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  • 2023/12/05 掲載

年収4,000万円超が急増、インドのフィンテック市場が「爆増」の背景

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国連推計でもすでに中国の人口を抜き、世界最大となったインド。若い生産年齢人口、旺盛な消費意欲、中間層・富裕層の拡大を背景に“爆増”しているのが同国のフィンテック市場だ。所得の上がらない日本をしり目に、年収4,000万円を超える富裕世帯も急増している。2030年には1.3兆ドル規模(およそ190兆円)に達する可能性があるというインドのフィンテック市場を詳しく読み解いていこう。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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インドのフィンテック市場規模
(出典:IIFLの調査結果をもとにFinTech Journal編集部作成)

インド・フィンテック市場、1兆3,000億ドル市場に

 国連によると、インドの人口は2023年4月に14億2577万人となり、中国を超え、世界最大となった。若年層が多く、経済成長が見込まれるインド、今後も人口増が予想されており、2050年には16億7000万人に達する可能性があるという。

 そんなインドでは、経済関連のさまざまな強気予想が展開されており、テクノロジー分野の投資も増加傾向にある。

 注目分野の1つは、フィンテックだ。

 IIFL(India Infoline Group)のフィンテック市場最新レポートによると、インドは旺盛な国内消費や中間層の台頭などを背景に、今後さらにフィンテックサービス利用が拡大すると予想されており、国内のフィンテック市場は2030年に1.3兆ドルに達する見込みだ。

 現在、フィンテック企業の数で世界3位に位置するインドでは、クレジット(貸し付け)、支払い(P2CおよびP2P)、投資・取引、個人のファイナンスとウェルスマネジメント、信用評価、保険など、多様なフィンテックプロダクト/サービスが提供されており、すでに他国と比較して、かなり活発なフィンテック市場が形成されている。今後10年、5Gの普及に伴い、フィンテック市場もさらに成長すると予想されている。

 フィンテックが普及することで、2030年のインドの支払いトランザクション量は、100兆ドルに達する可能性もあるという。

 実際、すでにモバイルウォレットなどのPPI(Prepaid Payment Instruments:前払式決済手段)のトランザクション量は、2021年度の49億3920万件から2022年度には65億8120万件、さらに2023年度には74億6670万件と右肩上がりで上昇している。

 フィンテック市場の中で、特に規模が大きくなるとみられているのがデジタルレンディング市場で、フィンテック市場全体1.3兆ドルのうち、5,150億ドルを占めると予想されている。次いで、ウェルステック市場が2,370億ドル、ネオバンキング市場が2,150億ドル、デジタルペイメント市場が1,060億ドル、インシュアテック市場が880億ドルに拡大する見込みだ(上図)。

 デジタルレンディング市場の成長ドライバーは、P2Pレンディング、中小企業ファイナンシング、短期クレジットなどが主となるというが、今後はECの台頭に伴うBuy Now Pay Later(BNPL:後払い)モデルの普及も同市場を押し上げる要因になるとみられている。

画像
インドのフィンテック市場が拡大している理由とは
(Photo:Tada Images / Shutterstock.com)

桁違いの成長を遂げるフィンテックスタートアップ

 可処分所得に余裕がある中間層・富裕層の増加により、インドでは現在クレジットカード利用が拡大、これに伴いクレジットカード支払いプラットフォームを展開するフィンテックスタートアップ「CRED」の収益が急増している。

 Techcrunchの2023年10月5日の記事よると、バンガロールを拠点とするCREDの営業収益が1億6,810万ドルと前年比で255%増加したことが明らかになった。

 CREDは2018年に設立され、クレジットカードの支払いを期日までに済ませたユーザーにリワードを付与するプラットフォームを展開している。

 クレジットカード利用者の拡大に伴い、営業収益は2021年度に1,140万ドル、2022年度に5,000万ドル、そして2023年度に1億6,800万ドルと右肩上がりに急増している状況だ。

 CREDのプラットフォームは、インドのクレジットカード払いの1/3を取り扱っており、合計の支払額は77%増加し、520億ドルに達したという。

 インド準備銀行の2023年4月のデータによると、歴史的にデビットカード利用が多いインドだったが、最新調査でクレジットカード利用がデビットカード利用を上回ったことが判明。2023年4月の商取引において、デビットカードのスワイプ回数は2億2000万回だったのに対し、クレジットカードは2億5000万回を記録した。

 過去1年では、クレジットカードのスワイプ回数は20%増加、一方デビットカードは31%減少している。 【次ページ】家計消費が強いインド経済

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