• 会員限定
  • 2023/04/18 掲載

ツイッターも始めた「無料→有料」大改革、「勝機あり」と言える秘密が航空業にある謎

米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
米テック業界では高度成長時代が終焉を迎えつつある中で、投資家からは収益増加を迫られている。そのためツイッターなどの米大手IT各社は、従来タダが当たり前だったサービスから脱却し、相次いで課金サービスを開始。従来有料であったサブスクサービスについても、続々と値上げを発表している。インターネットが普及し始めてからおよそ30年続いた「タダ」「安価」という常識が今、劇的に変わろうとしているのだ。しかし米IT大手各社には、勝機はあるのだろうか。

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

photo
「タダ」「安価」というネットの常識を変えようとしている米IT大手各社には勝機はあるのか
(Photo:Hamara/Shutterstock.com)

「タダ→有料」、FacebookやTwitterら続々と

 以前は当たり前にタダであったサービスを有料化に切り替える最近の事例として、米メタが運営するFacebookやInstagramが挙げられるだろう。2023年2月にメタのザッカーバーグCEOがアカウントの認証サービスを有料で提供すると発表。なりすましによる被害を防ぐセキュリティ対策とされているが、これにより課金アカウントが生まれようとしている。

 そのほか、収益をより重要視するようになった米EC王者のアマゾンはプライム会費を米国内で値上げし、ネットフリックスやディズニーも月額サブスク料金を引き上げている。

 こうした中で、積極的な姿勢を見せているのが破天荒な経営者イーロン・マスク氏率いるツイッターだ。同社は2023年3月に、セキュリティサービスであるSMS認証について、無料ユーザーへの提供を取り止め、有料プランのTwitter Blueユーザーに限定するとした。

 「これまで長くタダであったものが、ある日突然有料になるということで、(永遠だと思われた)無料トライアルが終わった」と評したのは、米アトランティック誌のチャーリー・ウォーゼル記者だ。

 それだけでなく、有料ユーザーは長文投稿をはじめ、ツイート編集機能や高画質動画のアップロード、長編動画アップロードなど、主にクリエーター向けと思われる機能を利用できる。便利さとセキュリティを望むユーザーに、月額8ドルのTwitter Blue利用を促し、課金ユーザーを増やす狙いだ。

有料化の象徴「Twitter Blue」、マスク氏の真の狙いとは

 だがマスク氏の本当の狙いは、SNS上で目立ちたいという利用者心理を巧みに扱い、Twitter Blueを認知させることにある。それを象徴するのが、青い認証マークだ。

画像
青い認証マークを有料化した、イーロン・マスク氏の本当の狙いとは
(Photo:Koshiro K/Shutterstock.com)

 Twitter Blueのアカウントには、青い認証マークが付けられる。だがこの認証マークは従来、ツイッターが身元を確認した有名人にのみ無料で与えていた特権だ。今やその「選ばれし者」のイメージを、付加価値の形で販売している。一方、無料で付与されていた有名ユーザーのうち、Twitter Blueに移行しない者に対しては、認証マークを2023年4月1日から除去すると発表されている。

 4月15日からは「おすすめ」タブに表示されるのが、Twitter Blueユーザーのツイート、およびフォロー済みの非Twitter Blueユーザーのツイートとなる予定だ。さらに、Twitter Blueユーザーが他者のツイートにリプライをしたとき、優先的に表示順位が上げられるという。理論的には、Twitter Blueの無名ユーザーのリプライが、フォロワー数百万の有名アカウントよりも上に表示される事態が起こり得る。

 つまり、無料で著名ユーザーに提供してきたプラットフォーム上の「一等地」を廃止する代わりに、月額8ドルの「利用代」を徴収して一般ユーザーにも開放する、というイメージである。お金を支払わなければたとえ有名人であっても地位が下がり、逆に料金を払うユーザーは潜在的な発言力が増す。それが、マスク氏が売り込む付加価値なのだ。

 また企業向けでは、認証マークを青色から金色に変更した上で、無料から月額1,000ドルに変更した。認証マークはビジネスの信用の証しであるため、毎月1,000ドルを一種の経費だとみなして支出する企業は増える、というのがマスク氏の読みだ。 【次ページ】なぜ「勝算あり」と思える? 実は航空業界に秘密あり

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます