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- 2024/06/27 掲載
地銀における「データとAI」活用の勝ち筋とは? 山口FG事例
みずほコーポレート銀行や福岡銀行にて法人営業、海外拠点立上・PMI、および新規事業開発や全社DX推進に従事し、アジャイル開発チームのプロダクトオーナーも担当。その後ATカーニーにて金融・製造・IT業界等における新規事業戦略立案や既存事業変革戦略立案等に従事。22年エクサウィザーズに参画後は、主に銀行向けにAIの業務活用をリード。現在は金融及びリテール業界向けのAIコンサルティンググループのリーダーを務める。また2022年金融データ活用推進協会設立より、地銀WGの副WG長を務める。
東北大学工学部卒業。七十七銀行、全国銀行協会、三菱UFJ信託銀行で一貫して金融デジタル分野に従事。三菱UFJ信託銀行では、AI・データ活用組織を立上げ。2020年1月に前進組織である「金融事業×人工知能コミュニティ」を設立、発起人。2022年4月に金融データ活用推進協会を設立し、代表理事に就任。デジタル庁では民間専門人材として、金融業界のデータ活用に関する施策に従事。
地銀のデータ活用の現状と課題
さまざまな業界でデータやAIの活用が著しく進展し、一部の先進企業では顕著な成果を上げています。一方、地銀の領域ではまだ道半ばというのが実情です。地銀の現場からはデータやAI活用を推進するうえで直面する課題として、以下の3つが挙げられることが多いようです。(2)専門人材の不足
(3)内部のカルチャー
たとえば、特定の取引データを分析しようと思ってもデータベースがバラバラであったり、担当者によって顧客との折衝記録の量や質がバラバラであったり、といった具合です。
(2)についてデータサイエンスや機械学習といった分野の専門知識を持つ人材が不足していることも、地銀のデータ活用の道を阻んでいます。データやAIがビジネスにもたらす潜在的な価値を最大限に引き出すためには、専門的なスキルと深い理解が必要ですが、他の業界で投資が活発になっている中、地銀によるこれら人材の採用や育成に向けた投資は不足しており、その確保に苦労しています。
(3)についてデータを効果的に活用する文化が地銀の中に根付いていないことも課題の1つです。データ駆動型の意思決定を行うためには、組織全体でデータの価値を認識し、データを中心に据えた業務運営が求められます。
しかし多くの地銀では、既存の業務プロセスや意思決定構造がデータ活用の取り組みを阻害しています。たとえば経営者が感覚で意思決定をしていたり、営業担当者が顧客に係る情報をシステムに入力することの重要性を理解できていなかったり、という具合です。
これらの課題に対応するため、地銀はデータ活用に関する基盤の整備や、データサイエンスや機械学習の専門家の育成や採用、そして組織文化の変革に向けて十分な投資を行う必要がありますが、そうした投資の意思決定や推進は簡単ではありません。
そこで地銀ならではの強みを生かした成功事例をいち早く作ること(クイックウィン)が重要です。経営者も営業現場も理解しやすい効果を早く創出できれば「どんどんデータ活用を推進しよう」という機運が全行的に醸成され、経営者や営業現場も巻き込んだ「データとAI」活用が進んでいきます。
【次ページ】山口FG事例:地域との密接なつながりを生かした「データとAI」活用
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