- 会員限定
- 2026/01/30 掲載
パワーカップルは「見込み甘すぎ」?マンション購入で今後あり得る“地獄のシナリオ”
連載:どうなる? これからの日本の不動産
不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。 1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。 主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。 東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を 有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。 その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。 主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、 「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、 「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。 「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」 などテレビ、ラジオの出演多数。 早稲田大学オープンカレッジ講師。
マンション価格上昇に潜む「2つの要因」
東京を中心とした首都圏や大阪、名古屋などの大都市圏の中心部では2013年ごろからマンション価格の上昇が続いてきた。その原因は大きく2つある。1つ目は同年の3月に日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏の打ち出した「異次元金融緩和」にあった。
この「異次元」な政策は2023年に日銀総裁が現・植田和男氏に代わってから続き、ようやく2024年になって終了した。日本も「金利のある世界」に戻りつつある、と言っていいだろう。
経済のセオリーとして、金利が低下すれば不動産価格は上昇する。なぜなら、企業が自社ビルや事業用地として不動産を購入する際にも、あるいは一般市民が住むためにマンションを買う場合にも、たいていは銀行融資を利用するからだ。
金利が低ければ低いほど、買いやすい。金利が高ければ、買いにくい。これは自明のことである。
住宅ローン金利は日本銀行が決める政策金利に連動する。その政策金利が異次元金融緩和政策の下では10年以上もゼロか、あるいはマイナスであったので、マンションは買いやすい状態であった。
「金利」以外の高騰原因とは
マンション価格が高騰する原因の2つ目は、建築コストの上昇である。少子高齢化や人口減少によって日本の経済社会はここ数年、目立って人手不足に陥っている。人手不足はマンションの建築現場に顕著な影響を及ぼした。鉄筋工、型枠工、大工、鳶(とび)、電気・水道・ガス関連の職人など、マンションを建設する上で不可欠な職人さんたちが、思うように集まらなくなった。当然、建築コストも上昇した。
結果、マンションの建築コストは、筆者の体感でこの10年で2倍前後に上昇している。当然、新築マンションの販売価格も上昇する。
東京都心の港区人気エリアでは、新築マンションの新規売り出し価格は2013年からの12年で3倍から4倍の高騰。見方によっては5倍以上とも捉えられる。
それでも、ある程度売れてきた。買う人がいたからである。
大まかな目安として、床面積の坪単価は1,000万円台前半あたりまで上昇したエリアが多い。青山や六本木、麻布などの人気エリアだと軽く2,000万円を超えている。20坪の住戸だと、安くて2億円台。高いと4億、5億が当たり前の世界になっている。
ところが、会社勤めの一般的な給与所得者が住宅ローンを利用してマンションを買う場合、その限度はせいぜい1億円台の前半である。その理由は、それ以上は「借りられない」から、である。つまり、「普通の会社員」は港区の人気エリアではマンションが買えない。
それを買っているのは、住宅ローンを使わず、ポンと現金で買う富裕層たちである。彼らは「住むため」向けのマンションを買う実需層ではない。投機目的の人々、あるいは相続税対策。全体から見ればごく少数な、特殊な需要層だ。 【次ページ】パワーカップルは「見込み甘すぎ」と言えるワケ
不動産市況・投資のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR