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- 2025/06/05 掲載
「プラチナNISA」だけじゃない…“岸田議連”が仕掛ける資産運用立国への4つのシナリオ
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」

従来の「資産運用立国実現プラン」とは何だったのか
資産運用立国議員連盟が4月23日に提出した「資産運用立国2.0に向けた提言」。その中身を一言でいえば、「岸田前政権が策定した『資産運用立国実現プラン』のアップデート版」です。では、従来の「資産運用立国実現プラン」とはどういうものだったのか。簡単に確認しておきましょう。
2023年に策定された「資産運用立国実現プラン」(以下「プラン1.0」。22年公表の「資産所得倍増プラン」も内包)が目指したのは「成長と分配の好循環」の実現です。投資家が投じた投資資金が、企業の成長に活用され、その果実が投資家に回り、さらに投資が拡大することを意味しています。
この好循環を実現するため、プラン1.0は、個人投資家や機関投資家(保険会社や年金)の積極的な投資を促し、そのお金が効率的に成長分野へ向かうよう、さまざまな政策を打ち出していました。

その目玉政策として掲げていたのが、NISA制度の拡充です。24年1月、つみたて枠、「成長投資枠」(旧「一般NISA」)ともに投資上限額が大幅に引き上げられ、制度自体も恒久化。25年2月には累計買付額が56兆円を突破し、当初の政府目標を前倒しで達成しました。
この他にプラン1.0では、金融事業者の信頼向上、国民の金融リテラシーの向上、資産運用業界の活性化といった方向性を提示。それぞれ、顧客の最善利益を考慮したビジネス運用を義務付ける新ルールの創設、金融教育に特化した専門機関(「J-FLEC」)の設立、全国4都市の金融・資産運用特区の指定に結び付きました。
今回の提言では、「プラン1.0」がすでに一定の成果を上げ、「貯蓄から投資へ」の流れを後押ししていると強調。一方、最終目標である「資産運用立国」の実現にはまだ課題が残っており、これまでの改革の流れを止めてはならないとも指摘しています。その上で、より多くの投資マネーが、より効率的に成長分野に向かうよう、政府にさらなる対応を迫っているのです。 【次ページ】「プラチナNISA」と「こども支援NISA」はどうなる?
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