数料を無料にすることで、飲食店の支援をするといったものがあります。また、 カサのシェアリングサービス『アイカサ』では、傘を借りられるスポットにアルコールの消毒液を置くという取り組みをしています。既存のプラットフォームを活用して、利用者への支援をしているのです」(石山氏)

「対面型サービス」は今後も成立するか

 外出自粛の状況で、提供時に“3密”となってしまう対面型シェアのサービスについての影響は大きい。今後も対面型のシェアリングサービスについては、事業者として衛生面での安全性などのコミットメントがより求められるだろう。

 こうした現状もあり、シェアリングサービスそのものが、厳しいのではという指摘もある。

 石山氏はシェアリングエコノミーの可能性自体が否定されるということはなく、「長期的な視点でみるとこれまでの傾向から、マッチングについてオンラインへのサービスへの転換や、シェアオフィスなど空間型シェアリングサービスでも、個室や人との接触を伴わない個別性の高い空間サービスの提供により、むしろ需要が増えていく場合も考えられる」と予想する。

 また、シェアリングサービスは、厚生労働省が旗を降る「副業・兼業の普及促進」など、「個人のスキルを生かした働き方をする場合の受け皿」としてもニーズが高まると想定している。個人の視点で見ると、都市部で働くことのリスクが高まっているため、より柔軟な働き方ができる分散化型の仕事も出てくるという考えだ。

  これまで これから
収入口 一つの社会 複数の会社・個人
人間関係 会社の同僚・クライアント 世界中の人
働く場所 毎日同じ 自分で選ぶ
仕事の定義 労働 労働+生活の中で稼ぐ
価格 スキル重視 個人が持つ経験・知識・場所・モノなど
石山氏が予測する「これまでとこれからの働き方」
(出典:Fintech協会 報道発表)

 さらに、モノを個別に所有する場合と比較して、コスト的にシェアリングサービスを頼るという観点もあるという。

「すべてのサービスが個別化されるわけではない社会インフラの中で、どのように分散型のシェアリングサービスのインフラを安心安全に使えるようにするかがポイントです」(石山氏)

 石山氏は一部のシェアリングサービスには、より強い社会性や公共性を帯びる点を示唆した。

【次ページ】アフターコロナの世界での信頼の概念の変化

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