• 2025/12/08 掲載

データアナリストとは?仕事内容や年収・資格・向いている人は?

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ビジネスの現場で「データドリブン」という言葉を耳にする機会が増えた。その中核を担うのがデータアナリストという職種だ。単なる数値チェック係ではなく、データを読み解き、経営判断や事業改善につながる洞察を引き出す専門家である。平均年収は700万円を超えるとされ、キャリアの選択肢も豊富だ。だが、求められるのは技術力だけではない。ビジネス理解力やコミュニケーション能力も不可欠となる。本記事では、データアナリストの業務フローから年収事情、必要なスキル、さらには未経験から挑戦するための実践的なロードマップまで網羅的に紹介する。
執筆:田中 仁

田中 仁

大手総合商社にて10年間勤務し、新規事業開発を中心に資金調達、財務・会計等を担当。東京のほか、アメリカのベンチャーキャピタルやイギリスでの勤務経験もある。IT業界やテクノロジーにも精通。

  構成:ビジネス+IT編集部
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データアナリストとはどのような職業なのかをわかりやすく解説します

データアナリストとは?ビジネスの意思決定をデータで支える専門家

 現代のビジネス環境では、企業が持つ顧客データ、売上データ、Webのアクセスログ、内部システムの実績データなど、あらゆる「データ」が戦略や施策の根拠になる。そんな中で、データを収集し、整理し、分析し、そこから意味ある「インサイト」を引き出すことで、経営判断や事業改善を支えるのが「データアナリスト」という専門家だ。

 データアナリストとは、単なる「データの数値チェック係」ではなく、ビジネス課題を理解し、データを読み替え、将来の方向性を示せる──。つまり、データを“言葉”に翻訳する「通訳者」であり、「案内役」である。特にデジタル化が進む企業や、Web/アプリ/サービス運営を行う企業では、データアナリストの存在が、組織の意思決定の質に直結するようになってきている。

なぜ今、データアナリストに注目が集まるのか

 多くの企業が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「データドリブン経営」を標榜するようになったことで、ただデータを溜め込むだけでは意味がない──という認識が広がっている。過去数年で、データ分析の重要性は劇的に高まってきている。

  • データ量と種類が爆発的に増加した。
    Webサービス、モバイルアプリ、クラウド、IoT──企業が扱うデータは量も種類も多様化し、Excelでの集計では追いつかない。
  • 経営やマーケティングにおける“科学的根拠”のニーズ。
    感覚や経験だけでなく、データを根拠にした仮説構築・検証サイクル(PDCA)が求められるようになった。
  • 競争の激化で、迅速かつ正確な判断が求められる。
    市場の変化や顧客の行動はスピーディ。データをもとにした迅速な判断と改善が競争力につながる。

 こうした背景から、データを「所有しているだけ」の企業から、「活かせる」企業へと生まれ変わるために、データアナリストの存在は不可欠となってきている。

データアナリストの具体的な仕事内容

 データアナリストの仕事は多岐に渡る。単なるデータ集計に留まらず、ビジネスに直結する「価値ある提案」まで含まれる。以下に代表的なフェーズと業務内容を示す。

1. ビジネス課題のヒアリングと要件定義
 まず、データアナリストはビジネスの現場や経営層、マーケティング担当などから「何を解決したいか」「どんな疑問を明らかにしたいか」を聞き取る。たとえば「今のキャンペーンは効果あったか?」「離脱が多いユーザーはどんな特徴か?」といった問いだ。
 ここで重要なのは、単に数値を追うのではなく、「そのデータ分析がビジネスにどう影響するか」を見定めること。要件定義とは、必要なデータ、期間、KPI(重要業績指標)を決めることであり、これが曖昧だと後の分析がぶれてしまう。
 たとえば、以下のような問いを明確にし、プロジェクトの設計図を作るのが、まさにこのフェーズだ。

  • 解約率を改善したい
    → どの期間のデータを見るか、どの顧客層を対象にするか
  • 効果的な広告チャネルを知りたい
    → 広告クリック、コンバージョン、顧客獲得コストなど、どの指標が必要か

2. データの収集・加工・整理
 問いが決まったら、次に必要なのはデータそのもの。だが、企業データはしばしばバラバラで、形式もまちまちだ。ログデータ、CSV、データベース、外部サービスのデータなど。そこで、データアナリストはこれらを集め、整える──つまり“前処理”をする。
 この工程でよく使われるのは、SQL(データベースから必要なデータ抽出)、Python や R(データのクリーニング、欠損値処理、型変換など)、Excel/BIツール(簡易的な集計)などだ。

 たとえば、次のような作業が含まれる。

作業内容 意義
重複レコード削除、NULL処理、異常値チェック 分析結果の信頼性確保
異なる表・ソースの結合(JOIN) データを統合して全体像を掴む
タイムスタンプの整形、カテゴリ変数のコード化 分析可能な形に整える

 こうして初めて「分析に耐えうる」「意味ある」データが整う。

3.データの分析・可視化
 データが整ったら、次は分析。過去の傾向を読み取ったり、異常なパターンを見つけたり、相関関係や傾向を把握したり──。分析の目的に応じて、手法はさまざまだ。

 よく使われるのは、以下のようなものだ。
  • 集計(例:月別売上、地域別ユーザー数)
  • クロス集計(例:年齢 × 離脱率)
  • 時系列分析
  • 相関分析・傾向分析

 加えて、結果を「ビジュアル(グラフ・チャート・ダッシュボード)」で表現することで、技術者でない人にも直感的に理解してもらえるようにする。たとえば、折れ線グラフで売上の推移を示したり、棒グラフや円グラフで構成比を示したり。これが「可視化」の力だ。

 分析と可視化がうまくかみ合えば、単なる数値ではなく「ストーリーのあるデータ」を示すことができる。

4.分析結果のレポーティングと施策提言
 分析と可視化が終わった段階で、データアナリストの本領が発揮される。それは「洞察(インサイト)」をもとに、実際のビジネス施策を提言することだ。

 たとえば、以下のようにデータだけでなく「なぜそうなっているか」「どう改善すべきか」を考え、経営層やマーケ担当に提言する。そして、施策実行後は再び効果を検証し、改善サイクルを回す──。この「データ → 行動 → 改善」のサイクルを回せるのが、データアナリストの強みだ。

  • 「このユーザー層は離脱率が高いため、オンボーディング施策の強化が効果的」
  • 「広告AのCPA(顧客獲得コスト)が高く、Bのほうが効率的」
  • 「この期間の売上停滞は季節要因というより、キャンペーン設計が悪いため」

データサイエンティストとの違い

 「データアナリスト」としばしば混同されるのが「データサイエンティスト」。両者ともデータを扱う職種だが、目的や役割、必要スキルには明確な違いがある。

 データアナリストは主に“現在/過去のデータ”からビジネス上の洞察を引き出す。つまり「今、何が起きているか」「どこに改善点があるか」を見抜き、施策提案を行う。一方、データサイエンティストは“未来の予測”や“新たな価値創造”を担うことが多く、機械学習や統計モデル、予測アルゴリズムなどを用いて、「これからどうなるか」「どんな戦略を取るべきか」を設計する。

 ただし企業やチームによっては、データアナリストが機械学習モデルの基礎分析や簡易な予測を行うこともある。そのため境界はやや曖昧で、「どこまでを“アナリスト”と定義するか」は組織やプロジェクトによって異なる。

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データアナリストとデータサイエンティストの違い

データアナリストの年収は?

〇年代・経験別の平均年収
 日本におけるデータアナリストの年収水準は、他の一般的なエンジニア職や会社員に比べて高めだ。転職サイトGeeklyの調べによれば、平均年収は約700万円。求人ボックスの調査によれば、同サイトに掲載されていた求人情報では平均718万円だったという。ただし、全体の給与幅としては440~1,244万円と比較的広いため、勤務先や経験によっても大きな差がある。

 こうした数値から分かるのは、データアナリストは専門性が高いために報酬もしっかり設定されやすく、経験を積むことで安定的に年収と市場価値を上げやすい職種であるということだ。

年収を上げるためのポイント

 年収を上げるために重要なのは、単に「データを見る」だけでなく、「ビジネス価値を出せるか」だ。具体的には、以下のようなスキルが揃うことで、ただ「データを分析する人」ではなく、「会社の課題解決や収益改善に貢献する人材」と見なされ、高い報酬やポジションが期待できる。

  • 分析ツールや言語の習熟:(例:Python / R / SQL / BIツールなど)
  • 特定業界への知見の深耕:(金融、小売、ヘルスケア、ECなど)
  • 施策提案やレポーティングの質向上:(分かりやすさ、説得力、実行可能性)
  • プロジェクト管理やチームでの調整能力:(複数部署を巻き込む力)

データアナリストに求められるスキル・知識

〇ハードスキル(専門知識・ツール)

 データアナリストとして働くうえで、最低限身につけておきたい「技術的な武器」がある。

  • SQL:データベースからのデータ抽出に必須。テーブル結合・絞り込み・集計などができる。
  • プログラミング言語(Python や R):データの前処理、集計、分析、統計処理などのため。
  • 統計の基礎知識:平均値・中央値、分散、相関、仮説検定など、データの傾向や関係性を読み解くため。
  • BIツール・可視化ツール(例:Tableau、Power BI、Lookerなど):分析結果を視覚的に伝えるため。
  • データベース・データウェアハウスの理解:データの構造や保存形式、スキーマ設計などを理解できると望ましい。

 上記が揃うことで、データを単に「眺める」だけではなく、「扱える」「活かせる」スキルとなる。

〇ソフトスキル(ビジネス能力)
 一方で、技術力だけでは不十分。データアナリストには以下のようなビジネス的スキルが重要だ。

  • ビジネス理解力:業界の構造、顧客動向、KPI設計など、ビジネスの全体像を理解する力。
  • コミュニケーション力:技術者でない人(経営層、営業、マーケ担当など)に、分析結果と提言を分かりやすく伝える能力。
  • 論理的思考力と仮説立案力:データから意味を読み取り、「なぜそうなったか」「どう改善すべきか」を考える力。
  • 問題解決力:データに矛盾や異常があったとき、どこに問題があるか見極め、適切に対応する力。

 これらを兼ね備えることで、データアナリストは「単なるデータ処理者」ではなく、「ビジネスを導くアドバイザー」として振る舞える。

データアナリストに役立つおすすめの資格

 データアナリストになるにあたり、資格は必須ではない。ただし資格を通じて学ぶことで体系的な知識を得られ、スキルの証明にもなりやすい。

  • 統計検定
     統計学の基礎理論や手法を体系的に学び、理解を証明できる資格。データの傾向分析や仮説検証を行う際の基盤となる。統計に苦手意識がある人にとっては、基礎の補強と理解の深化に役立つ。
  • G検定・E資格
     AI・機械学習、ディープラーニングの基礎理解を測る試験。データアナリストが将来的に機械学習を用いた予測分析や高度な分析に携わることを見越すなら、これらの資格を持っておくことでスキルの幅が広がる。
  • Python 3 エンジニア認定データ分析試験
     Pythonを用いたデータ分析の実践能力を測る資格。実務でPythonを使う機会が増えている現場では、実際のスキルの証明として有効だ。
  • データベーススペシャリスト試験
     データベース設計や運用、クエリの理解など、データを扱う土台となる知識を問う国家試験。特に大規模データを扱う企業や、データ基盤に関わる可能性がある人には価値が高い。

 繰り返すが、資格そのものがなければ仕事ができないわけではない。ただ、体系的に勉強でき、業務で使える知識を体系化するきっかけとなる。特にキャリアチェンジや転職を考えている人にとっては、スキルの“見える化”として有効だ。

データアナリストに向いている人の特徴

 データアナリストの仕事に向いている人は次のような特徴がある。

〇数字やデータから仮説を立てるのが好き
 データアナリストの仕事は、ただデータを見るだけでなく、データから「何か意味があるか」「どのような傾向が見えるか」を読み取ること。数字の羅列をただ並べるのではなく、その背後にあるストーリーを探るのが好き、という人、つまり「データから仮説を立てることにワクワクできる人」に向いている。

〇論理的思考力と探求心がある
 データにはノイズや例外も多い。単純な傾向とは異なる異常値や例外に気づき、「なぜそれが起こっているか?」を追求できる人。仮説を立て、それを検証し、答えに近づくために粘り強く分析を続けられる──そんな論理的で好奇心旺盛な人が、データアナリストには合っている。

〇ビジネスへの貢献意欲が高い
 単に「データを扱いたい」だけではなく、「その分析が会社や組織の課題解決につながる」「事業成長や改善につながる」という意識を持てる人。データを通じてビジネスに価値を還元したいという志向がある人は、データアナリストとして長く活躍できる。

データアナリストのキャリアパスと将来性

〇主なキャリアパスの例
 データアナリストとして経験を積むことで、さまざまなキャリアパスが開ける。

  • データサイエンティスト:機械学習や予測分析、モデル構築などの高度分析スキルを身につけ、より複雑な課題に挑む。
  • BIアナリスト/BIエンジニア:BIツールやデータ基盤の設計・構築に関わり、データ活用の土台を整備する役割。
  • プロジェクトマネージャー/データチームリーダー:分析チームを率いて、データ戦略の立案や実行を統括。
  • フリーランス/コンサルタント:複数企業を支援する立場で、データ活用の導入や改善提案を行う。

こうした多様な選択肢があるのが、データアナリストのキャリアの強みだ。

〇データアナリストの将来性
 デジタルトランスフォーメーションが進み、あらゆる業界・業種でデータを活用する流れが加速している。小売、EC、金融、ヘルスケア、教育、広告、エンタメ──多岐にわたる領域で、データを活かす手段として“分析→改善→効果検証”のサイクルが求められている。

 それに加えて、先行研究や統計の手法、機械学習のモデル、データ基盤の整備など、技術面での進化も続いており、「データを扱える人」への需要は今後さらに高まるだろう。特に「データをビジネスに落とし込める」人材は、AIや自動化が進んでも価値を失いにくい。

 こう考えると、データアナリストはこれからのビジネスでますます重要な存在になる。

未経験からデータアナリストになるには?

〇Step1: 必要なスキルを学習する
 まずは前述したハードスキルを地道に学ぶこと。SQL、Python(あるいは R)、統計の基礎、BIツールなどを独学やオンライン学習、書籍で習得するのが基本だ。加えて、「ビジネス課題をデータでどう解決するか?」という視点も持ち始める。

〇Step2: ポートフォリオを作成する
 学んだスキルを実践で使えるよう、自分なりにデータ分析のプロジェクトをやってみる。たとえば、公開データを使って解析し、可視化し、洞察をまとめる──。ポートフォリオがあると、実務経験がなかったとしてもスキルを証明しやすい。

〇Step3: 実務経験を積む
 そして、可能であれば実際の業務で分析に携わるのが望ましい。たとえば、自社のデータを分析するインターンや副業、あるいは小さなプロジェクトでも良い。実務での経験は、教科書的なスキルだけでは得られない、データのクセやビジネス上の課題、関係者との調整などを学ぶ機会となる。

 こうしたステップを踏めば、未経験でもデータアナリストへの道は十分に開ける。

まとめ:データアナリストはこれからのビジネスに不可欠な存在

 データをただ蓄積するだけでは、企業の未来を切り開くことはできない。データを読み解き、意味を見出し、ビジネスに活かす──。その役割を担うのがデータアナリストだ。

 特にデジタル化やデータドリブン経営が進む今、データアナリストの価値はますます高まり、需要も強く、キャリアの選択肢も豊富。興味や探求心があり、データをビジネスにつなげたい人にとって、非常にやりがいがあり、可能性に満ちた仕事だ。

 もしあなたが「数字やデータから物語を読み取り、ビジネスを動かしたい」と思うなら、データアナリストはきっと、これからのキャリアとして魅力ある選択肢になるだろう。

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