- 2026/10/19 06:50 掲載
【単独】エンジニア不要…シスメックス子会社の製造現場発「不良解析AI」爆誕の裏側
連載:勝てる工場のつくり方~シスメックスRA~
東北大学大学院応用化学専攻修了。大手製造業を経て自治体に勤務し、大学での産学連携業務も経験。現在はビジネス分野を中心に取材・執筆。導入事例、記事広告、技術紹介、セミナー記事、SEO記事、法令解説記事などのほか、企業向けコンテンツ制作にも携わる。理系・技術職出身で、環境分野(脱炭素・廃棄物・水質)に強み。脱炭素アドバイザー(環境省認定)、公害防止管理者。著書に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)。
自動化でたまった「データ」どうする?
血液や尿などの検体検査機器やその周辺装置の開発・生産を担うシスメックスRAは、新工場の稼働に合わせて、構内物流の自動化を進めた。人員を増やすことなく省力化を進め、ピッキング作業の生産効率を2倍に高めている(詳しくは前編を参照)。自動化を進める中で、新たに蓄積されるデータも増えてきた。今後のテーマとなるのが、こうしたデータと既存のデータをどう活用するかである。ただ現状では、データ活用には課題が残り、本格的な取り組みはこれからだという。
「現状では十分にデータを活用し切れていないのが実態です。今後はより一層、データの分析や活用を強化していこうと動き始めたところです」(小澤氏)
2026年度からは同社内の生産管理部門に、データ活用を推進する専門組織を新たに設置。現場に近いところで、データ活用を進める役割を担う。
「シスメックスRAとして本腰を入れて取り組む、という意思表示も兼ねて組織を作りました。さまざまなデータが存在する中で、それを使ってできることとできないことを見極めていきたいと考えています」(尾黒氏)
データ活用は、これから本格化する段階にある。一方でグループ全体ではAI活用が広がっており、現場での試みも生まれ始めている。
Copilotでアプリ開発? AI環境整備と人材育成
シスメックスでは、グループ全体でAI活用を推進している。シスメックスRAを含むグループ従業員に、Microsoft CopilotをベースとしたAI環境を提供し、社内の情報を扱えるクローズドな環境を整備。さらに、必要な社員にはCopilot Studioも提供し、アプリ開発環境も用意している。AI環境の整備と並行して、人材の育成にも取り組む。その1つが、AIやデジタルツールを使える社員を増やす「スマートプロセスワーキング」である。グループ全体から部門を問わず希望する社員が参加し、ハッカソンなどを通じてPower Appsを使ったアプリ開発などに取り組む。活動を通じて生まれた成果は、報告会などでグループ内に共有されている。
「シスメックスRAからも複数の部署から毎年何人か参加しています。簡単なアプリを自ら作れる知識やリテラシーが身に付いている社員も増えてきました。現場でも何ができるのか試しにやってみたいという話も出てきています」(小澤氏) 【次ページ】【事例】製造現場から生まれた「不良解析エージェント」の正体
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