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  • 2021/03/15

三井住友FG谷崎 勝教CDIOが語る「デジタル戦略」、銀行のビジネスモデルはどう変わるか

SMBCグループでは、グローバルソリューションプロバイダーを中長期ビジョンに掲げ、変革と成長、質の向上を基本方針として取り組んでいる。デジタル戦略は、その核となるものだ。ではSMBCグループのデジタル戦略とはどのようなものか? 執行役専務 グループCDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー) 谷崎 勝教氏が語った。

フリーライター 吉澤亨史

フリーライター 吉澤亨史

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

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三井住友フィナンシャルグループの執行役専務 グループCDIO 谷崎 勝教氏が語るデジタル戦略とは
(出典:nCino Summit Japan 2021)

※本記事は、2021年2月4日に行われた「nCino Summit Japan 2021 ~銀行体験最適化の実現に向けて~」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。肩書は当時のものです。


デジタル戦略推進のための4つのポイント

 SMBCグループは、銀行、クレジットカード会社、証券会社、リース会社、コンシューマーファイナンスなど、幅広い金融事業を展開している複合金融グループである。2020年5月に新たな中期経営計画を発表し、「最高の信頼を通じて、お客さま、社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」という新たな中長期ビジョンを掲げた。

 このビジョンを実現するために、SMBCグループでは「情報産業化」「プラットフォーマー」「ソリューションプロバイダー」の方向性を打ち出している。

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新中期経営計画の基本方針
(出展:三井住友フィナンシャルグループ:2019年度決算 投資家説明会)

 また、新中期計画の基本方針として以下の3つを挙げた。

  • ・トランスフォーメーション:既存ビジネスのモデル改革
  • ・グロース:新たなビジネス領域への挑戦
  • ・クオリティ:あらゆる面での質の向上

 谷崎氏は「デジタル戦略の強力な推進なくして、これらの実現はあり得ない」と指摘した。

 そのデジタル戦略を推進するために、SMBCグループでは以下の4つのポイントを意識して取り組んでいるとのことだ。

  • ・デジタル領域におけるプレゼンスの拡大
  • ・ビジネスモデルの高度化
  • ・ターゲット領域の深化
  • ・対象地域の拡大

 これらをポイントごとに詳しく紹介する。

・デジタル領域におけるプレゼンスの拡大

 SMBCグループでは、金融サービスから非金融のサービスまで拡大を続けるとしている。預金、融資、為替といった伝統的な金融機能は引き続きデジタルトランスフォーメーションを推進していくが、これに加え金融機能の周辺領域などにおいても、ユーザー企業の課題解決につながるサービスの展開を始めている。

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私たちの目指す姿
(出展:三井住友フィナンシャルグループ:2019年度決算 投資家説明会)


 たとえば、デジタル子会社のポラリファイ(Polarify)が提供する、スマホによる本人確認サービス「Polarify eKYC」は多くの企業がサービスを導入しているほか、SMBCクラウドサインの電子契約サービスは前月比3割増の勢いで契約者数を伸ばしている。

 オンラインでのビジネスマッチングサービスを提供するビズクリエイト(Biz-Create)では、現在8000社以上が登録し、順調に利用者数が増えている。またこの派生体として、ユーザーの事業承継や事業拡大の後押しをするM&Aの情報掲載サイト「Alliance Research」も展開している。

 最近では、貿易取引のプラットフォーム「Marco Polo」を推進しているほか、「Contour」や「Komgo」など、複数のプラットフォームに参加することで、ユーザー企業に対しファイナンスサービスへ接続しやすい環境を用意する他、様々な貿易取引業務の利便性向上と業務効率化を目指しているとした。

・ビジネスモデルの高度化

 デジタルで提供するサービスは、顧客接点であるオンラインサービスのUIやUXの利便性を向上させ、より多くのユーザーに快適に利用してもらうことが必要となる。それにより蓄積されたさまざまなデータをAIなどで分析することで、新たな金融・非金融サービスを提供し収益化を図るとしている。

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私たちの目指す姿
(出展:三井住友フィナンシャルグループ:2019年度決算 投資家説明会)

 たとえば、三井住友カードが提供するデータ分析支援サービス「Custella」は、クレジットカード決済により蓄積されるデータに基づいて、ユーザーの顧客像を明らかにしたり、実際に店舗を持つ企業様向けに商圏分析を行ったりするなどのデータサービスを提供している。

 谷崎氏は、「顧客接点からデータを貯め、そのデータを使って新しい収益源を多様化していく。収益源が多様化すれば、さらに顧客接点が増えていく。私たちが目指しているのは、その好循環を実現するビジネスモデル。」であるとした。

・ターゲット領域の深化

 SMBCグループは、BtoC向けのサービスからデジタライゼーションが始まったという。代表的な取り組みは、モバイルサービスにおけるUI、UXの向上である。たとえば、SMBCのアプリ「SMBCダイレクト」では、カードの使い過ぎや不正利用に対しする利用通知や、利用制限機能などを提供している。こうした地道な改善を続けていることで、Apple Storeでは4.6という高い評価を得ているとのことだ。

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ペイメントビジネスにおけるNo.1の地位確立
(出展:三井住友フィナンシャルグループ:2019年度決算 投資家説明会)

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法人向けデジタルソリューションの展開
(出展:三井住友フィナンシャルグループ:2019年度決算 投資家説明会)

 デジタライゼーションの波は、BtoCからBtoBへ波及しているが、SMBCでは、ビジネス領域をBtoBtoCまで拡大しようとしているとのことだ。BtoBtoCビジネスは、SMBCグループがデジタルの世界で提供している決済や貸金といった基本的な金融機能をパートナー企業へ提供することで、パートナー企業は自身のユーザーに新しい価値を提供し、収益の多様化を進めることができるとしている。

 SMBCグループとしては、パートナー企業のユーザーに対して、共同で金融サービスを提供することを目指している。エンドユーザーからは金融機能がパートナー企業のサービスに溶け込んでいるように見えるため、「埋め込み型金融(エンベデッドファイナンス)」とも呼べるビジネスモデルを考えているという。谷崎氏は例として、トヨタ自動車の提供する「TOYOTA Wallet」の開発における共創を挙げた。

【次ページ】谷崎氏が語る「日本の金融機関の課題」

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