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  • 2022/06/29 掲載

“急増”する中高年コロナ禍リストラ、その深刻すぎる実態

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コロナ禍によって中高年のリストラが増えた。これまでは評価が高く、転職・再就職しやすかった人材がリストラされるケースもあり、その状況は読み切れない。大企業では、早期・希望退職を募る会社が増え、中小企業ではいきなりクビになることも…そのうえ、リストラ後再就職ししたくても、再就職が難しい業界・職種がある。厳しすぎるその実態を詳しく見ていこう。

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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希望・早期退職者を募った上場企業数
(出典:東京商工リサーチより筆者作成)

コロナ禍で中高年のリストラは“増えた”

 コロナ以降、リストラについて聞かれることが増えた。

 私の専門であるシニアの転職支援では、中高年のリストラに関する質問はコロナ以前からよく聞かれる1つだったが、コロナ以降は「リストラ」そのものをテーマにした取材依頼も来るようになった。

 結論を述べると、コロナ禍によって中高年のリストラは増え、深刻なケースも増えた。いまだに再就職が難しい業界・職種もある。

 前回の記事にも書いたが、私たちシニアジョブの人材紹介サービスへの登録は、求職者の新規登録は2019年から2020年は倍近くに増加したが、求人企業の新規登録は減少した。登録する求職者の多くがリストラされた方ではないが、求職者へのヒアリングなどからコロナ禍によってリストラが増えた感触だった。

 また、これまで比較的安全だった業界・職種に、急にリストラ危機が訪れることもコロナ以降多く、不安要素は高まっている。

 東京商工リサーチの調査によると、希望・早期退職者を募った上場企業数は、コロナの感染拡大が始まった20年が93社、リーマン・ショック時直後の09年に次ぐ高水準であった。2017年が25社、コロナ前の18年は12社と2000年以降もっとも少ない。19年が36社、21年は84社となっている。

 ちなみに、コロナ前の2018年には一時的に大企業の希望・早期退職者の募集が落ち着いていたものの、電気機器、医薬品、小売などの業界での動きが目立った。翌2019年には富士通を筆頭に電気機器、そして医薬品業界での大規模な希望・早期退職者の募集が見られた

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コロナ禍によって中高年のリストラは増加
(Photo/Getty Images)

中小企業のリストラの深刻な実態(1)

 コロナ禍によるリストラは、中小企業でのケースが圧倒的に多かった。中小企業のリストラは、スタート時点から大企業よりももっと深刻だ。

 大企業のリストラはほとんどの場合、早期・希望退職の内容が語られる。早期・希望退職であれば、一応は希望者が手を挙げる。希望した場合は、退職金が増額される・再就職支援が受けられるなどの優遇があることがほとんどだ。

 しかし、中小企業のリストラの場合、いきなりクビになることが少なくない。経営者の無知や、中小企業の余裕のなさなどが背景にある。大企業では「不当解雇」のリスクを避けるため、整理解雇が成立する4要件を厳密に満たす手続きが取られるが、中小企業の場合、“甘く”なりがちだ。

 合同会社アバンテ代表社員の宮本哲生氏も「中小企業はそもそも再就職支援というサービスを知らないことも多い」と語る。

 再就職支援とは、リストラで解雇することになった、あるいは希望・早期退職に手を挙げた社員に対し、これまで雇用していた会社が費用を負担して、次の職場探しをするもの。通常の人材紹介サービスは採用する側の会社から成功報酬をもらうのに対して、再就職支援サービスは退職させる側の企業が費用を支払う点が異なる。

【次ページ】まだまだある中小企業のリストラの深刻な実態…

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