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  • 2021/05/17 掲載

日本でも広がった在宅勤務、コロナ後に備えて「ハイブリッド」に投資せよ

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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新型コロナ下で在宅勤務(テレワーク)が推奨され、東京都では、約半数の企業が導入した。これは、通勤者を減少させた。ただし、コロナが終息しても、コロナ前とまったく同じ働き方が復活するわけではない。オフィスと在宅勤務の「ハイブリッド」が模索されることになるだろう。

執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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在宅勤務の在り方は今後どう変わるのか
(Photo/Getty Images)

東京都では在宅勤務が定着

 東京都の調査によると、在宅勤務率は、2020年3月には24%であった。ところが、第一次緊急事態宣言の下で急激に上昇し、4月には62.7%になった。

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都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率
(出典:東京都 産業労働局)

 緊急事態宣言が解除された2020年夏には若干低下したが、それでも50%台を維持した。つまり、コロナ以前の状況に戻ったわけではなかった。

 今年1月の第2次緊急事態宣言下で在宅勤務率は再び上昇し、2月前半には64.8%と、20年4月の水準より高くなった。

 解除で再び低下したが、50%代後半にとどまった。3月前半には59.0%、3月後半には56.4%だ。

 4月の第3次緊急事態宣言によって、在宅勤務率は再び高まったものと考えられる。

 このように、東京都における在宅勤務率は、感染状況によって変動はあるが、大まかにいえば、コロナ以前に比べて2倍半以上に上昇したということができる。

 全体の半数以上の企業が在宅勤務を導入している。

 3月後半の導入率を従業員規模別に見ると、300人以上では84.3%、100-299人では63.1%、30-99人では45.9%となっている。また、週3日以上が47.4%となっている。週5日が19.7%だ。

 在宅勤務という新しい形態の勤務形態が広く認識されたことの効果は、大変大きかったと考えられる。それが、働き方や組織のあり方に影響を与えている。

 なお、日本における在宅勤務率については、いくつかの調査がある。調査によって対象や定義が異なるため、結果には差がある。

 厚生労働省とLINEが2020年に行ったアンケート調査の結果では、20年4月における在宅勤務率が東京都で52%だった。これと比べると、上で見た東京都調査結果の数字はやや高めだ。

「移動」から「リモート」への投資を考えよ

 在宅勤務が奨励されたのは、人と人との接触をできるだけ減らすためだ。では、在宅勤務の広がりによって、通勤者は減ったのだろうか?

 これについては、東京都の調査による地下鉄乗客数の推移が参考になる。

 2020年5月には、乗客数は、20年1月20-24日に比べて、約7割減になった。21年1月にも、5割減になった。

 このように、在宅勤務は、通勤者の減少に一定の効果があったと考えられる。

 地下鉄乗客数の減少は在宅勤務の進展だけによるのではないだろうが、乗客数をコロナ前の半分以上に減らせることが分かったのは、重要なことだ。

 これとフレックスタイムをうまく組みあわせれば、通勤地獄の状況をかなり改善できるのではないだろうか?

 今後の社会のあり方として、鉄道や道路などの「移動」に投資をするのではなく、「リモート」という仕事の進め方に投資をするという考え方があってもよいと考えられる。

 後述する「ハイブリッドオフィス」への投資は、その一例だ。

日本の在宅勤務率は、ドイツとほぼ同程度

 諸外国における在宅勤務の状況はどうか?

 コロナ前(2015年)の数字だが、厚生労働省の「テレワーク総合ポータルサイト」に国際比較の数字がある。

 このデータでは、米国がずば抜けて高く、テレワーク(在宅勤務)の導入率は85.0%だ(2015年)。

 欧州では、イギリスが38.2%、ドイツが21.9%、フランス14.0%となっている(2010年)。

 日本は19.1%だ(2018年)。

 これでみる限り、日本の在宅勤務率は、米国やイギリスに比べると低いが、ドイツとはほぼ同程度の水準と考えることができる。

 なお、このデータは、2015年に「WorldatWork」によって発表された統計などいくつかの調査をまとめたものであり、時点も異なるので、単純に国際比較をすることはできない。

【次ページ】従業員は在宅希望、経営者は出社必要

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