- 会員限定
- 2026/04/15 掲載
【2026年度 地銀・信金予測】これからの勝敗を左右する“5つの重要課題”を徹底解説
大野博堂の金融最前線連載第97回
93年早稲田大学卒後、NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。金融派生商品のプライシングシステムの企画などに従事。大蔵省大臣官房総合政策課でマクロ経済分析を担当した後、2006年からNTTデータ経営研究所。経営コンサルタントとして金融政策の調査・分析に従事するほか、自治体の政策アドバイザーを務めるなど、地域公共政策も担う。著書に「金融システム監査の要点」(経済法令研究会)「金融機関のためのサイバーセキュリティとBCPの実務」「AIが変える2025年の銀行業務」など。飯能信用金庫非常勤監事。東京科学大学CUMOTサイバーセキュリティ経営戦略コース講師。宮崎県都城市市政活性化アドバイザー。
重要課題(1)「地方創生2.0」と地銀・信金の“新たな役割”
政府が推進してきた地域創生では、これまで主たるプレイヤーとして基礎自治体の活動に注目されてきた。政府は人口減に歯止めをかけることを目的に、内閣府と総務省を中心に地方創生と銘打った種々の対策や事業が講じられ、基礎自治体にも十分な予算が配賦されてきた。ただし、マクロの人口動態そのものを揺り動かすことはできなかったとの指摘を受けてきたのも事実だ。実際、かつての「地方創生1.0」では「人口減少を食い止めるための事業や施策の導出・実施」が推進されてきた。
人口を増やすために必要な事業として「地域の箱モノ」「新たな機能」「外部からの集客施設」などが相次いで構造化され、地域金融機関はこうした事業にアレンジャーとして関与するほか、ファイナンススキームを数多く組成してきた経緯がある。
そこで、2025年6月に公表された「地方創生2.0」では、地域の人口減少を避け難いものと受け止めた上で、地域自らが将来予見される最低限の人口リソースをもって地域インフラの維持や社会基盤のマネジメントを実現することを掲げた。
少ない人口でも地域経済を守り、インフラを維持することを目的とした事業に、より多くの予算を配賦するモデルに切り替えたわけだ。ここで新たなプレイヤーとして注目されたのが地域金融機関である。
金融庁は、2025年12月に地域金融力強化プランと銘打って、こうした基礎自治体における新たな取り組みを地域金融機関がより積極的に支援することを求めた。
たとえば、これまで基礎自治体が最上位計画として定期的に策定してきた総合計画や総合計画への関与について考えてみよう。これまで地域金融機関では基礎自治体の要請に応じ、地域の営業店の支店長が審議委員などに招聘され、こうした各計画策定に際して有識者として意見を述べる、といった支援機能を果たしてきたことだろう。
ただし、現実的には年間わずか数回開催される会議体で意見を述べるだけでは、地域の長期的な将来構想やビジョンを定義する最上位計画の策定への関与は限定的なものであり、方向付けに色濃く関与したり、あるべき具体的な事業へ遡及(そきゅう)したりすることなどは困難だろう。
そこで今般金融庁では、地域金融力強化プランを通じ、「より地域課題に即した」実効性の高い支援機能の発揮を金融機関に求めたわけだ。実際に金融庁が地域金融力強化プランの検討に際して設置したワーキンググループにおいては、長野県内の金融機関における取り組みが有意事例として取り挙げられた。
例示された八十二銀行と長野銀行の取り組みは、まさにこの地方創生2.0の新たな方向付けを意識しており、自行庫での過剰な設備(店舗網含む)の見直しにより捻出した要員100名を新たに地方創生への取り組みを行うコンサルティング要員として活用することを打ち出している。
こうした動きが今年度は全国規模で一層拡がる様相を見せつつあり、筆者らのチームにも全国の地銀、信金から協力要請が寄せられているところでもある。 【次ページ】重要課題(2)地域金融機関の「合従連衡」
地銀のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR