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  • 2021/12/24 掲載

2年連続減の給与に増税が追い打ち、転職もできない労働者の「深刻すぎる」実情

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国税庁が発表した2020年の平均給与は2年連続の減少、平均賞与はリーマンショック以来の大幅減であった。2021年は秋以降、新型コロナウイルスの感染が小康状態となり、経済回復にも期待が持たれるが、こうした労働者へのダメージは実際にどのくらいの傷跡を残したのだろうか。人材紹介の最前線でコロナ禍の影響を注視し続けた経営者が、現場の実情と今後の展望について語る。

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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給与減に増税、転職もできないという実情がある
(Photo/Getty Images)

コロナ禍による民間給与へのダメージとは

 民間企業の平均給与や平均賞与について、2020年のデータが国税庁から出されたのは、2021年9月のことだ。平均給与は19年に続き、2年連続の減少、平均賞与はリーマンショック以来の大幅減少となったことが発表された。

 ネガティブな印象が強いニュースで話題になるかと思われたが、そこまで世間で騒ぎになることはなかった。ちょうど政権交代があり、また日本において新型コロナウイルスの感染者数が減少し、経済回復への期待感が増していた時期であるために、あまり関心が伸びなかった可能性がある。

 実際、2021年冬のボーナスについては、民間企業の調査によって「下げ止まった」あるいは「増額した」といったような話題も出始めており、2020年の平均給与・賞与はもう過去のこととして、注目されないのかもしれない。

 しかし、変異株を含めた再流行の可能性は残っており、また2021年冬のボーナスについても、大幅アップやコロナ禍以前の水準に戻ったという話ではなく、これをもって「経済回復の兆し」と安心するには早いだろう。来年に発表される同じ国税庁の調査結果が待ち遠しい。

 働き手側の実際の感覚や、また今後の見通しはどのように見られているのだろうか? 今回はコロナ禍以降の給与減少の状況を追っていきたい。


平均給与は433万円、2年連続減少

 さて、ひとまず国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」から、2020年の給与と賞与の平均はどのような数字だったのか見てみよう。

 まず、平均給与は433万円で伸び率は-0.8%、2019年の-1.0%より下げ幅は減ったものの、2年連続の減少となった。当然、額の上では2019年を下回っている。

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2020年以降の平均給与の推移
(出典:令和2年分民間給与実態統計調査結果)

 一方の平均賞与は65万円となり、3年連続の減少。-8.1%の下落率で、リーマンショック直後の2009年には及ばないものの、その時以来の大幅減少となっている。

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2020年以降の平均賞与の推移
(出典:令和2年分民間給与実態統計調査結果)

 ちなみにここ10年弱は平均給与・平均賞与ともに微増傾向が続いていたため、金額については給与も賞与もリーマンショック時よりも高く、その前年の水準に近い。もちろん、物価や税率などを考慮すれば、単純にリーマン・ショック時点との家計のダメージを比較することはできないだろう。

 たとえば、消費者物価指数を見てみると、リーマンショック直後の2009年が95.53であるのに対し、2020年は99.99と、4.46上昇している。これを貨幣価値などに直すことは難しいが、実質賃金指数を見てみると、1997年以降、右肩下がりの傾向なのはもちろんだが、直近でも2016年に持ち直したものの、2020年、21年と下降してしまっている。

 実質賃金指数は、リーマンショック直後の2009年と比べても2021年のほうが低く、どのくらい家計が苦しいかをストレートに表現できるものではないにせよ、今のほうがより苦しい状況だと言えるのではないだろうか。賞与の平均が2021年に増かしたとしても、どの程度家計が助かるのかは、やはりまだなんとも言えないだろう。

 ところで、今回9月に国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査結果」では、平均給与・平均賞与の減少以外にも気になるトピックスがいくつかあったため、併せて紹介しておこう。

 まず、正規雇用と非正規雇用の平均給与の差が、統計を取り始め得た2012年以降、初めて縮小した。単純に考えれば、正規雇用の労働者のほうがより大きなダメージを受けたと言える。

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正規、非正規の平均給与の差の推移
(出典:令和2年分民間給与実態統計調査結果)

 実際、正規雇用の平均給与が496万円で前年比1.5%減となったのに対し、非正規雇用の平均は176万円で0.9%増となった。これだけを見れば正規雇用の労働者だけに痛みが生じたようにも見えるが、非正規雇用の176万円という平均年収の水準を考えれば、これ以上、ダメージを許容できる余地などないとも考えられる。

 また、今回の調査対象は「1年を通じて勤務した給与所得者」であり、非正規雇用の場合、正規雇用に比べてそもそも1年以上、継続して勤務する労働者が少ないことに加え、年の途中で職を失っている可能性があることにも注意が必要だろう。

 職を失っている労働者の増加については、2020年度の完全失業率は2.9%と11年ぶりの悪化、完全失業者数は前年度より36万人増えた198万人になったという総務省の発表にも表れている。

 実は給与所得者数も前年から減少している。2020年は、前年から62万人減った5928万人となり、前年比-1.0%だったが、この-1.0%という数値は、労働力人口の減少と変わらないペースであるため、単純に少子高齢化などが背景だとも考えられなくもない。

 しかしこれも、正規雇用と非正規雇用を比べると、非正規雇用は正規雇用の3倍の人数が減少していることが分かる。正規雇用は前年比0.1%減、人数にして3万人減少したのに対し、非正規雇用は前年比1.0%減と12万人減少している。

【次ページ】給与減少だけでなく、2020年は増税も

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