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  • 2020/11/27 掲載

Fintech協会 沖田 貴史 新会長に聞く「金融のパワーシフト」、“勝者”をどのように位置づけるのか

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一般社団法人Fintech協会は、日本のフィンテック黎明期に設立され、スタートアップや金融機関と連携しながら、我が国のフィンテックの啓蒙・普及に貢献してきた組織だ。当初は、フィンテックに関わる一部のスタートアップの“集まり”だったが、現在は政府の金融政策に関わるまでに、その活動が広がっている。2020年10月30日からは体制が一新され、新たな代表理事会長として沖田 貴史氏が就任することとなった。同氏に、日本のフィンテックの現状と課題、今後の協会の取り組みについて聞いた。

FinTech Journal編集部 山田 竜司

FinTech Journal編集部 山田 竜司

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一般社団法人Fintech協会 代表理事 沖田 貴史 氏

コロナ禍で急速に進んだキャッシュレス、その歪みで発生した事件・事故

 新型コロナウイルスによって、これまで起きかけていた流れが一気に進みました。新政権でデジタル庁が設立されることもあり、毎日、「デジタル」という言葉を聞くようになりました。一方、この20年、「デジタル」には国を挙げて取り組んできたものの、他国に比較すると進捗は遅れていたのが現実ではないでしょうか。

 それがコロナ禍によって変化に対する抵抗が取り払われ、革新が続いています。ここ数年、見方によっては10年ほどずっと続いていた取り組みが、一気に加速したと感じています。

 特に「キャッシュレス」は、コロナ禍をきっかけに一気に進んだ分野です。5~10年前からグローバルでは伸張していた領域ですが、「非接触決済」「EC比率」など、日本として総体的に低かった値が大きく上がったと認識しています。

 一方、一気に進捗が進んだ結果、事件・事故も増えた印象です。ただ、これまでも事件・事故は水面下で“ずっと起きていた”のです。今回、キュッシュレス化が急速に進んだことで、それが露わになったということだと感じています。


Fintech協会が取り組むべき「安全」と「安心」の確立

 こうした状況に対し、Fintech協会が取り組むべきことは2つあると考えています。1つは、「プレーヤー」の皆さんとともに業界の安全のレベルアップに貢献することです。

 情報セキュリティでは、レベルが低いところが1つでもあると、そこから水が漏れてしまいます。したがって、全体の底上げが不可欠です。具体的には、事件・事故に関する情報を共有する仕組みを作ったり、安全性を高めたりする活動に取り組みます。

 もう1つは「安心」です。安全だからといって、安心できるとはかぎりません。利用者が不安になるのは、一言でいうと「分からないから」です。キャッシュレスに関しても、事業者に「なぜ導入しないのですか」と聞くと「怖いからです」という回答が返ってくることが多いのです。

 2015年の協会発足当時、「フィンテック」といっていたのは、フィンテック関連のスタートアップやテクノロジー分野の人だけでした。一方、今、協会に参加しているのは、大手の金融機関や従来の定義では「金融機関」にあてはまらなかった方々です。フィンテックのエコシステムは、どんどん大きくなっています。

 エコシステムが拡大しているのはユーザーも同じです。昔はフィンテックに詳しい人だけが使っていました。しかし、今は詳しくない人も手軽に使えるようになりました。こうした状況に対応する必要があります。

 私は90年代からインターネットビジネスに関わっていますが、当時、インターネットはひたすら「怖い」ものでした。理由は簡単で「見えない」「触ったこともない」ものだったからです。フィンテックも同じです。安全は必要条件で、それを「安心」へ昇華しなければなりません。

 そこで協会では、情報セキュリティにフォーカスする部会を立ち上げました。また、安全性の確保に取り組んでいる事業者の活動を広報する取り組みも行っています。

 また、ドコモ口座からの不正引き出しが発生した事件の翌日には「eKYC(electronic Know Your Customer)」の勉強会を開くなど、個々の事業者には難しい柔軟な活動を展開することで、協会としての付加価値を高めたいと考えています。

【次ページ】金融業界に起きているパワーシフト、“勝者”をどのように位置づけるのか

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